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最凶賢者の依頼

やれやれ、アデレードに長時間お説教を喰らってしまった。


彼女のいう事も尤もな事だ。私は二十四時間どころか七十二時間無休で戦える。だが、他の者が同じ様に戦えるわけではない。人により長時間の休憩を必要だ。それを考えると住居の改善が先の様な気もしてきた。アデレードにすぐに休むように言われているがある程度の計画を進めた方が良いだろう。アデレードが横に寝ているが隠蔽の呪文を使えば気付かれる心配は無い。


そうと決まればまずは住居の改善を優先しよう。最初に行う工事は下水道、下水管の敷設だ。下水管を敷設することで町の衛生状況の改善も期待出来る。排水は雨水あまみずを集める雨水うすい、家から出る排水を集める汚水に分ける必要がある。雨水は一か所に集め耕作地に使用、汚水は処理場へ流しイムラデリン川に流せるように汚水処理をする。町が発達すると雨水の汚れが問題になるそうだが、今のこの町では問題になることは無いだろう。


雨水を集めたため池は町の近くに作る。耕作地の近くが良いだろう。その場所から各耕作地近くへ配管を通すとより使いやすくなるが、当面はため池だけで良いだろう。


逆に汚水の処理場は町のはずれに作るとその付近の住人から苦情が来ることは目に見えている。よって町から少し離れた場所、町の住人の移動が苦にならない場所に作ることにする。町の何人かを雇う為だ。処理場にはスライムを集め汚水を浄化させる。ただ、処理場からイムラデリン川に流れたスライムはその先で繁殖する可能性がある。それが気がかりだ。


「アデレード、イムラデリン川の先に何がある?」


「マグナス!!」


「あ!」


更に、小一時間怒られた。


-------------------


アデレードに怒られたがイムラデリン川の先について調べる必要がある。町にある地図や王都への報告書にはイムラデリン川の先は未踏になっている。空を飛んで上空から観測する手段もある。しかし、上空からだと地形は判るがどの様な生物が生息しているのか不明だ。


「調査隊を派遣するか?戦士ファイターや魔法使い(メイジ)、僧侶プリーストの他、伝令役として斥候スカウトが必要だな。アデレード、冒険者ギルドはこの町にもあったかな?」


「ゴブリンの襲撃に対応したのが町の冒険者ギルドに所属の者です。所属メンバーは戦士系が多いですが、魔法使いや僧侶、斥候も一人か二人ですが存在します。」


「そうか、意外に人数の多い町だったのか?」


「いいえ、多分辺境へ逃げてきたか流れてきた冒険者でしょう。その素性については保証しかねますが、町で問題を起こしていない様です。」


そう言えば一人妙に風格のある男がいたな。冒険者の指揮をしていたみたいだし彼が町の冒険者の代表なのだろうか?


「マグナス。冒険者を使うなら、ギルドに依頼という形で発注すれば問題は無いと思います。後は報酬ですが、辺境では金品の使い道が少ないので物品の物の方が良いかと思います。」


それなりの費用が必要になると考えていたが、物品ならば問題は無い。いくつか余っている物、作ってみたが自分には使えない物の中から提示してみようか?


-------------------


その日、ギルドの掲示板にある依頼書が張り出された。



・イムラデリン川の下流の探索者募集、条件および報酬は以下の通り


参加条件、三人組以上の冒険者集団パーティでパーティに斥候スカウトが存在すること。


達成条件、イムラデリン川の下流区域地図の作成。(一定面積の調査で達成とみなす。重複不可)


報酬、参加報酬 冒険者リング(全修正に+2)


達成報酬、 武器、ライトニングソード、ハリケンアクス、バーニングランス、グラビトンハンマー、シャイニングナックル、マギスタッフ、リザレクションロッド、シャープシューター、等から一つ。

防具、耐熱のフルプレート、無音のチェインメイル、身躱しのレザー、虹のローブ、反射の盾、等から一つ。

その他装備品、収納鞄(10m^2)、安全の天幕、警報の宝珠、1パーティに一つ。


 以上




「参加だけで冒険者リングだと!」


「達成報酬もとんでもない代物が並んでいるぞ。」


「イムラデリン川の下流か、確かに未踏地域であるが……。この報酬……。」


「ギルド所属の斥候の数は少なかったよな?」


「三人組は良いとして、斥候か……。そうだお前は斥候に近い技能を持っていたな?斥候をやらないか?そうすれば条件を満たせるぞ。」


「その方法があったか!!」


 など、掲示板の前で騒いでいた。聞いた事が無いような好条件にギルドの掲示板前にはこの村のほぼ全ての冒険者が集まっていたと言ってもいいだろう。


 それもそのはずで、参加するだけで報酬がもらえる上、報酬である冒険者リング一つをとってもトンデモナイ物が並んでいたからだ。

 例えば、冒険者リングの効果は全修正に+2である。これは、命中、攻撃、ダメージ、回避、防御、抵抗、ダメージ減少の修正に+2を与える代物である。

 普通の人がナイフで与えるダメージは1~4点である。短剣でも2~7点、筋力の値が高い者が持つともっと多くのダメージを与えることが出来るがこのぐらいの値である。

 それに対し、冒険者リングはダメージを2点減らすことが出来る。つまり、冒険者リングを着けているだけで普通の人が持つナイフのダメージの半分は無効になるのである。他にも”ポイズンビー”と言う魔物がいる。この魔物の攻撃が命中すると1~2点のダメージを受け、稀に毒状態になる。だが、冒険者リングを装備していれば最大2点のダメージは受けない為、毒状態になる事はない。


 正に破格の報酬なのである。冒険者たちが無理にでも条件を満たそうとするのは無理もない事だった。


-------------------


(参加報酬が冒険者リング程度・・で良かったかなぁ?あのリングが一番多く在庫があったからなぁ。どうせなら上級冒険者リング(全修正に+4)の方が良かったかも……。)


まさか自分の依頼で村の冒険者が全て不在になるとは思ってもいないマグナスであった。

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