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久遠の涙  作者: 粟崎ヒロ
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プロローグ 

 

 魔術。


 それは読んで字の如く、魔を操る術の名前である。では、魔とは何なのか。これは宗教観や歴史観によって大小の違いはあるが、根幹部分は変わらない。


 要するに魔とは理解不能な現象の事を指す。例えば、指を鳴らしただけで火を起こしたり、砂を金に変換したり、そういった科学では証明できない現象の事を言う。


 そして、その魔術がこの世界で初めて確認されたのは今からおよそ一世紀前。二十一世紀に入った直後だった。無論、確認された当時は魔術は出来のいいマジックという認識でしかなく、魔術という言葉は中二病を患う少年たちの代名詞だった。


 だが、そんな幻想の時代はすぐに終わる。


 魔術という概念が民衆に受け入れられる事件が米国で起こり、その様子がテレビを通して全世界に広まり始めたからだ。


 多くの人間は凄いと手を叩き、一部の人間は危険な能力だと警鐘を鳴らした。科学者たちは知的欲求の為に魔術師――後に魔術士と呼ばれる存在に接触し研究を始めた。


 その研究データは多くの国が欲しがり、また独自に研究を進め、やがて軍事的な研究にまで発展する。魔術兵器と呼ばれる新兵器が開発されるまでに時間はかからなかった。


 そして、それから後はあっという間だった。魔術の動力源となる魔力が流れる地脈が発見されたのも相まって、魔術は爆発的に普及していった。


 その浸透率は軍事だけではなく一般家庭にまで広まり、魔力で動き魔術を簡潔に展開できるデバイスまで開発されている。その結果、人々は容易に魔術を扱えるようになった。


 時は二一〇七年。

 魔術は黎明期を終え、発展期に突入した。


 魔術が使えるのは当たり前。

 魔術は生活の一部にま組み込まれている。


 それ故に魔術が扱えない人間は人並みの生活を送れない。『魔術なし(トラベラー)』と蔑まれ、一定以上の職種には就けないようになっている。


 これが魔術が浸透した世界の在り方。


 弱肉強食の才能主義。


 これは無能は有能を敬うべきだという傲慢な価値観が当たり前のように蔓延る狂った世界に生きる人間の物語。


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