キミへ...2
「....わかった....」
狂歌と蒼樹は学校を出た。
そして狂歌が住んでる場所に移動した。
学校から歩いて10分くらいした。
山の道を通り抜けると....そこは廃虚化していると噂をされていた古い神社だった。
「....ここだよ。」
と狂歌は今住んでる場所はここだよと告げる。
がっ...がら..と襖をあける。
もうこの神社自体の木材が傷んでいることがわかる。
「ここか...」
と蒼樹はいう。
「何もないよ...あるとしてもお札を張られてるだけ、でも結構結界の限界が来てるみたい...」
「私は...ハヤテ...ううん蒼樹たちがいなくなってからここに置いてかれたの...ここの神社は鬼を封じるために作られたって聞いた」
と狂歌は悲しげに言った。
「狂歌...お前はここにずっといたのか...何年もの間...」
蒼樹は狂歌に聞いた。ずっと閉じ込められてたのかと。
コクリ...と狂歌は頷く。
「そうだよ...今は18歳って言ってるけど....蒼樹とは随分と歳は離れてる...。本当はもう80ぐらいだよ...」
と苦笑した。
鬼の子は成長は遅いが歳は普通の人間より倍の年齢らしい...。
蒼樹は狂歌の姿を見て80歳以上には見えないと思った。
「狂歌、もう一度背中の痣見せてくれないか...?」
と蒼樹は狂歌にお願いした。
「ん...いいよ。今は学校じゃないから...」
「ちょっと待ってて」
と狂歌は蒼樹に待てと言って制服のシャツを脱いだ。
「....いいよ」
と言い見せた背中の痣は学校で見た時より広まっていた...。
「っ!?」
蒼樹はびっくりしていた....。
なぜこんなにも悪化しているのか、まったくわからなかった。
恐る恐る...蒼樹はその痣を指でなぞった。
ドクンっ...!!!
「あ...ぁぁ...!!!」
と突然狂歌が苦しみだした。
何かにやられたかのような.....いや...
これは鬼の呪いが悪化し始めてる証拠だった。
「うぅ...ぁああ”あ”ぁぁ...!?!?」
「狂歌!!しっかりしろ!!」
と狂歌を見た瞬間...。
鬼の証拠でもある左目の赤い瞳が光っていた...。
「っ!?」
何かに気付いた蒼樹は狂歌から離れた。
「ゔぅぅ....がはっ!?」
と狂歌が血を吐いた。
すると...
バタンッ!!
と狂歌は倒れた。
「!?狂歌!狂歌!!しっかりしろ!!狂歌!!」
と蒼樹が呼びかけても狂歌の反応はなかった....。
狂歌は完全に意識がなくなってた....。
蒼樹は狂歌の背中見たとき「なん...で...?」
と不思議に思った。
「痣が...小さくなってる...」
そう、狂歌のさっきまでの大きな痣が少し小さくなっていた。
蒼樹は狂歌を着替えさせ布団の上に乗せ隣で目を覚ますのを待った...。
「....狂歌....」
「ハヤテ~!はやくはやく~!」
「待ってよ~」
何ここ...?
昔のハヤテと私がいる....。
「もぅ、遅いよ~お祭り始まっちゃうでしょ!」
「ごめんってば..」
あ、そうだった...。この時ちょうど村の祭りがあったんだった..。
ハヤテ...もやしっ子だったんだ...。ふふ...。
....?
ガシッ!!!
っ!?
や....やめ...んん~....!!!??
「こいつさえいなければ....生まれてこなければ!!」
なっ..何...!?
いやっ...!!!
タッタッタ!!!!
私はまた同じ夢にうなされていた....。
ハァ....ハァ..ハァ...!!!
「逃がすなー!!!!」
ダレか....!!ダレ...っ!?
隣にいた蒼樹が狂歌の体に異変があることに気付く。
「っ!?」
ぶしゃっ!!
イタイ....ダレか...ダレか...!!!
「...っ!....か....!!...うか!」
ダレ...?私の名前呼んでるのダレ...?
「ょうか....!!!狂歌!!!」
「はっ!?!?」
「よかった....!!!狂歌...!!!」
「はぁ...はぁ...蒼樹...くん..?」
狂歌は目を覚ました。どうやら意識が元に戻ったのだろう。
「狂歌...狂歌...!!!」
ぎゅっと蒼樹は狂歌を学校の時のように強く抱きしめた。
「ちょっ...苦しいよ...蒼樹君」
「もう....誰も失いたくないんだ....っ」
と今度は蒼樹が涙を流した。
「何で泣くの...?私生きてるのに...」
「私は....死なないから...大丈夫だから...」
と言い抱きしめられたまま蒼樹の背中に手を置き優しくなでた。
狂歌の傷はもう治っていた。
―本当に...死ねないんだ...
と狂歌は自分は不老不死で死ねないんだと改めて思っていた。
「あ!もうこんな時間!」
と気づいたらもう夜の7時を回っていた。
「蒼樹君なんか食べてってよ、今からご飯作るから!」
と蒼樹に言い
「え?あ...うん」と答えた。
狂歌は何事もなかったように料理をし始めた。
昔のことを思い出したかのように
「ハヤテ..."アレ"大好物だったから作ってあげよ..」
と微笑みながらご飯を作る。
狂歌が言った"アレ"とは、茶碗蒸しのことだった。
「よし...できた!」
と言い料理を運ぶ狂歌。
「お待たせ!できたよ!」
「あ...うん..ってこれ...」
蒼樹は料理の中で一番目に入ったものが茶碗蒸しだった。
「覚えててくれたの...?」
「そうだよ、もう何年も前の時のだけどハヤテの大好物、茶碗蒸しだったでしょ?」
「さっき...夢でハヤテと一緒に村のお祭り行った時の夢見てたんだ..」
「村の夏祭りの時か...懐かしいな」
「ね、懐かしいなって思って作ってみた」
二人は懐かしいねと言いながらご飯を食べ終えた。
「おいしかったよ。狂歌料理うまくなったな」
と笑いながら蒼樹は言った。
「そうだよ!頑張ったんだから」←えっへん!
と自信満々の顔した。
「あ、蒼樹君どうする...?もう暗くなっちゃったから山を降りるのは危ないから泊って行ったら...?」
「あ、いや...え、でもいいのか..?俺がいて..」
「大丈夫だよ?どっちにしろ明日は学校お休みなんだし。着物でもいいなら服あるし...」
「え....じゃぁお言葉に甘えて泊まらせてもらうよ」
「いいよ、お風呂入れてくるから待ってて」
と言い狂歌は食器を片付けお風呂場へ行った。
シーン....。
蒼樹は神社の外に空気を吸いに行ったがすごい静かだ。
目の前にあるのは山の木や鳥居だけだった街の明かりは木々のせいで明かりが見えない。
「蒼樹くーん、お風呂できたよー!」
「ほーい」
蒼樹はお風呂場へ行った。
た..た..
「着替えおいとくね」
「ん...ありがと」
「ふぅ....気持ちいな」
ガラっ...
「え。」
狂歌が入ってきた。
「狂歌!?///何入ってきてんの!?///」
「私、血で汚れたから一緒に入るに決まってるじゃん」
「はぁ!?///」
シャー
シャワーを浴び始めた狂歌。
長い髪と体についていた血が床に流れ落ちる。
-き....きれいだな...///
蒼樹は狂歌の濡れた体を見て綺麗だと思ってしまったらしい。
「ん?どうしたの蒼樹君、ぶくぶくして」
「え...///いや...なんでもない...///」
―お前は恥ずかしくないのかよ!!///
「ふぅ...スッキリした」
「あれ?なにこれ?」
ちゃぷん...
「っ!?///さっさわんな!!///」
「え?」
.........。
ボフンッ!
狂歌は顔を赤くしてしまった。
よくよく考えれば、昔とは違う。
今の蒼樹はもう子供じゃないんだと...。
「ご...ごめん!!先上がる!///」
ピシャッ!
と狂歌は出て行った。
ーうぅどうしよう///すっかり忘れてたぁ////蒼樹はもうあの頃のハヤテじゃないんだった////
狂歌は顔を真っ赤にしたまんま床に左右に転がった。
そう考えてたら蒼樹が上がってきた。
「......。」
「......。」
二人とも黙り込んでしまった。
「「あ、あのさ!」」
「「あ」」
「きょ....今日は寝ようっか...///」
「う...うん...」
そして二人は背中向けして寝ました。