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乙武高校の日常  作者: 友田イツキ
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乙武高校の女子高生

「あ〜だっりぃ〜」

「幸子って…。いろいろ残念だよね…」

うちは八村幸子はちむら ゆきこ乙武高校に通う平凡な女子高生である。

そして、うちの横でこちらに哀れみの目を寄越してるのは、田中たなか 笑華えみか。略してえっちゃん。彼女とは1年生からの仲でよくこうして授業をサボって屋上の給水タンクの上でのんびりしている。

「えっちゃんは、可愛いよね〜。黒髪に透き通るような白い肌やしさ」

そう。えっちゃんはこの乙武高校の女神である!

「え〜。そんなことあるよ」

と天使顔負けな極上スマイルをしてそんな爆弾発言をした。

「あるんかい!そこはないって言うとこちゃうん!?」

そんな、えっちゃんにうちはついツッコミを入れてしまった。

「ふふふっ」

しかしこの子異性にモテるのに彼氏が出来ない。

なぜか…。

本人に聞くと何故か意味深な笑顔を向けられた。

勿体無い。この乙武高校は比較的他校の高校よりは顔面偏差値が高いと言うのにだ。

一体どこのどいつが彼女を心を鷲掴みにしたのか…。

ふーむ。気になる。

「幸子の関西弁は可愛いね」

「嘘や。そんなお世辞いらんいらん」

「お世辞じゃないよ!」

「いーや、お世辞や!あんた男子らがうちの事なんて言ってるか知っとる!?」

「「悪魔のタコ女」」

「なんでタコ女なんだろうね?」

「そりゃ関西言うたらたこ焼きやからやろ…」

そう。うちは関西から引っ越して来た転校生である。

こっちの人からしたら普段聞きなれない関西弁は、威圧感があり怖いらしい。

ほとんどの男子や女子から怖がられている。

威圧感たっぷりに話しかけた気はないのだが…。

そして、悪魔と言うのは、うちが喧嘩強いからである。

失礼なやっちゃで。ほんま…。

うちが喧嘩強いんは、兄ちゃんとしょっちゅう兄妹喧嘩をしていたからだ。

こんなこと言ったらあれだが、兄ちゃんとは仲が良い方だ。

ほら、喧嘩するほど仲が良いと言うし。

「えー。でも幸子って、関西出身だけど大阪出身ではないよね?」

「うん。そやで」

そう。うちは関西出身だが大阪出身ではない。

だがらタコは余計なんや!"タコ"は!!

そんなことを思いながら空を見上げていると…


ガチャ


屋上の扉が開く音がした。

誰かがサボりに来たのか…

はたまた……


「まーたく、また居なくなったと思ったら、やっぱり此処に居やがったか。おーい。タコ女に女神ー」

と体育教師の三俣みまた 重晴しげはるがそんなことを言った。

キレていいですか?いいですよね。

「教師がそんなこと言っちゃダメですよ!」

「いいんだよ。田中」

いや、良くねぇよ。

「田中ー。お前は教室に戻れ。そこにいる反抗期中の奴は俺に任せろ」

「重ちゃんじゃ無理だと思います」

「あぁ?」

うちの言った言葉に一気に不機嫌になる体育教師。

「えっちゃん。先戻っといて。うちも重ちゃんに用あるし」

「学校では先生と言えー!もしくは三俣様とぉー!」

教師がそんなこと言っていいんかい…。

「え…でも………」

とえっちゃんが重ちゃんを見ながら言いよどんだ。

「だぁーいじょーぶ!さあ、行って」

うちはえっちゃんに笑いかけた。

えっちゃんは不満そうな顔をしながらも頷き屋上から出て行った。

そして、今屋上に居るのはうちと重ちゃんだけになった。

屋上になんとも言えない空気が漂った。

先に話し始めたのは重ちゃんからだった。

煙草をふかしながら…。

良いのかそれで。ここ学校なんやけど。

「…ふぅ。幸子ー」

「んー?」

「学校は楽しいか?」

「えっちゃんやトッシーやみー君が居るからねー」

「居なきゃつまらんねぇか…」

と会話が途切れる。

毎回重ちゃんとは会話が続かないんだよなー。

なんでだろう?昔はこんなんじゃなかったような気がする。

何が原因だったかな〜?と頭の中で考えているといつの間にか重ちゃんがうちの真横にいた。

「!??!?!!?!」

い…いつの間に…!

瞬間移動!?何この人怖い…。

幸志ゆきじは、どうだ…?」

「兄ちゃん?元気だよ!」

「そうか………」

「うん」

「そーいえば、用ってなんだ」

「んー。重ちゃんはいいなーと思って…」

「いきなりなんだよ」

と笑っている。

「だってさ、気楽そうやん」

うちがそう言うと頭を叩かれた。

「痛っ!何すんだ!暴力反対や!」

「うっさいわ。アホ!大人は大人で大変なんや!」

と関西弁がぽろっと溢れ出た。

「何笑っとんねん!」

「重ちゃん…くくっ…関西弁出てんで…くふっ」

「しゃーないやろ!あーお前と居ると調子狂うわ」

と自分の髪の毛を掻き回した。それを見たうちはなぜかホッとした。

「もっと気楽に行こうゼ。幸子」

とうちの頭をわしゃわしゃと撫でた。

それが懐かしく思ったのは秘密だ。

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