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短編盛りだくさん(予定)

別れの時

作者: 城田寺 皓

 あるところに、病床に伏せる老人がいた。

 病院の一室。力の抜けた声で彼が呟く。

「私は……、もうそんなに長くはないのだろう……?」

 病室には、老人のほかに若い看護師と年配の看護師がおり、その言葉を聞いていた。

「そんなことはありませんよ。早く元気になりましょうね」

 若い方の看護師が、励ましの言葉をかける。

「いや……、いいんだ……。自分のことは……、自分が一番分かっている……」

「何を言ってるんですか。そんな弱気じゃ治るものも治りませんよ」

 悲観的な老人に、なおも優しい言葉をかける若い看護師。

「なに……、もう充分に生きたさ……」

 老人が首を横へと向ける。その先には、綺麗に活けられた花が飾られていた。

「あの花が枯れ落ちる頃には……、私はもう……」


 病室を後にした二人の看護師は、廊下を歩いていた。

「だいぶ落ち込んでましたね。どうしたら元気になってくれるでしょうか」

 若い看護師は、思い悩んだ様子で言った。

「あの爺さん、長生きするわね」

 すると突然、今まで黙っていた年配の看護師があっけらかんと口にした。

「そんな、何でそんなこと言うんですか?」

 不思議そうに訊ねる若い看護師に、年配の看護師は言い放った。

「あの花、造花よ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 看護婦の温度差も笑えますし、オチも最高ですね。 オチのさらっと言い切る感じが凄く良いと思いました。
[一言] オチがいいですね。 こういう短編はなんと言うか不適切なたとえかもしれませんが四コマ漫画のようで読むのが楽しいです。
2013/05/02 16:12 退会済み
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