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第25話 VSラビッタフ


 ロンネとリケムと別れ、俺たちは奴らの注意を引く――奴らが茂みへと近づいてくるのを見計らって――


「『竜爪閃華』」

「『黒炎閃華』」


 俺とイグリアの技が、交差するように敵へと飛ぶ。


「――ッ!?」


 魔族は咄嗟に剣を構えるが、イグリアの攻撃により剣は吹き飛ばされ、俺の一撃は魔族に当たりそのまま倒れた。


「ああ、俺の従魔がぁッ」


 倒した魔族の元に駆け寄る契約者を後目に他の奴らが大声で叫ぶ。


「不味い聞かれたぞ!――逃げた奴もいるぞ!」


 敵の叫びが森に響き、ざわざわと増援の気配が押し寄せてくる。まあこうなることは最初から織り込み済みだった。


「おらッ」


 どうにか増援を倒していく。


「こいつら思ったよりやりやがるッ」

「なに、こっちのが数は多い、数の暴力だ」


 こいつらの言う通り、数は圧倒的に不利だ、それにしかし最初に俺たちに気が付いたあの魔族――


「......」


 俺たちを値踏みするように見ているウサギのような耳を垂らした魔族。


「明らかに異質だな」

「今いる中では一番強いわ」

「まぁだろうな」


 その魔族は黒い細身の剣の鞘を手に持ちながら、こちらを見ていた。


「――中々やるな」


 魔族の男は語る。


「我が名はラビッタフ、名を名乗れ」


 名乗れって、武人か何かだろうか。


「ハルフミだ」


 まぁ特に隠す理由もないので、素直に名を告げる。


「――なに考えてるの、貴方......」


 イグリアが小声で呆れたようにぼやいた。


「貴様の名は?」


 今度はイグリアへと視線が向く。


「......」

「なんだ、言えぬのか?」

「イグリア」

「――」


 ラビッタフは少し目を細め、なにかを探るように考え込んだ。


「契約者と魔族の関係か?」

「そうだけど」


 その言葉を聞いたラビッタフの表情は、少しだけ緩んだように見えた。


 その間にも、周囲には次々と人影が集まってきていた。魔族、人間、契約者――入り混じった戦力が、俺たちを囲む。


「ラビッタフさんッ俺もやるぜ!」

「契約者と魔族のペアだ!」


 次々と声が上がる。包囲は完成し、数の上でも圧倒的不利。やるしかない――そう覚悟を決めかけたその時。


「我らの戦いに手出し不要」

「はっ?何を言って」

「そうだ、数で叩き潰せば――」

「手を出せば、即、叩き切るぞッ」

「――ひぃッ」


 ラビッタフが鋭く言い放ち、周囲の者たちを静止する。


 そして、俺たちに剣を向けた。


「......ラピッタフ、お前の目的は何なんだ」

「......さてな」


 話す気はなしか。


「勝ったら洗いざらい吐いてもらうからな」


 ロンネにリケム、無事逃げられただろうか。


「――良いだろう、ではこちらも見せてもらおう......契約とはどのようなものなのか、どのような力を得るのか.......二人纏めて手合わせ、願おうか――『瞬踏しゅんとう』」


 ラビッタフの姿が、視界から掻き消える。


「ハルフミッ!」

「ッ!」


 反射的に避ける――瞬間、右腕に衝撃が走る。


「くっ」


 切っ先が掠る。

 ラビッタフは後ろで剣を構えたまま静止していた。


「来ないのか?」


 ラビッタフの目がわずかに細められる。


「次は――お前の首を切り落とす」

「――出来るならねッ!」


 イグリアが間に割り込む、ツメを大きく広げて、魔力を纏わせながら地を蹴って突っ込む。


「『竜爪閃華』!」

「それはもう覚えた――」


 ラビッタフはそれを迎え撃つ――


「――ッ」


 ラビッタフとイグリアがせめぎ合う、俺はイグリアが生んでくれた隙を狙う――


「『黒炎閃華』!」


 イグリアの突撃に乗じて、俺も側面から切り込んだ。


「挟み撃ちという訳か――」


 ラビッタフはイグリアの腹を蹴り飛ばすと俺に剣先を向け――


 キィン――!


 金属と金属が激しくぶつかり合い、火花が散った。


「――」


 ラビッタフの剣は俺の斬撃を完全に受け止める。


「クソ......」


 ラビッタフは視線を外さず、まったく隙を見せない。


「『黒炎閃華』」

「『風払かぜばらい』」


 俺のラビッタフは剣を払いつつ、さらに間合いにもう一歩踏み込んでくる。


「――うわっ!?」


 後ろから首根っこを掴まれ後ろへと持っていかれた、イグリアだ。


「あのままだったら切られたわよ!」

「っマジか!」


 ラビッタフの目が細まる。


「それも契約者と従魔の形か、良いだろう、私も興が乗って来たぞ――」



 ■



 一方その頃、第一隊では――



「ふ~む、転移先までたどり着けたは良いのですが......」


 エズバートたち第一隊はシャランの御手柄で転移先を見つける事に成功した、場所は採掘場からそう離れていない、小さく人為的に作られた洞穴だった。


 サーシャは内部の隅々まで見る。


「ここにも蒼晶石が少し残ってるね......エズバートさん、どうする?」

「......仕方ありません、とりあえず第二隊の皆さんと合流して――」


 瞬間、近くに戦闘音が響き渡る、男女の声。


 エズバート達はその声に聞き覚えがあった、第二隊のロンネとリケムの声だ。


 急いで聞こえてきた方をへと向かう。


「――『フレイムランス』」


 ロンネとリケムは逃走しながら追いかけて来る者から逃げていた。


「――皆さん、行きますよ!」


 エズバートはそういってロンネ達の元へと向かう。


「『アイスエンド』」


 エズバートは抜刀し、敵を凍らせた。


「ひっ」


 追っていた者達も怖気づく。


「エズバートさんッ!?それにみんなも、どうしてここに」


 ロンネは第一隊と別れた所まで戻るつもりでいたので、ここで第一隊と出会うとは思ってもいなかったのだ。


「話は後です、今は彼らを片付けます!」

「は、はい!」


 追ってきた魔族らを倒していく、逃走を図る者もいた。

 こうして敵の無力化を終え、ロンネとリケムから事情を聞く。


「ハルフミさんとイグリアさんが」


 怪しい男の後を追っていたら、蒼晶石を魔界に送っている事を聞いたこと、などをエズバートらに説明した。


「――なるほど、あの転移術式は魔界に送る為の中継地点といった所でしょうかね」


 エズバートもロンネ達に何故ここにいたのかなどを説明した。


「ハルフミさんとイグリアさんが心配ですね」


 エズバートの意見に対しイトスは

「待って、こいつらを放置するわけには行きませんよ、なにか情報を掴んでいるかも」

「.....でしたら、彼らはペスケーさんにムンブルさんに任せても?」


 ムンブルとペスケーはそれを了承した。


「では、急ぎましょう――」

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