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崩壊する世界


朝日に照らされ、私は屋上で目が覚めた。

どうやら夜空を見ているうちにいつの間にか眠ってしまっていたようだ。

急いで時刻を確認してみる。

……今日は会社の休業日だった……何だか勿体ない事をした気がする。

何気なしにスマホを見ていると母から着信が入っていた。

私は母に電話をし、最近はどうとか、元気だったかとか何気ない会話をこなした。


……そういえば最近実家に帰ってないな。

そうだ、今週は有休を取って久々に実家に帰ってみることにしよう。……うん、それがいい。


何だかとても悲しい夢を見ていた気がするけど……もう忘れてしまった。


私は衣服に付いた砂ぼこりを払い、立ち上がってその先へと歩いていく。



世界の主がいなくなったことで空間は崩壊を始めていた。私は残されたノートパソコンの画面を見ながら、この崩壊を止めるためにキーボードを操作する。


……駄目だ。

何重にもプロテクトがかかり、本人にしか動かせないようになっている。いくらコピー品の私でも本体が直前まで何を考えていたかなんて想像なんてできない。


『このままでは崩壊に巻き込まれます!逃げて下さい!』


ルーミィに急かされ、私とクロウは手を繋ぎ、走り出す。


「待って……!まだ二人が……」


「……ワイらのことなら心配いらんで」


レオンはアイゼンと肩を組みながら答える。


「念の為ポーションを持ってきておいて、正解でした」


2人はアイゼンが用意していたポーションを飲んで、傷はある程度まで回復していた。これなら走って逃げることくらいなら出来るだろう。


私たちはひび割れる空を尻目に崩壊する地面を走っていく。


「とりあえず出口まで走りましょう!」


「出口ったって、一体どこやねん!」


「それっぽい場所があるはずです!」


私の目論見通り、部屋の隅で崩れたポータルを発見した。私はスキルビルドでポータルの修復を始める。


「おわっ!?後ろの地面が落ちていきよるで!」


もう少し……!もう少しだけ時間を……!

かろうじで人一人分が入れる程度のポータルをこじ開けると、私たちはそこに飛び込んでいく。


「……クロウ!」


最後尾はクロウだった。

クロウが飛び込んだ瞬間、既に立つことのできる場所は無かった。クロウと私は必死にお互いの手を伸ばす。


「……ドロシー!」


クロウは私の手を掴み、それを引っ張る。

ゴロゴロと地面を転がり、何とか元いた地下牢の部屋へと戻ってくることができた。


「クロウ!大丈夫!?」


「……俺は大丈夫だ」


私はクロウに馬乗りになっているのに気づき、顔を赤くして直ぐに退いた。彼も同じ気持ちだったらしく、顔を伏せながらゆっくりと立ち上がった。


「惚気とる場合かいな!……全然揺れが収まってへんやないか、どうなってるんや!」


レオンの言う通り、地下牢全体が大きく揺れるほどの衝撃が未だに続いていた。ポータルは既に閉じているはずなのにどうして……?

しばらくしてルーミィが焦った様子で現れた。


『……どうやら彼女は防衛プログラムを設定していたみたいです。自分に何かあった時に起動するように作っていたみたいで、あと数分で世界自体を崩壊させる力を持つ大魔王が召喚されます!』


……あのキッズは最後になんてものを残していったんだ。

ゲームのストーリーを作るのは途中で飽きたくせに、こういうラスボスを出現させるプログラムはちゃっかり作って行っちゃって!


※小学生あるある、クライマックスから作りがち


「……大魔王が召喚されるだって?」 


クロウはルーミィの言葉に驚き、目を見開いた。

レオンは驚きながらも頭に小石をぶつけて、焦って答える。


「のんきに喋っとる場合ちゃうで!このままやと生き埋めになる、はよ地下から出ようや!」


私たちは地下牢の階段を駆け上がり、城の廊下へと出た。……目の前には兵士たちと驚き戸惑う顔をしたカーン王がいた。


「これも聖女の呪いなのか……!」


「違います!聖女は決して敵じゃありませんし、魔王というのは貴方がた王族の事ではありません!」


私ははっきりと否定し、クロウたちもそれに賛同する。


「後少しで大魔王が出現する、そいつによって世界は崩壊するそうだ」


その言葉を聞いたカーン王はがっくりと膝をつき、周りの兵士たちはそれを心配する。


「……分からない、一体何を信じて良いのか」


弱音を吐くカーン王の胸ぐらをクロウは掴んで、答える。


「しっかりしろバカ親父!……一人息子とその友人すら信用できないっていうのか!」


カーン王は小さく「すまなかった」と呟き、クロウの肩を抱き寄せた。


「……立派になったなクロウ。

お前にならいつでも王を任せられるよ」


「その話は後です、警備を集中して下さい。

……恐らくこの世で最も恐ろしい怪物がこの城に出現します」


私たちは崩落する瓦礫を避けるため、城の庭へと避難する。


しばらくして、城の屋根に落雷が落ちたかと思うと、そこに暗黒の人影が現れた。

人影は静かに佇み、こちらをじろりと見る。


……そして口をゆっくりと開き、名乗る。


「我が名は大魔王マクバー。世界を混沌に創り変え、秩序を破壊するものだ」

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