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ふるさと

映し出された映像と共にルーミィは説明を始めた。


『ここは僕が生まれ育った星。豊かで文化に富んだ素晴らしい場所でした。

僕はこの星で人間たちのサポートをするために生み出された人工生命体なのです』


人々がルーミィと共に生活する姿が映し出される。


『人間たちはあらゆる知識を持っている僕を頼りました。

それにより人々の生活はより豊かになりました。……ですが』


今度は人々が争う姿が映し出される。


『この星の人間は僕に頼り過ぎた。自分たちで”考える”という事を忘れ、趣味嗜好や思想までも僕だよりとなり、最終的には自分たちが実に愚かな事をしているかも分からず、混乱状態のまま自滅してしまったのです』


国同士が戦い、人々が逃げ惑っている。

本来人々を指揮するはずの立場の人間の表情は憎悪しかなく、世界は混沌に渦巻いていた。


「どこに逃げれば安全なんだ!?」

「ルーミィ、あの憎い敵国を倒すにはどうしたらいい!?」

「一体どうしてこんなことになってしまったんだ!」


「「「ルーミィ、全てお前の責任だ!」」」


『……僕はもう限界だと思い、この星から同胞と共に逃げてきました。

その後すぐこの惑星の種族は滅び、僕たちの住む新天地を探していたのです。

僕たちの生きる目的である人々の役に立つことが出来る世界を。

二度と同じ過ちを繰り返さないために、もっと純粋で誠実な人々がいる世界を求めていました』


場面が切り替わり、ゲームをしている私が映る。


『たまたま通りかかった惑星で、偶然にも貴方を見つけました。

彼女の作る”優しい世界”はまさに僕たちの理想と一致していました。

僕たちは彼女の夢を叶えるため、彼女の世界を創造しようと決めました。

それが、この”シャイニングファンタジア”の世界なのです』


白い空間に飛ぶ無数の星の光。

この世界に点在する星の光。

それらすべてはルーミィだった。

この世界はルーミィの身体から創造されたものだったんだ。


「でも、なんで社会人になった今頃になって……」


『世界を創造するというのは、想像以上に時間がかかるものでした。

結果、最速で作業しても貴方が大人になる年齢までかかってしまったのです。

すぐにお呼びできなくて申し訳ありませんでした』


「……最速で突貫工事で作ったから、ところどころ変だったんだ」


『本当に申し訳ありません』


この異世界、最初から何だか変だと思っていた。

小学生の頃にやらかしたイベントのミスがそのままだったり、変なところで現実的じゃないというか……。本当に異世界を作るなら、そう言った要素は事前に直しておいてほしかったかな。


「……俺にはドロシーが何を言っているか分からない。

俺たちは作り物だっていうのか?」


クロウたちは驚きながら、私の方を見ている。

そうだよね、突然自分たちは妖精によって作られたものだなんていわれても困惑するに決まっている。

私は大丈夫と目配せして、再びルーミィの方を向いた。


「私を呼んだわけって……それだけじゃないよね?」


私を招待者として呼ぶなら、もっと危険が無いように呼ぶはずだ。

一番最初に私がドロシーとして自覚したのは砂漠のど真ん中。

明らかにルーミィは焦った状態で私の意識をここに飛ばしている。


ルーミィはくるくると回転しながら、弁明する。


『ご察しの通りです。僕たちはこの異世界を創造していきましたが、とある事情により途中で中止せざるを得ない状況となったのです』


「とある事情?」


『貴方は人間で言う思春期と呼ばれる時期になると、ゲーム制作を途中で辞めてしまったのです。結果、この世界はまだ半分も作られていません。マナ・カーンやキアタ以外の国、魔王までの道のり……。未だ全て存在していません』


「なんだって?……そんなことありえない。

俺たちは確かにこの世界で今まで暮らしてきた。……国が存在しないなんてそんなわけないだろう?」


『クロウ、君は今までキアタ以外の国に行ったことはあるかい?それが答えさ。

行こうと考え付きもしなかったはず。そういうふうに君は”設定”されているからね』


「設定……だと?」


クロウがショックを受けている中、アイゼンが慰めながら答える。


「ふむふむ、興味深い話です。聞くにこの世界は未だ不完全だと。

……レオンはどう思います?……この妖精の話をペテンだと思いますか?」


「ワイに振られても……唐突にそない大袈裟な事言われても、訳分からへんわ。

仮にワイらが妖精に作られた存在やとしても、ワイらが生きてることには変わらへん。

神様って言う言葉が妖精に置き換わるだけの話や」


『お二人は物分かりがよろしいみたいですね、今後の方針を進めやすくて非常に助かります』


「……俺だって理解していないわけじゃない。

ただ、唐突なことすぎて混乱しているだけだ……ドロシーこそ何でその事を黙っていたか聞きたい」


「え?……私?」


「そうだ……ドロシーの皮を被った”誰か”。

今までの君や妖精の話を信じるなら………そうなるが」


そんな言い方って……。

いや、でも確かにクロウの立場からするとそうか。

幼馴染だった子が知らない誰かに憑かれているなんて不気味だよね。


考えているとルーミィは私の周りをくるくると周っていた。

遠くでは世界の主がこちらをじっと見つめている。

……そうだ、彼女の姿こそ私の本当の姿。


私は意を決してクロウたちに伝える。


「私は……私の本当の名前は」





加賀鹿子かがしかこ




小学校時代のあだ名は案山子カカシ

カカシとは、”誰かの代わり”になるものの総称だ。

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