挨拶
こんにちは
あっ
ビスケットが落ちた
間に合わなかった
拾えなかった
はたして
拾えたのだろうか
拾われた方がいいのではないかと思った
でも拾いたかった
拾わなければいけないと思ってしまった
私はその時そう思った
「こんにちは。」
「今日、隣に引っ越してきたものです。」
「良ければ、どうぞ。」
急に見知らぬ人が話しかけてきた
私は何を思ったか受け取ってしまった
ここは公園でありこの話し掛けて来た人物は
紛れもなくおかしな人である
しかし何故か受け取ってみたくなってしまった
毎日毎日同じ事の繰り返しにうんざりしていたのか
何か変化があるかもしれないと思ったのか
正直分からなかった
「受け取ってくれてありがとう。」
そう言って見知らぬ人は去って行った
そういえば
隣と言っていたのにどこに行ったのだろう
しかし考えても答えは出なかった
「こんにちは。」
今日も同じ人がやってきた
まだおかしな人と思ってはいるが
挨拶されるのは悪い気がしない
そう思うとこの人の事が少し気になった
おかしな人から不思議な人に変わったのである
何故挨拶をするのだろうか
会って間もない他人に対して
少し考えると1つ頭に浮かんだ
この人は誰に対しても挨拶をするのであろうか
挨拶をする事は悪い事ではないが
誰彼構わずというのは少し違う気がする
しかしこの不思議な人は
誰彼構わず挨拶をする人なのだろう
やはりおかしな人だ
「こんにちは。」
「こんにちは。」
「こんにちは。」
最近何故だか分からないが
おかしな人が増えて来た
前居たおかしな人が増えたのだ
もちろん別々の人であるが
まさに増殖したようである
少し気味が悪い
前にも言ったが
全くの他人であり挨拶される義理はない
だが何故だろう
少し挨拶をする気持ちが分かる
かもしれない
私はただ公園に居るだけなのに
もしかすると私の今まで出会った人達がおかしい人であり
それに慣れ私がおかしい方なのかとも考えた
本当はここに居る人達が多数派であり
誰彼構わず挨拶をするのが
普通で健全なのかとも思ってきた
いやいや
そんな事は無いだろう
しかし良く見ると大人が多い
子供は全くと言っていいほど挨拶しない
?
ん?
何故挨拶されるべき側に浸っているのだろう
あれだけおかしな人達と思っていたのに
そういえば
私はいつからここに居るのだろう
呼吸「。」も忘れて