実家へ
「今日も泊まっていくんだろう?アスト」
アドルノはそう声をかけた。
「いや今日は実家に戻ってみるよ」
「ああ、そうだな。おまえが帰ってきたとき用に、おまえの部族がいつも部屋をきれいにしててくれてたもんな。一度戻ってみるのもいいかもしれん」
「すまんな」
アストはそう言うと荷物をまとめ始めた。
「じゃあな」
アストはそう言うと、アドルノの屋敷を出ていった。
アストは自分の家に戻った。
父も母もこの世を去ってから数年が経った。
アストはある使命感を感じていた。
もしも俺が子供を作らなければ、水晶使いの血はここで途絶えてしまう。
なんとか子供を一緒に作る相手を探さないといけない。
なんとなくだが、パトリシアのことが頭に浮かんだ。
口を大きく横いっぱいに広げてにこっと笑うパトリシアの顔。キレイな金髪の長いツインテール。そして、大きな胸。
いや、俺は何を考えているんだ。
パトリシアの気持ちも確かめてみないといけないというのに。
ひとりで不純なことを考えるなんて、俺はなんてクズな男なんだ。
アストは頭を振ると、さきほど部族長からもらった家の鍵を使って玄関を開けた。
アストは空を見上げた。もうそろそろ夕刻だ。
家に食事はない。今から買い出しに行けばまだ間に合う。
アストは荷物を置くと、鍵もかけずに出ていった。
この時代は隣近所の付き合いも多く、鍵をかけずに外出するくらいはよくあることだった。




