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第5話 嘘は用法用量を (前編)

更新が全くできていませんでした。


展開がゆっくりですがここから早くなると思うので、気長にお待ちください。

なんとか初日?の授業を乗り切った。

安堵もつかぬ間、あいつの声がした。


「アキぃ!!一緒に帰ろーぜー!」


高倉め、目立たずに帰ろうとしていた所だったのに…


「悪いな高倉。俺放課後は用事が…」


そう言いかけて思い出した。


王子先輩に放課後に職員室の前で待つように言われていたのだった。


『でもなぁ、咄嗟に偽名使ったしなぁ』


『こいつとの帰宅も避けたい…』


『あっ…』


そこで俺は名案を思いついてしまった。


「そういえば高倉くん。女性の先輩が君のことを探していたようだよ?放課後に職員室前に来てくれってさ」


よし、これで問題の2面除去完了だ。


「え、まじ?なんか目をつけられる様なことしたっけな…てかアキってそんな喋り方だっけか?」


少々怪しんでいるようだが勢いでおしきることにした。コイツなら大丈夫だろう。


「理由はわからないけれど、菓子折のひとつくらいは持っていきなよ?こういうのは一発目の誠意が大事って本で読んだぞ」


腕を組み、片方の手で顎を擦る高倉。


頼む…バレないでくれ…


「菓子折はともかくとして、知らぬ間になにか不快な思いをさせたのかもしれないな!じゃあまた明日だな!アキ!」


そう言うが早いか、高倉は荷物を手に教室から出ていってしまった。


さて、俺も鴇田先生に呼び出されているし職員室に行かなきゃ…


まずい…このままでは例の2人と鉢合わせてしまう…


打開策を模索しながら教室を出ると階段を上がってくる安曇先生が見えた。


これはナイスタイミング!!


「先生!安曇先生!!放課後にペナルティがどうとかって言ってましたが、職員室じゃなくてここで話を聞くことってできますか??」


安曇先生は一瞬訝しんでいるように見えたが、すぐに答えてくれた。


「そうですね。結局その事について話をするとなると、移動しなければなりませんからその方がこちらとしても好都合です。」


先生は着いてきなさいと言うと踵を返して先へ言ってしまった。


突然で焦った俺は恐る恐る処遇を聞くことにした。


「そ、それでペナルティというのはどういう…」


こちらを見ることなく安曇先生が答える。


「あなたには委員会の仕事をして頂きます。今年から新設されたものなので、人数も多くありません。なのであなたにはその不足を補ってもらうことで今回のペナルティとします。」


『なんだ』


『てっきり石の上で正座とか拷問ちっくなものを想像していたが、案外普通だ』


『アニメとかラノベだとこういう時はお助け部的なものに入るのがお決まりだから、そうじゃなくて良かった』


『そうなってしまったらトラブルに自ら首を突っ込むことになってしまう』


『それに人数が少ないというのもグッドだ』


『トラブルというのは真実と同じで人間関係の数だけ存在する』


そんなことを考えていたら下駄箱まで着いてしまった。


「ほら、なにしているんです。ボーッとしてないで靴を履きなさい。」


少々呆れ顔の先生が急かす。


「え、でも委員会の仕事なんですよね?普通は校内の教室とか専用の部屋があるのではないんですか?」


「さっきも言ったでしょう。今年から新設された委員会だと。なので校内に専用の部屋は無いんです。ただ、活動場所の近くに小さなプレハブ小屋があります。そこが待機場所兼作業場になってます。明日からは1人で行って委員会の活動をしてください。」


先生の目が怖かったのでとりあえず靴を履き後に続くことにした。




うちの高校は昇降口を出てすぐに中庭がある。


中庭の中央には大きな花壇があり、その数メートル上を空中廊下が旧校舎とL時の新校舎を繋げている。


つまりコの字の中央に中庭があるという事だ。



そのコの字の中で唯一隔たれていない面から旧校舎の裏側へとぐるりと回り、ろくに整備されていないであろう草生えまくりの獣道(?)を進む。


途中スカートやストッキングに葉が擦れて痒いのか手で払いながら安曇先生がどんどん進んでいく。


しばらくして先生が止まった。

そしてこちらに向き直り


「双葉くん。ここがあなたの入った委員会の活動場所です。」


目の前にはでっかい小屋と小さい小屋がふたつ並んでおり、その周りだけ多少整備された空間が映し出された。


そして大きい方の小屋に先生が近づいて俺を手招く。


「あなたのペナルティである委員会の仕事はこれです。中を見なさい。」


訳がわからなすぎて混乱していたが

・こっちに来い

・ここを見ろ

これだけは理解したのでその通りにしてみた。


ガシャン!!!!


小屋の中から大きな音がした。

と同時に近づいてわかったことがある。


臭い…生ゴミとかそんなのではなく獣臭がしたのだ。


正面は普通の壁だか他の3面は金網で出来ていた。


なので外から中を確認するのは容易であった。


その小屋の中にはウサギや亀、鶏が一緒くたに飼われていた。


目を丸くしている俺の横で安曇先生が


「あなたの委員会は飼育委員会。この小屋の中の子たちの世話をするのがあなたの仕事です。」


俺は訳のわからなさにただ首を縦に振るしかできなかった。


「では隣の小屋にいきましょう。今日はあなたにほかのメンバーを紹介します。全員は集まっていませんが委員長ほか数名はいるので問題ありません。」


一刻も早くこの臭いから離れたかった俺は承諾の返事をし、飼育小屋の隣に建つもう1つのプレハブ小屋に向かった。


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