第六話 事件
……ここ何処?私は昨日自分の部屋で寝て……学園に来たはず……なんですが……?
え、どうしましょう……今ピンチなんですが?
「アルフィアさーん?起きたんですかー?」
「……何ですか?この状況は」
闇の手錠に闇の鎖が繋がっていて動けませんね……。ここは……学園ですかね?
「えー監禁ですよー?」
「何でですか?」
「だって余計なことしそうじゃあないですか」
「する気すらなかったのに?」
「だってこの世界が乙女ゲームだってこと知ってるじゃないですか?用心しておくべきでしょ?」
「……そう。で、これから何するつもりなんです?」
「最終イベント、告白ですよー?」
「早くないですか?ゲームでは1年後ですよね?」
確かそのイベントはメルレットの卒業時のイベントではありませんでしたか?
「強制的に発生させるんですよー!フフフッ!王子様と婚約出来るなんて夢みたい!」
「強制発生させるためにこんなことを?」
「そーなんですよー!そのためにわざわざ人殺してこの力貰ったんですからー!」
……やっぱりですか。行動が早かったのも闇魔法の力を得たことが理由ですか……。
「ああっ、そろそろイベント発生の時間!じゃ、アルフィアさん。大人しくしてて下さいね?ま、私が催眠かけた見張りもいますし、逃げようにも逃げられませんけど」
「……」
そう言ってメルレット嬢は去っていきました……が!逃げますよ、勿論!
「さて、どうしましょうか……ま、強行突破でいくしか無さそうですね」
ブチッと拘束を解いて立ち上がると立ちくらみがしました。無理してますからね。でも行かないと……と思いつつドアを蹴飛ばして外に出ると、メルレット嬢が言っていた見張りがいたので頑張って倒します。
「「……!?どうやって出てきた!?」」
「普通に出てきただけですけど?」
「いや、普通なら出られねえよ……でもまあ此処から出してやるつもりはねえぞ?」
「駄目なら強行突破するだけですって……はいじゃあ退こうね?」
そう言って着ている上着の中から銃を取り出してにっこりと笑った。
「そこまで言ってくれるんでしたら……勿論楽しませてくれるよね?」
「……これは手強いかもしれん。ガチで行くぞ」
「おう」
しかし、弱かったのか銃を2発打っただけで終わってしまった。つまらない。
「……手応えなかったですけど、まあいいか」
そう言って学園の長い廊下を足音を立てずに走っていきましたがすぐに止まりました。
「…………だーかーらー!面白そうだから行かねえ?って話なんだけど、どうする?」
「えーだってさあ面倒いし言われる側の人が可哀想じゃん?」
メルレット嬢が引き起こそうとしているイベントのことらしいですね。生徒に見せびらかすつもりみたいです……。この2人の令息に聞いてみますか……。
「ちょっとその話聞きたいんですけど。」
「んーいーよ?」
「実はさーメルちゃんがみんなを講堂に呼んでてさーあ?」
あれか。
「それで『行かねえ?』ってことですか?」
「そうそう!でもさあ、婚約破棄のことに関しての話らしいけど……言われる側の人が流石に可哀想になってくるじゃん?」
「成程。貴重な情報ありがと。」
「「あ、お、おう?」」
「じゃあ失礼しますね」
2人はぽかんとしてしまいましたが、気にしていたらキリがないのでさっさと立ち去りましょう。……いやしかし、どうしましょうか。うーん……そうですね隠・し・通・路・から行きましょうか。
◇
場所を移動して今は講堂の皆さんから見えないところにいるのですが……修羅場ですね。
「この間お前と婚約破棄をしたがまだ俺に縋り付くつもりか!?」
「そんなことなんてしていませんが?」
「メルがお前にまだ虐められていると言っているんだぞ?自分の行いを正当化しようとしたとしても無駄だけどな!」
「してないと言っていますが……」
「まだそうやって言うのか!」
「ーーッ!」
「事実なんですからいい加減認めたら如何ですか、ティーナ様?」
いやいや……ティーナはやってすらないですからね?
「やってないと何度言えばいいのですか?」
「正当な理由が無いからなあ?……まあ、俺かメルの靴に口を付けたら考えてやらなくもないな」
は?いや……はあ?
流石に周りの貴族達もざわついていますよ……まあそりゃあそうですよね。
「ほら、早く決めたらどうだ?」
「……」
すると殿下が動きました。……何をするつもりなんでしょう?
「「「ーーッ!!」」
……!?令嬢の胸ぐらを掴むなんて国の次期トップとしてありえないことですよ?
「さっさと決めろって言ってんだろ?な?お前と話す時間なんてゴミ以下の物ですらないんだよ。ほら、答えろよ!」
「「「ーーッ!!」」」
ドサッ!
な、投げた?今投げましたよね?
「いっ…………た…………」
「ティーナ!」
「……ゲホッ……来ない方が貴女のためよ」
「ほらさっさと答えろよ?」
「……」
「もう一回同じようなことされたいか?」
「……私はーーーー」




