なさぬ者
不定期ですがぼちぼち書いたりします
世界は身勝手だ、それは自分自身が身勝手である事からも証明されるだろう
例えばアイドル
心血を注ぎその成功を応援し、喜びを分かち合い、苦楽を共にしたと勘違いしている存在にパートナーが居たと知った瞬間、その愚か者は手のひらを反すだろう
例えばスポーツ選手
贔屓のチームのエースに全幅の信頼を置き、他のチームのサポーターにエースがいるからうちの勝ちだと喚く者はそのエースがチームを去った後に壮絶なブーイングを与えるだろう
人は自分の希望でしか世界を捉えない、見たいものを見て、聞きたいものを聞く
その裏で見られる事も聞かれる事もなくただ朽ちていく数多の事象に思いを馳せる事はない
自分の世界が暗闇に満ちている時、お前は切り捨てられる側の、声亡き者なのだ
そこでお前を殺すのは他人ではない、お前自身の怨嗟の声だ、かつて投げてきた言葉の刃は余さず自分へと返ってくる
忘れる事勿れ、見殺しにする他人が悪なのではない、それに期待して何もしない自分が悪なのだと
やれる事はやったと主張する者もいるだろう、それで現状が変わらないのであれば、やれる事だけをやっただけなのだ
自分の殻を破らず、手に届く範囲で、労せず、出来る事だけをやった人間に祝福が舞い降りるだろうか
成功する者はすべからく行動を起こしている、そう、当然のように
手だけを動かし、怨嗟を並べる者に何が与えられるのだろうか
世界はいつでも取捨選択をし、また自分自身もしているのだ、明日の自分を殺すのは今の自分に他ならない
「・・・わかってるよそんなこと」
六畳一間の鳥カゴで男はつぶやく
何もなさない男は自分の打ち込んだ言葉に対して苛立ち、冷蔵庫へと向かう
手に取るのは牛乳とプロテイン、ろくに運動もしないこの男はそれを好んで飲んでいる
努力はしているという言い訳の為か、愛煙家が申し訳程度に加熱式タバコを吸うように
「・・ふぅ」
一息つくと男はシャワーを浴び出かける準備を整える、向かう先は牛丼屋か、はたまたハローワークか、定職に就かぬ男に取れる選択肢はほとんどないのであった
成す、為す、生す、何かを作ったり行動を起こしたり成功したり、なすという言葉は希望の言葉です、素晴らしいですね