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共犯者の回顧録


それは時獄と呼ぶべき光景だった。

グラウンドに影が刺し、一瞬の内に時が止まった。

視界には凍りついたように活動を停止した観客や選手たちの姿。

敵フォワード数名に至ってはキックオフからの強襲の勢いをそのままに片足立ちの前傾姿勢という人間のバランス感覚では到底なし得ないような、オブジェのような姿で固まっている。

この異様な光景は広さにして4000平方メートルのサッカーコートと、その周囲一帯に広がっていた。

その空間に生態時間の継続が認められる存在が、私以外に1人だけ。

影によく溶ける黒色のユニフォームと、天使の光輪の出来損ないのようなアホ毛を装備した「彼」がセンターサークル付近で(たたず)んでいる。

少し伸びた髪のお陰で、ユニフォームが無ければ女の子と見間違えてしまいそうなほどの美少年だった。

当人は混乱している様子だが、同時にとても悲しそうな目をしていた。

その眼差しから感じる懐かしさに思わず目が潤むと同時に、私の知る「彼」の存在が確定した瞬間だった。

「また会えたね、私の共犯者」

きっと、どう足掻いても彼は死ぬ。

私が居ても、居なくても彼は死ぬ。

私が身代わりに死んでも彼は死ぬ。

どうせ死ぬなら、どう書き換えようが私の勝手だろう?

さぁ、全てを終わらせよう。


「My wish is that you end this world.」

(私の願いは、あなたがこの世界を終わらせる事です)


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