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こおろぎ

作者:

 

 チヨチヨチヨ、おばあちゃんが、そう呼ぶ声は、まるでこおろぎみたいに甲高くて、私、嫌い。いつも、小池の傍のししおどしの傍で秋口に鳴くこおろぎは、凄く煩いから。それに、よくみたら、怖い顔してるから。


 重ねて嫌な存在って。


 それに、おばあちゃんは、茶室に籠もりきりであまり、遭わないの。嘘みたいに小さな身体で。


 ……正直、やっぱり怖い。こおろぎみたい。


 **


 そんな風に思っていたのに、変なの。最近越してきたまっつんが……、まっつんっていうのは、凄く身体の弱い女の子なの。ショートカットの。叔父さんの娘さん。同い年なのに、元々心臓に小さな穴が空いてて、だから、あまり走り回ったり出来ないの。静かな環境の家にまっつんが住むようになって暫くして、まっつんがおばあちゃんにお茶を習い始めて……。私の苦手なお稽古事も上手にこなして、縁側で月の光の下、ぼんやりしていたのを見たの。


 偶々目が醒めて、


 コロコロコロって、こおろぎが鳴いてた。


 不思議ね。私、その日から、こおろぎは恐くないんです。

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