07 再接触
この戦争にギルドからどれだけの船が参加してどれだけの船が生き残っているのかは知らないけれど、残存艦隊と合流できればたしかに戦力は増強し、その後戦闘になったとしても失われる艦は減るだろうけどね…
「私が敵なら各個撃破の絶好の機会と思いますね、集合宙域は分かっているのですからその近辺で網を張っていれば勝手に獲物が飛び込んできます」
「そうなのよね……」
アドルもそのことは分かっているのだろう、しかしギルドの指示にあからさまに逆らうわけにもいかない。
「まぁ末席とはいえギルドの幹部なんだし、アドルには苦労してもらうわ。私達は撃破されないように行動しましょう」
しかしその願いもむなしく移動を開始して暫くすると敵の艦隊に遭遇した。スクリーンには円……いや玉状に布陣する艦隊が映しだされる。
「方円陣か……たしかこれは防御向きの布陣よね?」
「はい、艦隊も防御に向いた編成がされているようです。おそらくこの場所に私達を足止めさせたいのではないでしょうか?」
「足止めね……他の味方艦隊が攻撃を受けているのか、それともしばらくしたら援軍がくる予定なのかしらね」
「ただ方円陣は防御陣形といっても索敵を重視して、敵の奇襲を受けづらくする陣形です。その為外側に膨らんでいて船同士の密度が薄くなって直接的な戦闘には向いていない陣形です」
「じゃそこに付け入る隙があるのかもしれないわね」
「セオリー通りでしたら敵に遭遇したら別の防御、または攻撃陣形を取るはずですが…」
敵も私達の艦隊を把握してるはずだけど布陣を変えるような動きは見られなかった。
「先ほどの敵(CBC/RUS連合)もそうだったけど大規模戦闘になれていない指揮官なのかしら?」
「もともとこの戦争の発端は意図せずCーS6S星系が未占有星系になったためでした。CBC/RUS連合も直前まで戦争を意識していなかったはずです。そのため向こうも戦争準備が整ってなくログイン可能な人材をかたっぱしから投入してるのかもしれませんね」
「そういう私もこんな大規模戦争は初めてだし、人のことは言えないか……」
「ただ勝っているのは向こうですから戦意は高いかもしれませんね、星系から補給も受けやすいです。こっちは負け戦ですし、お姉様も含めて皆戦闘をやめて早く帰りたいと思っているはずです」
先ほどの敵も少ない犠牲で撃破したとはいえ勢いはあったのを思いだし、ヤスコの方に微笑むと「そうね」とうなずいた。