64 大図書館へ
食事をしながら簡単に明日の予定の打ち合わせをしつつ食事を終えた私達は再び各部屋に戻っていた。
暗い部屋の中をソロソロと動き寝台に横になる。睡眠ではなくただ横になるだけだ。
そしてゆっくりと瞳を閉じる。
肉体的疲労では無く、精神的疲労を癒すために……
翌朝、エリン達は宿の食堂で用意された朝食を摂っていた。もちろん私とヤスコも同じテーブルにいる。
メニューは夜の食事と見た目は大差ない物だった。
うーん、汲み置きの水より安全とはいえ朝っぱらからお酒を飲んでいるのは違和感あるわね……。
恒星がわずかに顔を出した程度の時刻だが、それなりの人数が食堂で食事を摂っている。
エリンが硬そうなパンの最後の一切れををスープに浸し、そのままスープごとパンを食べ終わると、水代わりのお酒に口をつけ一息ついた。
「昨日のお話では鉱物資源の情報を当たるなら、最初は大図書館で調べた方が良いというお話でしたよね」
エリンとは向かい合う様に座っていたヤスコが、エリンの食事がひと段落着いたのを見て声を掛けた。
「ええ、この都市では大図書館という書物を集めた建物があり一般の方々にも開放されていたはずです。もちろん国家機密みたいなのは閲覧制限が掛かっていると思いますが……」
「制限が掛かってないことを祈りましょうか……、それで場所はご存知ですか?」
「場所ですか……」
ヤスコの問いにエリンは空になった食器を見つめる様に視線を落とした。
「……申し訳ありません、私もその……馬車で行ったので正確な場所はわかりません……」
「そうですか……。でも話を聞く限り有名な建物みたいですし、この町の人間でしたら知っている人も多いでしょう」
§ § §
「ヨシコ様、ヤスコ様、あれが大図書館です」
結果的にいうと大図書館の場所はスグに判明した、宿の給仕に聞いた所、宿の主人がいろいろ教えてくれたのだ。
なんでも一般人でも出入り可能なのは確かだが、そのさい一般人には高額の保証金を預けなければならないらしく場所は知っていても多くの一般人は入ったことが無い様だ。
保証金は退館時に返却されるそうだが蔵書を汚したり破損させたりした場合は没収されるらしい。
この惑星の本は大半が羊皮紙で出来ている為耐久性は高いがそれでも万が一のことを考えると一般人にはなかなか訪れる事が出来ない建物の様だ。
貸し出しも可能なようだが、宿の主人にはどのような手続きで借りられるのは分からないようだった。
その建物が私達の目の前にあった。