60 ドラゴン
「古の森の近郊にも暗黒時代と言われていたころ、竜がいたという伝承がありますがこれは大昔の事です。わが領内で竜を見たという話は聞いたことがありません。しかしキュエルラスの僻地にはハルアマンというトロール族の現在は破棄された根城がありそこには竜が生息していると聞いたことがあります」
へぇ……。ドラゴンっていったら多くのファンタジー系のゲームで終盤近くに出てくるという敵よね。大昔にはあの古の森にもいたんだ。
大抵のゲームでは竜は高目のステータスを持ち序盤では歯が立たないとされる事が多い。
もちろんSF宇宙MMOであった『フリーダム・ファンタジー・オンライン』には竜などは居なかったのだが。
もしドラゴンが現れるとしてそれはどの程度警戒すればいいのかしら……。私達の体でも容易に破壊されたりするのかしら……
私の骨格を形成する超鉄は設定上はダイヤモンド並みの強度を持つという金属だったはずだ。
もちろん肉体の強度はそこまでは無い物の肉体レベルにとどまる損傷であればナノマシンにより容易に修復できるはずだった。
「その竜はどの程度の強さがあるんですか?」
「竜という種族は想像を絶する強さがあると言われています。英雄と言われてる極僅か者が多大な被害を出してようやく討ち取れるかどうかという事らしいです」
それは……。私達の体でも危ないかもしれないわね……。
「ただ私が思うにそう言った伝承は全ておとぎ話のように思えます。竜を討ち取るなどの話が載っているのは物語や神話に近い伝承の中だけです」
「そうなんですか……」
そしてエリンがいろいろ語ってくれた内容を要約すると竜という種族の生態は殆ど分かっていない事、人間のように言葉をしゃべるとされる事が多いこと、竜と契約して力を得るといった物語がある事などなど竜について知っていることをたくさん話してくれたが多くは神話に近い伝承や物語の逸話などと言ったものの域を出ない事が多いようだ。
だがその中でも強大な力を持つ竜によってハルアマンにあったトロールの一氏族が虐殺されたのは事実で有るようだった。
しかしながらそのドラゴンの名前や能力等は残念ながらエリンは知らないということだ。
「私が知っていることは以上になりますが、もしもっと詳しく知りたいようでしたらキュエルラス到着次第私が調べてみましょうか?」
「それはありがたいですね。もし時間に余裕があればですが可能なら調べて頂きますか?」
「ヤスコ様、了解しました」
ドラゴンね……。それも気になるのは間違いないけれど、国境を超えるにはまだまだかかるのかしら?