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59 夜営

 恒星が地平線の下に沈み、それでも残されていた日の光が徐々に失われて行く中、夕食が始まった。

 程よい匂いが漂う中、エリンとミーナが食事を摂っているがもちろん私とヤスコは食べていなかった。

 私達合成人間は飲食の必要がない。本来であれば程よい食事の臭いは食欲をそそるものだが、その体故か食欲が起こる事はなかった。

 することもないので二人の食事風景をジッと見つめる。

 豆らしき物と干し肉を主体にしたスープに日持ちのよさそうなパンと何らかの干し果物がメニューだ。

 給仕は主にミーナがしている。エリンが時折チラチラとこちらを見るのは自分達だけが食べていることに気おくれしているのだろうか?



§ § §



 夕食がひと段落しエリンとミーナは後片付けに入る中、私はボンヤリとその様子を眺めていた。

 時折手元のレーダーを眺めたりするが特に反応はあったりはしない。

 片付けもひと段落すると皆で馬車にもどっだ。

 今夜の見張りは私とヤスコの二交代制にした最初が私、二番目がヤスコだ。エリンやミーナもやると言ってくれたのだが、私達にとって睡眠は必須ではないのでそれは丁重にお断りをしておいた。


「それではヨシコ様、宜しくお願いします。お休みなさい」


「私は目を瞑ってるだけなので、なにかあったらスグに声を掛けてくださいね、お姉様」


「お休みなさい。エリン、ミーナ、ヤスコ」


 私はボーっと外の様子を眺めながら長い間目を瞑らないように注意する。

 時折レーダーを監視したりヤスコがまとめてくれたこの惑星ホシの単語帳に目をやりながら夜襲が無いことを祈る。長い夜になりそうだった。



§ § §



 空が明るさを帯びた始めたころに朝食の準備をし、恒星が登り始めたころには私達は街道を進んでいた。

 あれほど警戒していたのにも関わらず、結局夜襲などは皆無だった。


 ヤスコと交代した後もあまり休めずに緊張していたんだけどね。


「今日中には国境を超えると思います」


 ミーナの声に各々が頷く、このメンバーの中で国境を越えた事があるのはエリンだけだが、その時はずっと馬車の中にいただけなので風景等はよくわからないらしい。大まかな地図でなんとか現在位置を把握してるのが現状だ。特に会話もなく黙々と馬車は進む。


 地図によると国境を越えた先には兵士達の駐屯地があり、もしかしたらそこで検閲等があるかもという話で、人の住む街はそこからさらに国境内部へ向かう必要があるという。


「この辺りには何か危険な生物がいるんでしょうか?」


 あたりを見回しながらヤスコが言う。

 左右を見回せば大分視界が良くなったとはいえまだまだ森林が広がっていて見晴らしがよいとはお世辞にも言えない。が、私とヤスコはレーダーがあるので不意打ちみたいな真似は防げるはずだ。


「そうですね……正直に言うと他国の事はよく分からないのが現状です。私もそんなに多く領外に出たこともないですから」


「そうですか」


「ただキュエルラスの僻地には空から襲ってくる飛龍ワイバーンドラゴンみたいな物がいると聞いたことがありますね」


 えっ!?ドラゴン?そんな生き物もいるのね……。

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