04 接触
きっかり15分後に私達は集合場所になっている宙域D-2ーL51を目指した。
そこにいる艦隊と合流すればCBC/RUS連合の大規模な戦力と遭遇しても十分対抗しうる、アドルはそう説明していた。
私はおっかなびっくりではあったが、航行は何事も無く進み、あと少しで集合場所へと到達できると思われたその時だった。
ジュピターX-05から通信がはいりヤスコがそれをメインスクリーンに映し出す。
「宙域D-2ーL51でCBC/RUS連合と戦闘状態に入ったと連絡があったぞ。敵もジュピターを複数擁する部隊だそうだ」
「……そう。それで、どうするの?」
「どうもこうもない、すぐ救援に向かって……ちょっとまて。別の通信がはいった……」
なにかとても悪い予感がするわね……
「やばいぞ、こっちにも敵の別動隊が来てる。やつら合流させない気だ」
マジか…。
助けに行こうにもこっちも足止めね……
下手に合流すれば味方以上に敵を増やすことになりかねないわね……
「最悪ね……じゃ、合流は中止?」
「……今合流しにいっても間に合わない可能性もある……それに間に合ったところで敵も合流してしまう。」
「いよいよ戦闘が始まるぞ、自前の船で来ているヨシコには災難だったがしっかり働いてくれよ」
スクリーンからアドルの姿が消えると私は深くため息をついた後、ヤスコの方に向き直り指示を与える。
「聞いた通りよ……いよいよ戦闘になるわ。装備の最終チェックをして頂戴」
「はい、MEL-9(ミサイル)とSS15T(ロケット魚雷)は満積載です。REPAIR(修理)用資材は満積載の約半分、通常時では規定量ですが……」
「えぇ……失敗したわね。ログインしてすぐ出航したから資材を満積載にする時間がなかったのよ……」
「他のアサルトドローンやエネルギーに関しては問題ありません」
この差が生死をわける時がくるのかしら?
撃破撃墜され死んでしまうかもしれない、という意識が頭から離れない。
ヤスコが不安そうな顔で私を見つめる……
「あら、ヤスコ(NPC)でも撃破されるのは怖いと感じるの?」
「はい……お姉様が死んでしまう、と思うと怖いです……」
「ヤスコ自身の事にについてはどうなの?ヤスコはAIとはいえ感情があるわ……性格を設定したのは私だけど感情等は貴方達フェロー(NPC)に設計時から設定されているものよ、自身が死ぬのは怖いと感じても不思議じゃないわ」
「よく……わかりません……」
そう言ってヤスコは首を振る。
人間の思考を持つプレイヤーと0から構築されたNPCのAIでは情報の蓄積過程が全く違うが、少なくともヤスコには疑似とはいえ人格があるように見える。
それはプレイヤーとどう違うのだろうか?
そんな考えに耽っていたところ敵襲を知らせる警報が鳴り響いた。
「お姉様、3時と11時方向から、二手に分かれて敵が接近中です!」
あまりのんびりはさせてくれないのね…