表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/66

35 反撃

 いまだ喧噪の続く方角へ歩き始める私はわずかな血の匂いを感じ僅かに眉をひそめた。

 人が争うような音もどんどん大きくなっていく。


「ヤスコ……、襲ってきた人たちは何人ぐらいだと思う?」


「そうですね……、本当にここの集落を滅ぼそうとすれば100人以上は必要ですね。セオリー通りなら100人以上200人以下という所ではないでしょうか?」


「そんなに……」


 足を進めるごとに血の匂いが強まっていく……。

 そし視界に敵らしき者を捕らえた瞬間、突然ヤスコが走り出した。

 その直後、ヤスコと私の元に十数本の矢が降り注ぐ。


 「きゃ!!」


 私は思わず両手で顔を覆い矢を防ごうとする。

 矢が衣服と外皮に突き刺さろうとするが、突き刺さることなく落下した。


 あー、びっくりした、ちょっと怖かったわね……。


 私のボディのは『フリーダム・ファンタジー・オンライン』では第三世代型と呼ばれるPVP(対人戦)を考慮した多少コストは高いが耐久性に優れたタイプだ。

 筋肉部は超強化分子プラスティックで出来ており、矢や通常弾みたいなものでは貫通できない。

 そして超鉄スーパースチールといわれる超合金で出来た骨格は仮に筋肉部を破壊されても動き続け、表面を覆う外皮は有機人工皮膚だが傷ついてもナノマシンが自動修復してくれる、というゲーム内設定になっている。


 『フリーダム・ファンタジー・オンライン』は詐欺や窃盗、強盗、殺人といった犯罪者プレイが認められているため少なからずPKプレイヤーキラーと言われる行為に会うことは少なくない。


 しかしそれらの大半は宇宙ソラで行われるため耐久力はあるがコストが高い合成体ボディを使用している者はそれほど多くなかった。

 宇宙船フネや脱出ポットを撃破されれば、どんな高性能なボディを使用していても戦闘不能、オフラインゲームでいうところの残機が減ってしまうからだ。


 ただ少数ながら惑星ホシ上での銃を使ったPKプレイヤーキラーもあるため私を含めて一部の者は耐久性の高いボディを使用していた。


 ヤスコのボディはNPC専用の汎用型とよばれるプレイヤー専用のボディより安価なタイプだが、それでも骨格は超強力鋼ハイテンションスチールで出来ているという設定だ。


「なんだと!?」


 敵の声かしら?明らかに動揺した様子ね。


 顔を覆っていた手を下ろし声の方角を見るとヤスコが手に持ってる剣で敵を薙ぎ払いながら進んでいた。

 剣を振るたびに立ちはだかる敵の体が水平に飛び、体液が飛び散る。

 ヤスコが通った跡には二十人近い人数が地面に転がっていた。


 それを見た私は――


 うわ、グロッ。やだ……何あれ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ