27 人……?
私達はヤスコを先頭に落ち葉が積もった腐葉土にのこった足跡を逆にたどりながら見失わない様に慎重に進む。
私にはよくわからないけど何らかの足跡がうっすらと残っているみたいね。
ヤスコも集中しているのか特段の会話もないまま歩き続ける。
と、突然ヤスコが立ち止まってこちらに振り向き口を開いた。
「お姉様、前方にレーダーの反応があるようです。何かが来ます」
私も自分の携帯端末に目をやる。
確かにレーダーに光点が一つこちらへ向かってきてるようね。
「またあれ?フェラルオーク?かしら?」
「わかりませんが……。一旦隠れて様子を見た方がいいと思います」
その言葉に頷くように私達は体を隠せる近くの茂みに腰を下ろしてから数分後、ソレは視野に収まる距離まで近づいたのを確認し、恐る恐る茂みから様子をうかがう。
「あれはフェラルオークではありませんね……。人です」
その時、同じように隠れながら様子をうかがっていたエリンが急に立ち上がると、その人物に向かって走り出す。
「マーベット!」
「エリン様!!」
姿を見せたのは女性だった。エリンに駆け寄り無事をとても喜んでいるようだ。
「今までよくご無事で……。もう半ばあきらめかける人もいました」
「心配かけてごめんなさい……。あの方々に助けて頂きました。お二人とも、もう出てきても大丈夫ですよ」
その言葉を受けて、私達は茂みから立ち上がった。
「ヒューマン?」
マーベットと呼ばれたその女性はそう呟くと腰の刃物に手をそえる。
あら、ずいぶんと警戒されてるわね。
ヤスコの目が険しくなってるわ……。
「お姉様。もし明確な敵対行動を示すようならアレは排除します」
私達にしか通じない言葉で囁くようにヤスコは言う。
そんな目で相手をみるのはやめて!ほら相手もさらに警戒してるじゃない……。
「マーベット、このお二人は私を助けてくださった方です。あまり警戒しなくても大丈夫ですよ」
「……本当に信頼してもよろしいのですか?何者か分からない以上警戒は必要だと思いますが」
「分かっています、だけど今の所は過度に警戒する必要はありません」
その言葉でそのマーベットと呼ばれた女性は腰から手を引いた。
なにか露骨に警戒しているわね……。なにかあったらすぐにでも腰の刃物を引き抜くでしょうね。
それに……
「エリンはただの避難民ではなくそれなりに立場のある人物ようですね。どう見てもあのマーベットというのはエリンに従属しています」
どう見ても年上の女性から様呼ばわりされてされているし……。どういう立場なのかしらね。