24 未知なる言語
結局、私達と彼女はそのままその洞穴でしばらく生活をすることになった。
いろいろ考えた結果やっぱり部外者に船の位置を知られるわけにはいかないという判断になったのだ。
船には人が生活する物資もないしね……
幸いな事にこの洞穴からさほど離れていない場所に水辺があり、水はそこから定期的に運んでくることで用がたりた。
食料についてはヤスコは最初、殲滅した個体を食べさせようとしていたがそれは全力で止めておいた。
「お姉様、生きるということは他の生物を犠牲にするという事なんです。私達は確かに身を守る為にアレらを殺しました。しかしそれは出来るだけ有効活用するべきなんです」
……などという恐ろしい持論を振りかざすヤスコを説得するのは酷くつかれたわね……。
幸い洞穴には食料貯蔵庫みたいな場所があり、酷く臭いのする得体のしれない肉と一緒に、木の実や果物のようなものがあったのでそれを与えておいた。
彼女……エリンという名前のようだけれど身体的には足に異常がある程度で、他には目だった傷跡は無かった。
どうも足をくじいていて治るまでうまく歩けないようね。
エリンの服装は上半身は動物の皮をなめしたようなものを上着にし、下半身はスカートの中にロングパンツのようなものを履いていた。
殲滅した個体とは比べものにならないぐらい文化的だけど、私達と比べるとかなり落ちてしまうのは仕方ないわね。
会話については初日はジェスチャーがメインだったけれど、翌日にヤスコが船から紙とペンを取ってきてからはより意思の疎通がしやすくなったみたいね。ヤスコが絵を描いてエリンにそれがなんという単語か教えてもらう感じで言語学習を進めているわ。
この洞穴を住処にしていた個体はフェラルオーク、若しくはオークフェラルかしら?呼び名が時々かわるのではっきりとはしないけどそんな名前ね。
この惑星で私達が最初に襲われた個体と、この洞穴を住処にしていた集団は同じ個体だったわ。
このあたりにコロニーが密集しているのか、はたまた洞穴で集団生活をしていた個体の一部なのかはまだ不明ね。
……そして私にとって一番つかれたことは夜な夜なヤスコを先生として未知の言語の勉強をさせられたことかしら……。
「いいですかお姉様?私もいまこの言語を習得中ですがお姉様にも習得してもらわなければ困ります!私とお姉様が別行動することもあるんですからね!」
そう言われるとこちらも反論できないわね。もともと命を助けるためとはいえ彼女から言語を学ぶと言い出したのは私のわけだし……。
この未知の言語はSVO型の言語らしく、英語の勉強方法が役にたったのが少しは幸いしたわね。
アクセントの付け方も日本語より英語の方が近い感じみたいね。
そんなこんなで一週間ほどたつとヤスコは片言ながらも彼女と会話が出来る様になっていたわ。
さすがヤスコね!
私?私はまだほとんど聞き取れませんがなにか?




