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11 撤退準備

 後退も決してスムーズにはいかなかったが、なんとか敵を振り切ることに成功したアドル率いる私達の艦隊はジュピターのHDPハイパードライブポータブルの展開準備に入っていた。


 HDPハイパードライブポータブルは艦隊を丸ごとHDハイパードライブ出来るがそれにはいくつかの制約が伴う。


 一つは移動中に展開できず船速アシを完全に止めなければならない事。

 そしてHDPハイパードライブポータブルを展開するには多少の時間が掛かり、その間はジュピターの攻撃力、防御力が大きく低下する事だった。

 そのためある程度安全圏に退避しなければ展開できなかった。


 プレイヤーの中にはジュピターのHDPハイパードライブポータブルを人気アニメから『ドコデモ扉』扱いする者もいるが強大な性能故にゲーム的な制約もあるということだろう。


「あと数分でHDPハイパードライブポータブルの展開が終了する、ヨシコの方も準備はいいか?」


「私はいつでも大丈夫よ、それよりやっと帰れるのね……とはいえ、途中参戦の私よりアドル達の方が疲れていると思うけど」


「……あぁ、半日近く戦っていたからなぁ……。それにギルドに帰ってもすぐログアウトちればいいヨシコ達と違ってこっちは物資や艦隊フネの残量確認や補給計画の見直し、今後の方針等を決めなきゃならん……。正直こちらの方も頭の痛い問題だ」


「お疲れ様、それは幹部の責務って奴でしょ?手を抜かないでやってもらわないと困るわ」


 そう言って私が微笑むとアドルも苦笑いした。


「だけどそれはギルドに帰還してすぐにやらなくても良いんじゃない?アドルも早目に落ち(ログアウト)てゆっくり休めば良いと思うわね」


「そうだな……。何にせよひとまずギルドに帰還してからだ」


「ところで……キリトはあんな事を言っていたけど何か切り札でもあったのかしら……」


「いや……おそらくはないだろう……。いくらギルドの中でも用兵がうまいキリトといえどあの数の敵艦隊を相手にして撃破できるとも思えん」


 少し沈んだ声でアドルが言い、それを聞いた私も少し気持ちが沈んだ。


「だが……、逃げる事は可能かもしれないな、それにもし撃破やられたとしてもゲームの中の出来事だ、本当に死ぬわけじゃないからあまり気にしてもしょうがないぜ?」


 その言葉を最後にアドルとの通信が切れる。


「だそうよ?ヤスコ、もうすぐギルドに帰れるわ。私は久々の艦隊戦だったけどやっぱり疲れるわね」


「私は久々にお姉様と戦闘出来てとての楽しかったです」


 そう言いながらヤスコは鈴のような声で笑う。私はいつもこの声が可愛いなと思ってしまう。


「ギルドに戻ったらお姉様とはまたしばらくお別れですね……」


 そしてその声を合図にしたかのようにアラームが鳴り響いた。


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