表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/66

10 合流

「すごいわね……数の上で劣勢で士気も低いはずなのに互角に近い戦いが出来るなんて。指揮官は一体だれなのかしら?」


 スクリーンに映し出される味方艦隊の敵艦隊に対する巧みな用兵に思わず声が漏れた。


「確かに素晴らしい用兵だと思いますが……」


 ヤスコは浮かない顔でスクリーンを見ながら問題点を指摘し始める。


「この用兵は長続き出来るものではありません。陽動と牽制と火力の集中砲火の3つの要素により何とか態勢を維持してますが、それでも徐々に牽制や陽動できる範囲が狭まってきてます」


「そうなの?」


「物資や弾薬は無限では無いですから……元々少数な部隊による用兵は長期戦向きではありません。このままでは遠からず撤退か壊滅かのどちらかの運命になるでしょう」


「プレイヤー(中の人)の体力も無限ではないしね……あの艦隊がいつから参戦しているか知らないけれど、大分疲労していてもおかしくないわね」


「後方の敵艦隊の相手をせず、全速でこの宙域に来たかいがありましたね」


「アドルの指示は的確だったわね……でもどうなの?私達が合流すれば勝てる見込みがあるかしら?」


「できれば『はい』と言いたい所ですが……」


「こっちも後方から敵艦隊に追われるようにしてこっちに来てるから……敵も合流すると勝つのは難しいかしらね……」


「星系が敵の手にある以上、長期戦になればなるほど不利になります。戦って勝つ場合は短期決戦しかありませんが……」


 これからどのような指示があるのかしら?と、思っている所にアドルから通信が入りヤスコが繋げる。


「これから俺たちの艦隊は前方で戦っているキリトの艦隊の指揮下にはいる、以後はキリトの指示に従う……」


「キリト?あの前方の艦隊はキリトが率いてるの?」


「あぁ……」


 キリトか……。ギルドの上級幹部の一人だけど私とはあまり面識がないわ。

 噂では大規模戦闘には必ずと言っていいほど参戦する戦闘狂バトルジャンキーらしいけど、目の前の戦いを見る限り噂は正しそうね。


しばらくするとスクリーンに黒髪のキリトの姿が映し出された。


「キリトです……ギルドから合流指示を受けていると思うけど、それは中止。この宙域にいる艦隊のみで宙域を離脱してギルドに戻るよ」


 その言葉を受けてアドルが発言する。


「キリト、それは願っても無い事だがいいのか?ギルドの指示は飽くまで合流が優先だぞ?」


「いいよ、なにか言われたら俺の名前出して良いから。このまま合流を目指してたらまず間違いなく全滅するよ?」


「それで離脱って言っても目の前の敵艦隊はどうする?それにこれは俺達が連れてきたも同然だが後ろからも船速アシの速い敵艦隊も追って来ている……」


弩級戦艦ドレッドノート戦艦バトルシップを軸にした部隊で遅滞行動を実施するんだ。その間に後方にジュビターを逃がしてHDPハイパードライブポータブルを展開するよ」


「それは……」


「遅滞行動の指揮は俺が取るから、アドルは撤退部隊の指揮を執ってね」


 これは……。いくらキリトの用兵が巧みでも、残った部隊で敵艦隊を撃破できるとも思えないわ……

 自分の身を挺して少しでも多くの船をギルドに帰そうというのかしら?

 それともなにか起死回生の策があるの?


「大丈夫だよ。俺も皆を逃がしたらすぐに撤退するから」


 そう言って微笑んだキリトの顔は決して虚勢では無く自信に満ちているようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ