私の不幸は魔法の味

明治乙女――黒い思春期に魔力を開眼させ、後に世界を救った最強の魔法使い。

だが、しかし。
人知れずの世界救済と引き換えに、就職活動の機を失った明治乙女。

大学卒業後フリーターとなった彼女を待っていたのは、母親の冷たい居候扱いの日々。
そんな肩身の狭い乙女であるが、彼女の衰え知らぬ魔力がある未来を確信させる。

それは――３０歳までに女の子の一番大切なものを捧げなれば、魔力が暴発して世界に災厄を招くであろうというもの。

童貞三十路にして魔法使いとなるのはもはや自明の理であるが、処女に前例は無くこのままでは過去未来をも揺るがすほどに真理を捻じ曲げてしまう恐れのある乙女。

タイムリミットまではあと数年。

職と、恋と――望むのはあまりにも慎ましく、ささやかに。
ぐだぐだライフ、どうぞご賞味あれ。