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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
99/346

 無事宿を確保した俺は早速火床制作に取り掛かった、

 この洋館にはサンタが入って来れそうな程立派な暖炉がある。

 サンタ……お前こんな所へ冬の使用頻度の高い時期に入って来るのか……無茶しやがって……

 そんな暖炉を錬金術先生の力によって火床へと変えていく。

 だが鍛冶を行うには火が弱い。そんな時のこの方である。

 

「て事で頼むフィア」

『任せなさい!』


 頼られてノリノリのフィアが火力を上げる。

 半分に割った魔結晶を錬金術先生の力で型を取る。

 型を取るのに使うのは泥岩……つまり粘土。

 ピッタリの型と少し大き目な型を作り、間に溶かしたレアメタルを流し込む。

 これで魔結晶を覆うレアメタルが出来る。うるさい音しなかったね。

 そんな作業を目覚めたばかりの白髪の少女が、ソファーに座りながらぼやーっと見ていた。

 その赤い瞳には揺らめく炎だけが映っていた。

 穂乃香? 穂乃香もずっとこの作業見てるよ?

 作ってるのが自分の武器だとは思いもせず。

 

「…………パパとママは……どこ……?」

「……お前のパパとママはもう居ねぇよ。半年前に死んでるんだ」


 隠しても仕方ないので正直に話す事にした。

 元々子供の相手が得意な訳では無い。それは穂乃香にも言える。

 今此処に居るのがよりにもよって他人に興味無い組の二人だ。仕方ない。

 

「もう居ない……?」

「ああ」

「もう会えない……?」

「ああ」

「……そっか……」


 リノは再び揺らめく炎を見つめた。

 

「みんな……ずっと一緒って言ったのに……パパの嘘つき……」


 その約束は、ゴーストになってからの物。

 優しく、残酷な嘘だった。

 レアメタルは現在冷まし中。冷めたらバリをノミで取り除いていく。

 誰だうるさくならないって言った奴、うるさくなるじゃねぇか。

 うるさくなる前に、この少女と少し話さねばならない。

 俺はソファーの前に移動し、リノの隣に座った。

 

「ねぇ……ずっと一緒に居てくれる?」

「……ずっとは無理だな。寿命から考えて最後まで生き残るのはお前だろう。俺らが死んだ後お前はまた一人になる」

「…………そっか」

「だから、お前が一人になるその時までは一緒に居てやるよ」

「――! ……うん」


 それが独り立ちと言う意味か、生涯でなのかはこいつ次第だが、必ずまた一人にはなるだろう。

 俺はリノの頭を撫でた。

 するとリノはモゾモゾと動き出し、俺の膝の上に座った。

 なぜに膝の上。

 

「……えっと……」

「ああ、俺か。月島氷河だ、好きなように呼べ」

「パパ」

「却下だ」


 なぜそうなる!? お前のパパとどう似てるってんだ!? あぁん!?

 いや、育て親になるって意味では間違ってないけども。

 好きに呼べとも言ったけども。

 この歳で父親ってのはちょっと……しかも5才の。

 

(氷君がパパ……って事は私がママ!?)


 ほら穂乃香が愉快な事になって来てるじゃねぇか。

 どうすんだこれ。

 

「ね、ねぇ! 私は? 私は?」

(ママって呼んでママって呼んで)

「……?」

「そいつは穂乃香だ」

「ほのか」

「ママじゃない!?」


 いや、お前がママって無理あるだろ。10歳しか違わないぞ。

 床に手を付いて項垂れる穂乃香。そんなにママって呼ばれたかったのか。

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