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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
81/346

宣戦布告

 装備を渡し終わり後は出発だけなのだが……

 その前に俺と2人で話がしたいらしい。

 

「お時間頂きありがとうございます。月島様」


 元近衛騎士団副団長、日坂の奴隷にしてラミウムの騎士、ロータス。

 8人のパーティーメンバーで、俺と一番関わりが少ないのがコイツだ。

 だからこそコイツが俺に話したい事なんて一つしかない。

 

「先ほどの大精霊フィア様の人体化のお姿、ほんの僅かですがラミウム様の面影があるように見えました。もしかしてなのですが、月島様もラミウム様に好意を持たれているのでしょうか?」


 初見であれに気付けるお前の目は変態だ。

 でも……そうだな。

 

「ああ……そうだ」

「…………そうですか……」


 それがどんなに小さかろうと好意は好意だ。

 好きである事、好きになった事に変わりはない。

 

「ラミウム様は…………素晴らしきお方ですよね」


 …………ん?

 

「心の読めるラミウム様は、ずっと人の悪意や下心にさらされておりました。しかしラミウム様は人の心とは表裏一体、悪き面もあれば良き面もあると、人の良き面を積極的に見ようとなさるお方です」


 え……あ、うん。

 

「それは国民に対してもなのです。王族に対して良き感情を持たぬ者だっています。しかしラミウム様はこのスキルは国民の声を聞くためにあると、自ら感情が渦巻き混沌としている中に進まれていくのです。たとえ敵意持たれど愛すべき国民であると」


 お、おう……これって何? 惚気られてるの?

 ラミウムって基本博愛型なんだよなぁ。

 だから他人に興味持たない俺とは気が合わないと思ってたんだけど。

 

「そんな人を愛すラミウム様ですが、私には特別な感情を抱いて下さいました」


 ………………

 

「そしてその特別は、月島様。貴方にも向けられているらしい」

「……そうだな」

「それだけではありません。私には憶測でしか感じられぬラミウム様の苦悩、それが貴方には分かるんですよね? 似たような世界を見ていらっしゃるんですから」


 人の悪意がそのまま感じ取れる。

 そういう意味では俺もラミウムも似たようなものだ。

 

「私が欲し、手に入らぬ物を貴方は手にしている。それが羨ましい……いえ、とても妬ましい」

「随分と正直だな。お前の思うほど良い物でも無いぞ?」

「貴方の前で隠し事は無意味ではありませんか。それはラミウム様を見ていれば分かります。ですが、例えそうであったとしても、私はラミウム様の見る世界を見て共感し支えたかった」


 だからコイツはその立場に居れる俺に嫉妬してるわけだ。

 そしてそれは穂乃香がラミウムに対し嫉妬してるものと同じものだ。

 

「同じ世界を見る貴方はそういった意味では、ラミウム様にとって私以上に特別なのでしょう……ですが、一番は私です」

「……一番は? 全部じゃなくて?」

「ラミウム様は偉大なお方です。私1人が独占などおこがましい。貴族が側室、ツバメをとるなどよくある事です、ですが一番の籠愛を受け取るは私でありたい。月島様、私は貴方に負けません」


 

 ロータス

 ラミウム 親愛度 ERROR 恋愛度 ERROR 崇拝度 ERROR

 

 

 崇拝なんてしてるからおかしな事になってる。

 因みに穂乃香の俺に対する崇拝度は50。

 やめて、コイツみたいにならないで。

 でもコイツ、俺を非難しに来たんじゃなくて、俺に宣戦布告に来たのか。

 スキル的には俺の方が有利でも堂々と戦うと。

 どんだけ根っからの騎士なんだよコイツ。ラミウムが惚れるわけだ。

 

「だが、俺は……」

「ええ、フィア様のお姿を見れば分かります。如月様、妹様に好意が向いているため迷われているのでしょう? 迷っている今だからこそ、宣戦布告しに来たんですよ。私にはこんなに覚悟があるのだと」

「……評価訂正。お前良い性格してやがる」


 話を聞いて、俺が負けるのが望むべき形であると思う一方で、どこか負けたくないという気持ちがある。

 でも一番の変化は、俺がロータスという人間を気に入ってしまった事だ。

 だからこそ、どうすればいいのか分からなくなる。

 俺のラミウムに対する好意が消えるのが一番良いのだろう。

 だが、消えるのが良いからと言って消えてくれる物でも無い。

 

「私からの話は以上です。月島様からは何かありますか?」

「……今の俺から話せる事はねぇよ」


 今も過去も全てを見通す鑑定(極)。

 その鑑定があったって分かんねぇ事ばっかりだ。

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