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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
74/346

第一奴隷とパートナー

「フィサリス、ちょっといいか?」

「ん~? どうしたの~? ご主人様~」

「『サークル』『テレポート』」


 フィサリスを連れて、外に出る。

 外はもう日が沈み暗くなっていた。

 ラミウムとは互いに意思疎通できるから、部屋で二人になる事も可能だが、

 フィサリスとはそうもいかない。話す内容が内容だから二人っきりの方が良いだろう。

 

「なぁに? こんな所に連れ出して。お姉さんと二人っきりになりたかったの~?」


 さて、なんと切り出すか。……直球に行くか。

 

「説明した通り、俺はお前の全てを知ってる。だから俺の自惚れでも無く、お前が俺に好意を抱いてる事を知っている」

「…………」

「その上でお前に伝えておく。俺は穂乃香と水奈が好きだ。だから――」

「――知ってるよ。ご主人様は私の事好きじゃないんしょ?

 そんな事知ってる――でも、そんなの知らない(・・・・・・・・)

 私はご主人様を好きになの、好きになっちゃったの。

 例えご主人様が私の事好きじゃなくても、私はご主人様の事好きなんだもん。

 私がご主人様を好きな事に、ご主人様が私を好きかどうかは関係ない。

 どれだけ時間が掛かろうが絶対に振り向かせて見せる!

 今更契約破棄なんて受け付けない! 私がご主人様の第一奴隷なんだから!」

 

 第一奴隷って……穂乃香が第二で水奈が第三なの? 奴隷になった順か。

 

「いつか絶対ご主人様に私の事好きって言わせてみせるんだから! 覚悟して置いてよね! …………じゃあ先に戻ってるね……『テレポート』」


 ……今は、そっとして置くか……

 

『よいしょ。えーい! 女の敵』


 フィアに頬をパンチされた。感覚的には指で突かれた感じ。

 そんな気がし過ぎてなんも言えない。

 

『氷河? 好意に対して好意で返せばいいって訳じゃ無いんだよ?』

「分かってるよ」

『ホントに? 氷河はスキルで全部見えるせいで、頭でばっかり考えてない? 感情って心で感じる物なんだよ? スキルに振り回されてない?』


 ……スキルで振り回されてるかどうかで言えば、振り回されてるだろうな……

 感情で動いてない訳じゃ無い……が、考えて動いて事が多いのも確かだ。

 心で感じる……か……

 

『氷河はもう少し心で動いた方が良いよ。見え過ぎるからこそ選択肢が狭まってる。見えてなかった時にしてた事が出来なくなってる。傷付いて欲しくない気持ちは分かるけど、気付かない内に傷つけてしまうのが人同士の関係だよ。氷河はその気付かないが出来なくなってるから、人間関係がより難しくなってる(・・・・・・・)

「……精霊に人としてを教わる俺って……」

『もう、茶化さないの!』

「でもそれって難しくないか? 傷付くって分かってて傷付く事するのか? 苦しんでると分かって放置するのか?」

『でも、それが本来なんだよ。氷河は優しすぎるから放って置けないし、同情しちゃうし、甘くしちゃう。でもその優しさって時には残酷な毒にもなるんだから』


 毒か……俺に好意を持つ者は……元々好きだった穂乃香以外毒されてるな。

 そして俺も穂乃香以外は恐らく、純粋な好意で見れてないのだろう。

 じゃあ俺が穂乃香以外に向けてる好意は偽物か? 穂乃香以外が俺に向けてる好意は偽物か?

 否、好意自体は本物だ。

 例え不純物が混じっていようと、好意が好意である事に変わりはない。

 なるほど、残酷な訳だ。

 俺が悪いのか、スキルが悪いのか。

 恐らく両方だ。俺の性格とスキルの相性が最悪だったんだろう。

 

「……なぁフィア、俺どうしたら良いと思う?」

『それは……分からないけど、でもスキルで見えている物が全てじゃ無い事を忘れないで。見えてない物の中にも大事な物があるから、たまには目を閉じて世界を見る事も必要なんじゃないかな?』

「目を閉じてるのに世界を見る。摩訶不思議」

『もう、茶化さないの!』


 知ってしまった事を知らないフリするのが苦手だが、知らないフリする必要がある時もあるって事か……難しいな。

 

「結局答えは出まず仕舞いだが……気付けていなかった事に気付けた。フィア、ありがとな」

『べ、別に、これぐらいパートナーとして当然の事よ!』

「フィアのツンデレは良いな、和む」

『和むって何よ! 私これでも大精霊なのよ!』


 俺は、叱って支えてくれるパートナーと共に洞窟へ戻った。

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