参謀の手先
さて、戦闘組はダンジョンへ向かった。
戦闘員組に同行していた護衛役の、近衛騎士副団長と宮廷魔術師筆頭だが、
あの二人は参謀の手先だ。
やだ、王って人望なくない?
しかし実際の所は元副団長と元筆頭は参謀に嵌められて、無実の罪で牢に入れられている。
あの二人はその後釜に入った者達だ。
だが王にはこの国最強の騎士、近衛騎士団長がいる。
近衛騎士団長は手先の二人が同時に相手しても、倒すのが難しいマジの化け物だ。
そこに元副団長と元筆頭がいたら参謀達に勝ち目はない。
だから牢に入れられたんだな。
因みに手先の二人が護衛をする理由は、懐かせてクーデター時に一人でも多く戦力として引き込むためだ。
それほどに騎士団長は強い。
まあ、そんなわけだから手先二人から俺は容赦なくスキルを貰いました。
月島 氷河
Lv 7
HP 40/40
MP 6/80
STR 10
DEF 11
AGL 20
DEX 24
MIND 35
INT 38
LUK 13
固有スキル『鑑定(極)』
通常スキル『剣術Lv7』『火魔法Lv3』『氷魔法Lv6』『水魔法Lv5』『風魔法Lv5』『土魔法Lv3』『雷魔法Lv4』『空間魔法Lv3』
いやーさすが宮廷魔術師。幅が広い。
そして追体験をして分かった事だが、
どうやら覚えられる魔法のレベルは俺の適正に反映されるらしい。
火魔法と土魔法は適性が低いのかレベル3までしか手に入らなかった。
逆に水と氷は高いようで、氷に関しては前のと合わさって6にまでなった。
人が違えば魔法の鍛え方も違うって事だな。
剣術は……貰ったはいいが俺の攻撃力じゃな……
それと追体験で取得できないスキルがあった。
『HP自動回復』『MP自動回復』『身体強化』
この辺は訓練して上がるスキルじゃないらしい。
自ら戦闘に参加する事で自然とついてくるスキルの様だ。
つまり貰えるのは術か魔法って事だな。
無い物ねだりしても仕方ない。これでも十分人の努力を奪ってるんだから。
非戦闘員組はスキルを磨くため訓練に参加してくるそうだ。
実戦に参加は出来ないけど、出来ることはしたいんだとか。
みんな偉いなー。
俺? 俺は自室に戻ります。
そう伝えたら男子から冷ややかな目をされた。
解せぬ。
だが、女子からは違う認識をされてるらしい。
なんでも『太陽が居なくなって月は傷心している』んだとか。
俺ってヒロイン枠なの!?
そんでもって『そんな月を妹が元気づけようとしている』んだとか。
水奈が健気っ!
実際は反対だったりするんだけど、女子たちの想像力は豊かだな。
それと女子からなんだが、俺ってそこそこ人気らしい。
意味が分からん。だけどちょっと嬉しい。
ただ、穂乃香が俺に惚れているのはクラスの女子で周知らしく、手が出せないため眺めてるんだとか。
穂乃香……やはり恐ろしい子っ!
そっか~。視線集まってたのって日坂だけが原因じゃなかったのか。
ちょっと前なら浮かれて喜んでたんだろうけどな~。
でも今はそんな事に気を掛けてる余裕もない。
神奈のストレスは少しずつだが蓄積されている。
未だ日坂救出の手段は見つかっていない。
そしてあの手先二人を相手にする事を想定した上で、強くならなければならない。
いや、日坂を救出するという事は、場合によっては騎士団長が相手になりかねない。
という事で自室に戻りまーす。
「『テレポート』」
はい。やってまいりましたレベリング。
強くなるにはこれしかないよね!
という訳で、はぐれ狩りじゃぁあああ!