懺悔
友達に貸した3DSが返って来ない……
この作品書いてて無性にアヴァ○ンコードがしたくなったのに……
最後の一体を斬り伏せる。
終わってみれば大したことなかったな……トロールの方がまだ大変だった。
いや、大変なのはここからか。
「お兄ちゃん……? お兄ちゃんがどうしてここに居るの……? 王女様のお手伝いしてるんじゃないの……? なんで……お兄ちゃんが戦ってるの……?」
……どうするか。
目撃者が多すぎる。
水奈や穂乃香だけなら口止めさせる事も出来なくないが、
他のクラスメイトまでは無理だ。
手先共はまだ外だから、ロータスとフィサリスが元副団長と元筆頭である事を、この場で知っている者はいない。
しかし日坂を知らない奴はいない。
牢にいる筈の日坂が俺と居る事が手先にバレたら、俺に疑いの目がかけられ鑑定士を呼ばれかけない。
ただでさえレベルやスキルがおかしな事になってるのに、奴隷術を持つ俺は既に国のお尋ね者だ。
現状、俺がこの国で活動するのは不可能と考えていいだろう。
となると水奈と穂乃香、神奈を連れて逃げるか?
だが、水奈が大人しく付いて来るか?
水奈の事だ、クラスメイトを放って置けないだろう。
これからこの国でクーデターが起きるかもしれないとなれば尚更だ。
でも水奈を連れ出さないのは駄目だ。
水奈は俺にとって人質と成り得る。
水奈を人質に捕られでもしたら俺は国の言い成りに、つまりは牢の中だ。
水奈にクラスメイトを棄てさせねばならない。
だが、棄てろと言って棄てる様な奴か? そんな訳無い、水奈は良い奴だからな。
じゃあ……俺が奪うしかない。
「水奈、穂乃香、選べ。俺らを棄ててクラスメイトと共に生きるか。クラスメイトを棄てて俺らの奴隷になるか」
そうだ。奴隷にしてしまえば、水奈がクラスメイトに義理立てする理由は、俺の命令によって無くなる。
水奈がクラスメイトを棄てるのは俺のせいになる。
「氷河! いくら何でもそれは――」
「――黙れ日坂。また牢にぶち込まれたいのか」
俺らの今後が牢の中かどうかが決まって来るんだ。少し黙ってろ。
日坂が口を閉じた。こいつだってあの生活には戻りたくないからな。
「お兄ちゃん……? 何言ってるの……? 冗談だよね……?」
「あぁ、俺の奴隷が嫌なら日坂の奴隷でも良いぞ」
そう言いながら神奈を見る。俺の視線を受けた神奈は――
「日坂先輩。私を奴隷にして下さい」
「神奈!? 本気か!?」
「本気です。こうなった時の月島先輩は、冗談抜きで本当にやる人です。そして私は、日坂先輩の傍に居たいんです」
「神奈…………わかった」
神奈が日坂の奴隷になった。
元々日坂に会いたい気持ちが爆発しかけていた神奈だ。
目の前に会いたかった存在が居るのに、また会えなくなるのは耐えられないだろう。
「氷君、私は氷君の奴隷になるよ」
「穂乃香っ!?」
「……いいんだな?」
「うん」
穂乃香も問題なくか。
元々穂乃香はクラスメイトに対して関心が無い。
ただこいつの行動はたまに読めない事があるから少し不安だったが……
…………お前はこんな状況でも、俺を信じて疑わないんだな。
穂乃香を俺の奴隷にした。後は――
「さて、水奈……どうする?」
「…………ずるいよお兄ちゃん……今更、お兄ちゃん無しの生活なんて……そんなの……耐えられる訳ないじゃん…………」
あぁ……お前の兄は狡い男だ。
あれだけ依存させて、心の支えである俺、穂乃香、神奈をこっちに置いた状態で、
選択肢を迫るんだもんな……
ごめんな……こんな兄で。
水奈を俺の奴隷にした。
今の気分? あぁ、かつてないほど最悪だ。
「月島先輩……一体何をおっしゃってるんですか……? 如月さんや神奈さん、それに実の妹を奴隷に……? 冗談はよして下さいよ」
冗談……? 冗談で済むならどれだけ良かった事か!
でもなぁ……もう冗談じゃ済まされないんだよ……お前のせいでな!
「俺は、この場において、一度たりとも冗談を口にした覚えは無い」
「貴方は! 自分が何を言ってるのか分かってるんですか!?」
分かってるに決まってるだろ。じゃなきゃこんな胸糞悪くなんねぇよ。
「話は以上か? ならお前らにもう用は無い。『サークル』」
「っ! 待て!」
「『テレポート』」
ラミウムの待つ洞窟へと戻って来た。
「お帰りなさいませ氷河様――ってこれは!? そんな……」
「ラミウム、とりあえず飯を食わせてやってくれ。説明はしなくていい、後から俺がする。ただその前に少し寝かせてくれ」
牢に入ってた3人に加え、ダンジョンに居た3人を全てラミウムに丸投げし、ベットに向かう。
「待ってよお兄ちゃん! どうゆう事なのか説明してよ! なんでみんなから引き離したの!? どうしてお兄ちゃんは魔法が使えるの!? 統也さんが牢に居たって――」
「――水奈、寝かせろ」
「――っ!」
月島 水奈
恐怖度 80
水奈が、他でもない俺に恐怖している。
なんで水奈に当たってるんだろうな俺、馬鹿じゃねぇの……
ベットのある一室に入り錬金術で入口を塞ぐ。
とりあえず一人になりたかった。
『氷河……あの……』
あぁ……フィアが居たか。
「フィア……悪いな。もう疲れたんだ、眠いんだ。あぁもう眠いんだよ!」
俺は……全ての事から逃げ出す様に、眠りについた。
目が覚めた。目が覚めても気分は最悪だ。
目を開けた先に穂乃香の笑顔は無い。
当然だ、俺が自分で入口を閉めたんだから。
随分と長い間寝ていた気がする。
こんなに眠ったのは転移して来て初めてかもしれない。
10日ぶり。10日前は当然の事だったのに、もうずいぶんと昔の事に思える。
どうしてここまで変わってしまったんだろうな。
『氷河……』
フィアは俺が寝てる間ずっと小指を抱き締めてくれてたのか。
「フィア……ありがとな」
『こ、このぐらいパートナーとして当然よ!』
錬金術で入口を開けて、フィアと一緒に部屋を出る。
さあ、懺悔の時間だ――




