『監視』
作者のばかー!
何のために湖から入らせたの! 牢に入ってた三人に水浴びさせるためでしょ!
なのにどうしてお話進めちゃったの! できなくなったじゃん!
あぁ……フィサリスの水浴び回……
はぁ……氷君に次会えるのはダンジョン終わるまでかぁ……憂鬱。
「穂乃香どうしたの?」
「ううん。何でもないよ」
「そう? 体調が悪かったらすぐに言ってね!」
あぁ……水奈天使。その笑顔のためなら私いくらでも頑張っちゃう。
水奈に癒されながらダンジョンへと向かう。
「月島さん、今日も回復よろしくね」
「うん……!」
おいこら有象無象。私の天使に近寄るんじゃない。
笑顔が引き攣っちゃったじゃん。どうしてくれる、燃やすよ?
学級委員だかなんだか知らないけど、水奈との距離が近すぎ。
半径2メートル以内に入るんじゃない。
「如月さんもよろしくね」
「そうね」
また有象無象に当てない様に気を付けないといけないのか。
いや、氷君に敵意を向ける奴、特にこいつなんかには当てても良いんじゃないかな?
でもそうすると水奈が悲しむもんなぁ……
うん。私が水奈の笑顔を曇らせてはならない。
それだけは絶対に有ってはならない。
良かったね有象無象、水奈のおかげで命拾いできて。
水奈に感謝しなさい。そして称えなさい。もはや崇めなさい。
「ねー穂乃香? なんかまた変な事考えてなーい?」
「別に? そんな事ないよ?」
美鈴は何を言ってるのかな?
私は当然のこの世の摂理しか考えてないよ?
水奈は天使、氷君は神。
うん。何もおかしくない。
「そろそろダンジョンに入るぞ、気を引き締めろ!」
ごついおっさんの号令により私たちはダンジョンへと入る。
さて、今日も氷君と水奈を守る為に頑張りますか。
水奈には掠り傷一つすら付けさせないんだからっ。
3層目までは大したことないけど、4層目からはトラップが多くて嫌になる。
水奈を見て癒される。あぁ……水奈天使。
必要とならばトラップに向けて、私が魔法を撃たないといけなくなる。
MPにも限りがあるからあんまりしたくないんだけど、
遠距離攻撃が出来るのが私しかいないから仕方ない。
あの宮廷魔術師とか言う人は手伝ってくれないし。
何が自分達で切り開かなければ経験にならない、よ。
ピンチな時以外手伝わないならただの監視じゃん。
MPの消費が激しい私や水奈、『防壁結界』の子には一応MPポーションが渡されてるけど、
モンスターがいつ現れるか分からないダンジョンの中じゃ、悠長に飲んでる暇がない。
長い時間気を張っていないといけないから疲れるんだよね。
索敵スキルを持った男子は居るけど、それを信じた結果がこの前にあったバットアイだからね。
気付くの遅すぎ。信用ならない。水奈の為に私は私で警戒をしておく。
あ、モンスター。美鈴が真っ先に斬りに掛かってる。男子よりカッコいいんじゃない?
美鈴には当てない様にしよう。
「『アイスカッター』」
「ちょっ如月さんっ!」
うるさい。当てなかっただけありがたく思え。