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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
65/346

水と油

 日坂と副団長を連れ出し、掘った道を進んで行く。


「なあ、氷河。お前なんで眼鏡かけてんだ? 視力悪い訳じゃ無いだろ」

「まず初めに聞く事それか? 装備だよ、ステータスアップ。お前らにも渡しておこう」


 日坂には加速の剣(+1)と赤のローブを、

 副団長には三叉の槍と緑のローブを渡した。

 副団長は槍術レベル7の使い手で、魔槍術の使い手でもある。

 スペック高ぇ……

 

「――!? このローブ……ラミウム様の香り!」


 変態だ、変態が居る。

 日坂と同等レベルのイケメンなのに勿体無い。

 

「月島様、これは一体どういう事ですか!? なぜこのローブからラミウム様の香りが――」

「――少し落ち着け」

「……取り乱しました」

「あの王女も俺の協力者だからだ。そのローブは街を忍びで歩く際に着せていたから、かろうじて匂いがするんだろ」


 それを嗅ぎ取るお前の嗅覚は異常だ。もはや変態だ。

 

「ラミウム様……例え主が変わろうと貴女に捧げるこの忠誠は、変わる事はありません」


 まあ、なんだ。この従者にしてあの主だよなぁ。

 さて、この辺か。

 

「日坂、ちょっとここで待っててくれ」

「……? どうしたんだ?」

「戦力強化だ。パーティーは4人が基本だろ?」


 まあ、ラミウム入れると5人なんだけど。

 錬金術を使って穴を掘り進めていく。MPの消費がなかなかだ。

 ポーションは補充してきたので問題ない。お腹がタプタプするだけだ。

 さて目的地到着。

 

「あぁー…………」


 おう、屍がいる。いや、生きてるんだけどね。

 

「宮廷魔術師元筆頭、フィサリスだな」

「――!? だれっ!? どうして私を知ってるの!? どうしてここに居るの~!? でも何でもいいや! 私を出して~! 助けて~!」


 落ち着けよ筆頭。

 しがみ付くなって。威厳がないなぁ……

 

「俺の奴隷(・・)になるなら出してやるが?」



 月島 氷河

 新スキル 『奴隷術』

 

 

 これで俺も国のお尋ね者という訳だ。

 日坂を連れ歩く時点で今更だし、鑑定持ちに見つかると不味いのも今更だ。

 奴隷術と奴隷強化の違いは契約の種類だ。

 日坂が先ほど結んだのは和解主従。俺の奴隷術でも可能なものだ。

 だが奴隷強化にはもう一つ、屈服主従というのがある。

 和解主従は互いにwin-winだが、屈服主従は違う。相手を力で屈服させ無理矢理契約を結ぶものだ。

 屈服主従で奴隷になった者はステータスが半分になる。そしてその奴隷の5割を主はステータスにプラスされる。

 和解主従は元のステータスの1.5割プラスされるのに対し、屈服主従は2.5割。主の得だけを考えれば屈服主従の方が多い。

 だからこそ奴隷強化は危険視されるわけだ。

 

「なります! 奴隷でも下僕でも売女でも! 何でもするからここから出して~! もう……度々落ちてくる仕込みの際の切れ端みたいな食事は、耐えられない……」


 誰かが食べた後でない代わりに、十分に火が通って無かったりしたのか。

 それはそれでキツイ。

 が、キチンと服従を誓わせる必要があるな。

 

「何でもと言ったな」

「何でも! 何でもします! ここから出して~!」

「それが仮にこの国の王子を殺す(・・・・・・・・・)事になってもか?」

「――――!」


 おーう、大した殺気だ。

 まさに逆鱗に触れたって感じだな。

 

「この国で奴隷術を扱い、こんな所に来ている時点で俺の立場が碌でも無い事は分かるだろう? 好んで行うつもりは無いが、可能性が無いわけじゃない。それを理解してもらった上で言おう。俺の奴隷として来るか? ここにずっと居るか?」

「……貴方私の前で王子を口にする事が、どういう事か分かって言ってるの?」

「当たり前だろ? 魔法の先生」


 こいつは王子を溺愛している。

 宮廷魔術師の筆頭であったこいつは次期王となる王子に魔法の指導を行っていた。

 こいつにとって王子は可愛い弟子であり、弟であり、もはや息子みたいな扱いだ。

 実の姉であるラミウムよりも姉として接している。

 だが、その王子は立場的に、俺の敵となる可能性が無いわけじゃない。

 それは理解して貰わなければならない。

 

「ふーん……貴方どうゆう訳か知らないけど、知ってるんだね(・・・・・・・)

「まあな」

「知っていて、私の殺気に当てられた上で意見は変わらないんだね」

「もちろんだ」

「……ふふふふふ、いいねお兄さん面白い(・・・)。奴隷になってあげる」

「お兄さんと呼ぶのは止めてくれ、知り合いを思い出す」

「え~じゃあ…………ご主人様!」

「却下だ!」


 主従関係ではあるけど、そんな呼ばせ方してたら水奈に冷ややかな目をされるかもしれないだろ。

 水奈に冷ややかな目をされたら……俺耐えれそうに無い……

 そして穂乃香に限っては俺の為にと思って、あいつまでご主人様と呼び始めかねない。

 あいつ俺の事大好き過ぎだろ。

 忠誠心の高さから無いと言えないのが怖い。

 

「よろしくね~! ご主人様~!」

「……ご主人様は止めろ……」


 こいつの中で確定しやがった……くそっ

 

 

 月島 氷河

 Lv 28

 HP 145/145

 MP 290/290

 

 STR 31 (+12)(+50) 〔93〕

 DEF 32 (+11)(+25) 〔68〕

 AGL 64 (+27)(+20) 〔111〕

 DEX 66 (+34)(+15) 〔115〕

 MIND 98 (+48)(+65) 〔211〕

 INT 101 (+42)(+15) 〔158〕

 LUK 24 (+6)(+5) 〔35〕



 さすが宮廷魔術師筆頭。

 もとのステータスでMIND320越えだもんな。半端ねぇ。

 まあ、これで俺の強化も出来た上、戦力も手に入った。

 あ、黄のローブは渡しておこう。

 

「これを着ておけ、お前も一応重罪人な上、顔は知れ渡っているからな」

「やだ、ご主人様ってばお姉さんの美貌に見とれちゃった?」

「アホな事言ってんな」


 穂乃香の方が可愛い。

 筆頭を連れて日坂の下へと戻る。

 

『ぷはっ、ねぇ氷河、とりあえずもう喋っていい? 暇なんだけど』

「あれ、ご主人様って精霊魔法が使えるの?」


 もう、自由人ばっかで嫌になる。

 もう少し大人しくしてて。いや、フィアには筆頭の相手をしてて貰うか。

 女の子同士仲良くね。

 でもまだ面倒事は残ってる。そろそろ日坂と合流なんだが……

 

「げ、ロータス」

「フィサリスか……」


 こいつら仲悪いんだよね~。だから筆頭は俺の奴隷にしたんだけど。

 堅物の副団長と、軟派な筆頭。まさに水と油。

 俺と日坂? 太陽と月。

 さてようやくパーティーが揃ったな。

 ここはもう空間魔法の阻害地帯じゃないし洞窟に――!?

 はぁ!? なんでそんな事に!? 護衛は何やってんだよ!? 使えねぇ~~~!!!!

 

「氷河? どうした?」

「緊急事態だ!」


 不味い……あぁあ不味い! 水奈! 穂乃香!

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