愚痴聞き係
「あ、スケコマシ」
「お前は人を見るなり、なんて事言うんだ」
朝食後。
トイレに向かっていたため、タイミングを調整して神奈の部屋に来たのだが、
俺を見るなりスケコマシ扱いしやがった。
トイレまで見れるのかって?
トイレどころか、風呂、自慰、性行為まで過去のもの、していればリアルタイムでも見れる糞スキルだぞ?
プライバシーの侵害なんぞ今更だ。
だからと言って好んで見るつもりは無い。スキルが消えない限り何時でも見れるからな。
そんなのは俺が生きてる限り何時でも見れる。
なら今しか出来ない事をした方が何倍も能率的だ。
今するべきはレベルアップ、こいつらの精神安定、日坂の救出だ。
他の事に手間かけてる時間なんてない。
神奈 美鈴
ストレス 95
昨日の報告会で俺が不在。
俺が不在の状態で穂乃香がキレてたから、こいつも相当ひやひやしたようだ。
元々日坂が居なくて溜まっていく一方なのに、
王女の謁見があって、俺への憂さ晴らしも出来てなかったからな。
でもスケコマシは無いだろスケコマシは。
「お兄さん穂乃香と付き合ったんですよね~? 穂乃香の反応見れば分かります。だと言うのにお兄さんは、新たに王女様まで手を着けてるじゃないですか~。このスケコマシ」
「どうしてそうなる。スキルが似ていたから、仕事を手伝わされているだけだ。王女様と俺は色恋沙汰って訳じゃない」
「つまり穂乃香とは色恋沙汰な訳ですね~」
うるさい……によによするんじゃねぇ!
「でも、他からはそう見えていない訳ですよ~。王女様のお手伝いをしているのはお兄さんだけで、それを目撃した人が居ませんから。もうみんなあれやこれや、想像に妄想で花咲かせては嫉妬したりしてる訳です~」
「いい迷惑だ」
「本当に迷惑です。男子がうるさいし、それによって穂乃香がキレるし、私の気苦労が絶えません。お兄さんどうにかして下さいよ~」
「俺に言うな、王女様に言え。それに俺はお前に言われた通り働いてるだろうが。ニート卒業だ」
「う~ん。表だって文句が言えなくなってしまったからこそ、嫉妬をグチグチし始めてます~。女々しいですね~。つまりプラスマイナスで言うとマイナスです」
どうしろっちゅうねん。
「まあ、晴れてお兄さんはヒモでは無くなった訳ですが~、お仕事内容が王女様の召使いとは。あまり王女様と仲良くし過ぎて、穂乃香に嫉妬されないようにして下さいよ~?」
「召使いじゃないくて手伝いだ。それに俺は王女様の性格苦手だから、仲良くなることは無い」
「おや? 話した感じ悪そうな方ではありませんでしたけどね~? でもお兄さんは苦手って事は、王女様からはそうでもないんですね~このスケコマシ」
お前はどうしても俺をスケコマシ扱いしたいらしいな。
「ハッ! お兄さんもしかして私の事も狙ってるんですか? 駄目ですよ~私には日坂先輩と言う、将来を誓い合った人が居るんですから~」
「誓い合ってねぇだろ、お前の一方的な好意だ。それが実るかはこれから次第だろうがな。大体俺とお前が恋仲とかありえねぇだろ。想像できるか?」
「無理ですね。天変地異の前触れですか~?」
天変地異が起こってもたぶん無い。
「実るかはこれから次第ですか……お兄さん協力して下さいよ~。なんなら便宜を図って下さい」
「…………良いだろう」
「え? やけに素直ですね、変な物でも食べました?」
テメーこの野郎。
「じゃあお願いしますね~! 約束ですよ! ……よし! 囲い込みがまた一つ!」
「口に出しちゃ駄目な奴だろそれ……」
「お兄さん相手には今更じゃないですか~」
神奈 美鈴
ストレス 75
今回は多めに下がったな。
日坂との便宜を図るってのがそんなに嬉しいのか。
まあ、これからこの時間が日坂と会える時間になる訳だから、
便宜を図ると言うのは間違ってない。
神奈の愚痴聞き係もこれで終わりだな。
「さて、そろそろ出発の時間だろ? 行くか」
「そうですね。お兄さん、またお願いしますね~」
…………愚痴聞き係は続行なのか……?




