意地っ張り
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城へと帰り着いた俺は穂乃香の部屋へと向かう。
報告会は既に終わっていた。王女との話が長引いたからな。
元々俺はあの報告に居て、参加してなかったようなものだ。
居なくても問題は無い。
王女の手伝いをしている筈の俺が戻って来ていないため、穂乃香は俺の部屋には来れず、
今自室で休んでいる。
俺が穂乃香の部屋に行くのは初めてだな。
「穂乃香、今大丈夫か?」
『氷君!? ちょっと待ってね!』
待たせるのは悪いと思いつつ、身だしなみを整えるあたりはやっぱり乙女だな。
「はいどうぞ。随分遅かったね」
如月 穂乃香
憤怒度 40
報告会時、俺がまだ来ていない事に対し、
居なくてもいいと口にした男子にキレていたようだ。
気にしなくていいのに。
穂乃香の部屋に入れて貰い、扉を閉める。
そして俺は穂乃香を抱き締めた。
「ひょ、氷君!?」
(わー! わー! わー! 氷君が大胆!)
………………
「穂乃香……俺、自分が思ってたよりも疲れてたみたいだ……少しだけ……少しの間だけ……こうさせていてくれないか……?」
「……うん。いいよ」
穂乃香に優しく抱き締められる。
それだけで、泣きそうになってくる。
「氷君は出来ると分かると、すぐ頑張り過ぎちゃうんだから。どうせまた、疲れてる事無視しちゃってたんでしょ? もう、意地っ張りなんだから」
「……ぁあ……そうだな……」
くそっ……泣くな、泣くな俺。
穂乃香にこれ以上情けない姿を見せるんじゃない。
(氷君はいつもカッコいいけど、今の氷君は何ていうか――)「――可愛い」
穂乃香に可愛いと言われた。屈辱だ。
「お前の方が可愛いよ」
「ふぇっ!?」
(かかかかかわいいいって! 氷君が! 氷君が! 可愛いって! あぁもう幸せ……)
お前、相変わらず俺の大好きだな。
俺は穂乃香を抱き締める。
穂乃香は俺を抱き締める。
出発前には感じなかったものが、確かに感じ取れる。
そうか、俺は今――幸せなのか。
穂乃香に打ち明けていない秘密ばかりで、
穂乃香に対する裏切りだってある。
でも裏切りを打ち明けて許されるつもりはまだ無い。
まだそこまで許されてはいけない。
でも、今、幸せを感じるぐらいは、許されてもいいのだろうか……
(氷君が疲れるまで王女は何をさせたのかな……? これがもし続くようならば……王女も燃やす?)
王女は悪くないから止めて上げて?
君、魔法使えるようになってから思考が物騒になって来てない?
鬼に金棒、穂乃香に魔導。
元々上級生相手に絞めれるスペック持ってるもんな。
全くお前は、俺のこと大好きすぎだろ。




