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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
54/346

意地っ張り

総合100,000PV、ブックマーク200件 ありがとうございますっ!!!

 城へと帰り着いた俺は穂乃香の部屋へと向かう。

 報告会は既に終わっていた。王女との話が長引いたからな。

 元々俺はあの報告に居て、参加してなかったようなものだ。

 居なくても問題は無い。

 王女の手伝いをしている筈の俺が戻って来ていないため、穂乃香は俺の部屋には来れず、

 今自室で休んでいる。

 俺が穂乃香の部屋に行くのは初めてだな。

 

「穂乃香、今大丈夫か?」

『氷君!? ちょっと待ってね!』


 待たせるのは悪いと思いつつ、身だしなみを整えるあたりはやっぱり乙女だな。

 

「はいどうぞ。随分遅かったね」



 如月 穂乃香

 憤怒度 40


 

 報告会時、俺がまだ来ていない事に対し、

 居なくてもいいと口にした男子にキレていたようだ。

 気にしなくていいのに。

 穂乃香の部屋に入れて貰い、扉を閉める。

 そして俺は穂乃香を抱き締めた。

 

「ひょ、氷君!?」

(わー! わー! わー! 氷君が大胆!)


 ………………

 

「穂乃香……俺、自分が思ってたよりも疲れてた(・・・・)みたいだ……少しだけ……少しの間だけ……こうさせていてくれないか……?」

「……うん。いいよ」


 穂乃香に優しく抱き締められる。

 それだけで、泣きそうになってくる。

 

「氷君は出来ると分かると、すぐ頑張り過ぎちゃうんだから。どうせまた、疲れてる事無視しちゃってたんでしょ? もう、意地っ張りなんだから」

「……ぁあ……そうだな……」


 くそっ……泣くな、泣くな俺。

 穂乃香にこれ以上情けない姿を見せるんじゃない。

 

(氷君はいつもカッコいいけど、今の氷君は何ていうか――)「――可愛い」


 穂乃香に可愛いと言われた。屈辱だ。

 

「お前の方が可愛いよ」

「ふぇっ!?」

(かかかかかわいいいって! 氷君が! 氷君が! 可愛いって! あぁもう幸せ……)


 お前、相変わらず俺の大好きだな。

 俺は穂乃香を抱き締める。

 穂乃香は俺を抱き締める。

 出発前には感じなかったものが、確かに感じ取れる。

 そうか、俺は今――幸せなのか。

 穂乃香に打ち明けていない秘密ばかりで、

 穂乃香に対する裏切りだってある。

 でも裏切りを打ち明けて許されるつもりはまだ無い。

 まだそこまで許されてはいけない。

 でも、今、幸せを感じるぐらいは、許されてもいいのだろうか……

 

(氷君が疲れるまで王女は何をさせたのかな……? これがもし続くようならば……王女も燃やす?)


 王女は悪くないから止めて上げて?

 君、魔法使えるようになってから思考が物騒になって来てない?

 鬼に金棒、穂乃香に魔導。

 元々上級生相手に絞めれるスペック持ってるもんな。

 全くお前は、俺のこと大好きすぎだろ。

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― 新着の感想 ―
[一言] >鬼に金棒、穂乃香に魔導。 誰がうまいこと
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