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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
53/346

自己嫌悪

長セリフが多かったため改行しました。

 疲れている王女をふかふかベットに座らせる。

 部屋割は決めてないから、この部屋が誰の部屋になるのかは知らない。

 どうやって決めようかな。じゃんけんかな。

 

(……氷河様、貴方の精神はどうなっているのですか?)


 声を出すのもしんどいのか。

 精神?

 

(一撃でも当たれば致命傷です。気の抜く事の出来ない戦いを間を挟むとはいえ、

 5回連続で、攻撃を受ける可能性の高い接近戦ならば尚更です。

 それも1日2回など正気とは思えません)


 正気じゃ無いんじゃない? もう何となくそんな気はしてるよ。

 でもそんな事言ってられないしさ。

 そりゃうまく交渉する予定ではあるけど、失敗すれば敵になるのはあの騎士団長だ。

 立ち止まってる時間も、コツコツと積み重ねる時間もないんだよ。

 限られた時間で、死なない限界を選んでいくしかないだろ。

 今の予定が全て(・・・・・・・)上手く行く(・・・・・)なんて保証は無いんだからな。

 

「氷河様……どうか落ち着いて下さい……このままでは貴方様が壊れてしまいます」


 壊れる? ならもう手遅れだ。

 既に壊れてる。

 

「違います! 本当に、本当の意味で壊れてしまいます! 気付いて下さい氷河様!

 精神に一番余裕がないのは、水奈様でも穂乃香様でも美鈴様でもありません。

 氷河様、貴方様です!」


 余裕? ある訳ねぇだろ。

 ある訳がねぇんだよ。

 俺はな、ここに来た1日目から、この現状を理解したその時から、

 一度だって余裕ができた日なんてねぇよ。

 でもそれが?

 それが俺が止まる理由になるのか?

 止まって良い理由になるのか?

 なる訳無いだろ。時間は刻一刻と迫ってるんだよ。

 今戦わずここに居る理由だって、集中切れで死にかねないから戦ってないだけだ。

 昼の時間に2回行けそうなら行くさ。

 

「氷河様はどうして一人で背負い込みになるのですか! 

 どうして自分にだけそんなに厳しいのですか! 

 どうしてそんなに……自分を嫌うのですか……」

「お前さ、こんなんで自分を嫌いにならないと思うのか……?

 他人の感情記憶を盗み見て! 手に入った力は努力を奪った紛い物で! 

 全て知った上で偽り! 動き! 自分の望むように運んで行く! 

 こんな穢れた道化の、どこを好きになれって言うんだ!」

「違います! 紛い物でも偽りでも道化でもありません! 

 人からの貰いものだとしても、その上で死にかけるような努力をしている(・・・・・・・)のは氷河様です!

 知った上で考え、悩み、その上で答えを出されたのは氷河様です!

 貴方様の思いは、偽り(・・)などではありません!」

「いいや偽りだ! 俺はあいつらの望む俺(・・・・・・・・)を演じているに過ぎない! 

 俺はあいつらに好意を抱かれて良いような奴じゃない! 

 感情を見て、偽物を演じ、心を弄ぶ! これを道化と呼ばずになんと呼ぶ!」

「道化などと呼ばせはしません! 穂乃香様は! 水奈様は!

 そんな貴方様(・・・・・・)を愛しているのですから!

 お二人が愛しているのは貴方様の作り上げた虚像ですか!? 違います!

 貴方様です! 氷河様なのです! 

 ……聞いてください氷河様……貴方様を一番嫌っているのは、他の男性方ではありません。

 他ならぬ貴方様です。

 貴方様がご自身を責め立て、破滅へと向かっています。

 貴方様の信頼を得ていない私の言葉では届かぬことは重々承知しております。

 それでも……どうか少しでも構いません……ご自分をお許しください。

 水奈様、穂乃香様が愛し、私が好きになった貴方様を――嫌いにならないで下さい……」



 ラミウム

 月島氷河 親愛度 100 恋愛度 0



「意味分かんねぇよ……なんなんだよお前……中身を知った上で、どうしてそんなに信頼できるんだよ」

「知ったからこそですよ。貴方様はご自分が思われているより、ずっと清く尊いお方です。

 でなければ……今もそんなに、苦悩するハズがないではありませんか」

「俺は……清くなんかない」

「穢れてなどもいません。水奈様の為に自ら罪を背負いになる貴方様を、どうして蔑む事ができましょう」

「あれは水奈の罪じゃない、俺の罪だ。俺が背負って当然だ」

「違います。氷河様も気付いていらっしゃるのでしょう? 氷河様は穂乃香様も水奈様も好き、この言葉に嘘偽りはございません」


 止めろ……言葉にするな!

 

「でも、その度合いは(・・・・・・)違いますでしょう(・・・・・・・・)?」


 

 月島 氷河

 如月穂乃香 親愛度 100 恋愛度 100

 月島水奈 親愛度 ERROR 恋愛度 20

 

 

「氷河様は人に優しく、自分に厳しすぎます。少し甘えたって……許されたって良いじゃありませんか」

「……俺は……俺を許す事などできない」

「それでも構いません。でも、これ以上ご自分を責めるのはおやめください。

 好きになれとは言いません。嫌いにならないで下さい。

 貴方様が水奈様、穂乃香様を大切に思うように、水奈様、穂乃香様も――貴方を大切に思われているのですから」

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