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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
44/346

気晴らし

「俺は……何してんだろうな……」

「いや、本当に何してるんですか? お兄さん」


 俺は神奈の部屋を訪れていた。

 朝食後、水奈は俺と話したくない様子で、

 穂乃香は一度冷静になって、顔を真っ赤にして部屋へと戻って行った。

 

「朝一に会ったばかりなのに、どうしてまた私に会いに来てるんですか~? 私の事好きなんですか~?」

「アホか、お前の愚痴聞きに来てやったんだろ」

「愚痴聞きにって、愚痴ってるのお兄さんじゃないですか~」


 うぐっ。まったくを持ってその通りである。

 

「で! 実際の所どうなんですか~? お兄さんは穂乃香の事、異性として好きなんですか~?」


 くっそ、こいつニヤニヤしやがってっ! 楽しそうだなおい。

 俺は穂乃香の事を――

 

「――っ! ああ。そうだよ! 好きだよ! なんか悪いか!」

「あぁ~私も日坂先輩とくっついてイチャイチャしたい……」


 君、飽きるの早すぎませんかね……いや、変につつかれるより良いけど。

 

「でもだとしたら、お兄さんが大変なのはこれからですね~。みんなが注目する中、大胆にキスしちゃうんですもん。男子の目がヤバかったですよ~」

(私も日坂先輩にあんな風にキスされたい……いや、シチュエーションとしては悪くないけど、やっぱり二人っきりかな~)


 日坂ワールドに突入した神奈は一旦放置。

 大胆にキスと言われて、恥ずかしくなってくるのも一旦放置。

 放置だ、放置するんだ俺。

 あの時は色んな意味でいっぱいいっぱいだったんだ。

 まず、男子からの敵意はもう今更だろう。

 ただ穂乃香が大暴れしたことにより、しばらくは大人しくなるはずだ。

 内心燻ってもすぐには行動しないだろう。

 水奈の状態はまだ分からない。今あいつの中では色んな感情が混ざり合っている。

 そして俺もまた、答えが出てない……

 きっとこれは互いに答えを出して、折り合いを付けなければいけないのだろう。

 どんな結末を迎えようと俺と水奈は兄妹であり、家族だ。それだけは変わらない。

 問題は王女の帰還。

 王や王妃、城の兵士やメイドの記憶を見る限り悪い奴じゃ無さそうだが、実際に見てみるまでは分からない。

 もしこいつが国絶対主義ならば、俺と対立、即ち牢行きになりかねない。

 だが、そうでないとするならば……交渉は可能(・・・・・)かもしれない。

 ただこいつ……俺の苦手そうな感じがするんだよなぁ……

 対立する場合、今日中に日坂を連れ出して、水奈、穂乃香、あとついでに神奈を連れ出して国外逃亡か?

 短絡的過ぎるな。問題が山積みだ。

 だが、この可能性も視野に入れておかなければならない。

 

「まあ、結果的にはヘイトを更に溜めてしまった訳ですが、穂乃香の怒りはきちんと沈めましたからね~。お兄さんにしては働いたんじゃないですか~?」

「まるで俺が普段働いてないみたいな言い草だな」

「え? ヒモニートじゃないんですか?」


 テメーこの野郎。

 

「因みに殴られた時ってどんな感じでした~? 痛かったですか?」

「別に、そんな痛くは無かったぞ。ただイラッとしただけだ」

「でも殴り返さなかったそうですね、どうしてですか~?」

「やり返したら俺の程度がそいつと同じまで下がるだろ。無駄な事はしたくねぇんだよ」

「カッコいい事言ってるのに、お兄さんが言うと面倒くさがりなニート発言に聞こえるのは何故でしょうね~? 不思議です」


 十中八九お前の先入観のせいだ。

 まず俺をニートと定義するのを止めなさい。

 まあ、俺が訓練にも参加してないからですよね。はい。

 

「あ~そう言えば――穂乃香の唇の感触、どうでした?」

「…………」

「お兄さん赤くなってますよ~。お兄さんも実は意外とウブですね~」


 うるさい。年上をからかうんじゃない!

 

「ん~そろそろ出発の時間ですね。ここまでにしてあげます」

「……なんでそんな上からなんだよお前……」



 神奈 美鈴

 ストレス 75

 

 

 まあ、気が晴れたなら良いけどさ。

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