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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
37/346

恋する乙女

 朝食を終えた俺は、神奈の部屋の前にやって来た。

 俺から神奈の下へ訪れる日が来るなんてな。

 人生ってどうなるか分からないもんだ。

 突然異世界に飛ばされたりするしな。

 

「神奈、今大丈夫か?」

『お兄さんですか? 大丈夫ですよ』


 返事の声が猫かぶってる時の声だ。

 まあ、扉の外に俺以外が居るとも限らないしな。

 部屋に入れて貰った。

 異性としての危機感? 無い無い。俺と神奈だし。

 

「どうしたんですか~?」

「愚痴を聞きに来てやったんだよ」

「Мですか~?」

「アホか、ノーマルだ」


 俺はノーマルだ。異論は認めん。

 

「よく考えたら俺の取れる時間って、朝食後から出発までのこの時間しかねぇんだよ」

「暇そうなのに。他の時間は何してるんですか~?」

「水奈を寝かしつけたり、穂乃香に起こされたり」

「うわっリア充。死ねばいいのに」


 心の中で思いなさいよそういうの。どうして言葉に出しちゃうの。

 別にいいけど。

 

「そんなんだからクラスの男子に嫉妬の目を向けられるんですよ~。その上、こうして会っている私も美少女ですしね」

「穂乃香の次にな」

「うるさいです。私はその上人望もありますから、頼りにされてるんですよ?」

「水奈の次にな」

「うるさいです。というかそれは褒めてるんですか? 貶してるんですか?」

「褒めてるだろ。あの二人が絶対的過ぎるだけで」


 神奈って何気にスペックは高いんだよ。スペックはな。

 

「……まあ、いいでしょう。そんな見た目も人望も次席である美鈴ちゃんは、総合トップな訳です!」

「……いや、水奈だろ。あいつ性格天使だし」

「水奈が天使なのは認めますが、その言い方だと私の性格が悪いみたいに聞こえるんですが」

「キノセイジャナイカナ」

「どうして片言なんですか~? ――ぶん殴りますよ?」


 言動が野蛮。そういうとこだぞ。

 

「お兄さんは本当にデリカシーが足りてませんね~。日坂先輩を見習って下さいよ」

「俺が仮に日坂みたいに爽やかだったらどうする?」

「気持ち悪いですね。爽やかなお兄さんは、それはもうお兄さんじゃありません」


 テメーこの野郎。

 

「あ~日坂先輩に会いたい……あのイケメンボイスが聞きたい」


 神奈 美鈴

 フェチ 声

 

 そう、コイツ声フェチなの。

 『お兄さんって声は良いですね』って昔言われた事がある。

 それ以外は良くないと言いたいのか。

 しかし、鎖骨、匂い、声。

 一番まともなのって神奈? そんな馬鹿な!

 神奈が一番まともだと!? いや、あの二人がマニアック過ぎるだけだ。

 なんだ部屋の匂いって。鎖骨に至ってはもっと分からん。

 

「じゃあ早く最前線に行けるように頑張れよ」

「言われなくとも分かってますよ。日坂先輩に追いつくために、私は誰よりも早く強くなるんです!」


 こいつが戦闘員組に入って戦うのはそのためだ。

 日坂に会いたい。日坂の傍に居たい。

 その為だけにコイツはレベルトップに立ち続けている。

 恋する乙女は強しって奴だな。

 とうの日坂は牢の中だが。

 

「でもやっぱり日坂先輩に会いたいんです~。会いたいんです~」

「って俺に言われてもな」

「先輩何か持ってませんか? 日坂先輩を感じられるもの」

「お前、仮にそれを俺が持ってたらどう思う?」

「ドン引きですね。気持ち悪いです」


 テメーこの野郎。

 

「何かありませんか~? あんだけ一緒にいれば何かあるでしょ。お兄さんの匂いに日坂先輩の残り香とかついてませんか?」

「ついてるわけねぇだろ。おい、嗅いでみるんじゃねぇ」

「ん~水奈と穂乃香の香りがする。これはこれで悪くないけど、私が欲しいのは日坂先輩なんです~」


 悪くないのかよ。俺やっぱりお前よく分からねぇわ。

 やがて出発の時間となったため、俺と神奈は広間へ向かった。

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