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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
アフターストーリー ~10年後まで~
343/346

『戦神の敗北』

『――大公様だ!』『今日勝てますように……!』


 ……………………

 

『統也様……統也様……』『願掛けしとくか――』


 ……………………

 

「……どうしたのパパ?」

「…………なあ、悠真。父さんが最近、祈りを捧げられるのってなんでだろうな」

「…………?」

「……悠真に聞いてどうするんですか、ソレ……」

 

 書類整理が終わり自警団本部に泊まらず済んだ為、城に預かって貰っていた悠真を引き取り、自宅の屋敷へと帰り着いた。

 ソファーの背もたれに体重を掛けて座る俺の膝の上、対面の状態で座る悠真に尋ねてみたが、首を傾げるだけだった。

 そうだよな、やっぱりよく分からないよな。俺も分からない。

 

「美鈴は知ってるのか? 俺に向かって祈る人達が居る理由」

「……主に統也さんがお兄さんに一対一で勝った事が原因ですね」


 あれか…………確かに俺がやたらと祈られる様になったタイミングと一致するが……――

 

「どうして、それが俺に祈りを捧げる理由になるんだ? ご利益はないだろ?」

「それはお兄さん効果じゃないですか? お兄さん無敗の全能王みたいに思われてましたし」


 つまりは氷河のせいか。あいつが各方面で無双し過ぎたから、俺に被害が来たと。

 

「今、国民の中で統也さんは軍神、戦神みたいな扱いですね。信仰すればステータスが上がりやすくなったり、指揮力の上昇、戦いの勝率が上がると思われています」

「それで冒険者や兵士達からの祈りが多いのか……そんな加護ないんだが……」

「心の持ち様じゃないですか? 居るかどうか分からない神より、実際にいる凄い人に祈って、自分は勝てるんだって自信を持つ……自信を持って戦う方が、結果的には力を発揮できるんじゃないですか?」


 それなら祈る人達の好きにさせておけば良いのか…………?

 いや、でもステータスが上昇しやすくなるとか信じられてもなぁ…………なるとは思わないんだよなぁ……

 

「氷河に対する信仰は、どんな加護があると思われてるんだ?」

「お兄さんは色んな分野に手を出してますからね。スキルの成長、学力向上、金運上昇、出世昇進と様々です」

「あー…………」

「安全祈願だけは水奈の所に来ますね」


 それは分かる気がする。治療のプロである水奈ちゃんは兵士達の生命線……守り神みたいに思われてるからな。

 ……ああ……そんな感じか。それで俺が戦神なのか……指揮力は氷河の方が高いと思うんだが。

 

「基本は統也さん、お兄さん、水奈の3人に対してが多いですね…………他は、数は少ないですが平和祈願に美空先輩、豪華絢爛に憧れる女性は穂乃香の所に行く人も居ますね」


 美空の聖母感はなんとなく分かる。身内を傷つける奴には容赦ないけどな。

 穂乃香ちゃんは……豪華絢爛と言うより、華麗奔放の方が合ってる気がする。リノちゃんも当てはまりそうだな。

 

「………………こうやって見ると、私には突出した物が無いと言うか……比較的平凡と言うか…………統也さんを狙う女性が減らないのは、大公夫人として認められてないからなんですかね…………」


 …………やけに詳しいと思ったらそういう事か。

 

『――俺の妻は、未来永劫美鈴だけだ。他人が認めないじゃない、俺が認めたんだ。他人がお前を知らずとも、俺がお前の素晴らしさを知っている――お前は大公夫人として堂々としてれば良い』

「――――っ! ……ずるいです……スキル使うのも……内容も……っ」

「こっちでの方がお前は好きだろ?」

「……そうですけど…………言葉として……声で直接聴きたいです……」


 …………もう一度言うのは何か恥ずかしいな。

 俺と美鈴が見つめ合う……その間に俺の膝に立ち上がった悠真が入り込む。

 

「……パパ、ねむい……」

「……そうだな。そろそろ寝るか」


 船をこぎ始めた悠真を抱っこし、悠真の部屋へと向かう。

 部屋に着く頃には完全に眠ってしまった。起こさない様にゆっくりベットに寝かせる。

 

「……美鈴、今日は久しぶりに2人で寝るか」

「……さっきの言葉……声で聴かせてくれますか……?」

「…………分かった」


 いつもは声で伝えてるけど、スキルでもう一度って頼まれるんだよな……結局2回言わされている……かなわねぇなぁ。

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