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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
アフターストーリー ~10年後まで~
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温かさ

 報告会議を終えた後、すぐさま城の復興作業に取り掛かった。

 城壁が幾つか割れているし、敷地の土地も割れているし、何より凍り付いている。

 ほとんど俺のせいな訳なんだが、そうでもしないと勝てなかったんだから仕方ない。

 避難した近くの住民や、城勤めの兵士や使用人達に事情の説明を行ったのだが…………まあ、そのなんだ……俺とグライブの戦闘は空飛び回って戦ってたからな。

 穂乃香達は回復治療に専念してたが、他は手持ち無沙汰……つまり気になって見てたわけだ……俺が氷の翼生やして、ドラゴン相手に圧倒してるとこ。

 なんなら城が凍り付いてるのも俺が原因だとしてる訳だ……結論を言おう、崇めれた。

 崇めていると言うより平伏していると言った方が良いのだろうか……もはや供物を捧げそうな勢いだ。

 ニンファー、そんなキラキラした目で俺を見るのは止めろ。また一歩国民達との距離が遠ざかって俺は悲しい。

 俺と国民の距離は遠くなるのに、俺の石像と国民の距離は近くなっていくこの事実……解せぬ。

 もちろん中には畏怖の目で見るものも居る。というかそれが普通だと思う。生物最強のドラゴン、それを一対一で圧倒し奴隷にした……同じ人族と思えなくても仕方ない。

 ただ一つ言おう、そんな俺を凌駕するのが日坂だからな! あいつの方がもっとやべぇんだかんな!

 俺が恐れられて、日坂が恐れられないのに納得がいかない。あいつ脚力だけで地鳴りを起こせる天災級なのに。

 俺が派手な事し過ぎたのか? し過ぎたな。仕方ねぇじゃん! そうするしかなかったんだもの!

 はぁ……諦めるか。

 戦闘に参加した者には戦果に応じて褒賞を出すが、それは明日以降。今日はひとまず全員休めと伝えてある。

 城の復興作業を全て終わらせてから、使用人達を城内に招き入れ、各員が通常通りに作業を行える事を確認して、俺は結衣香と柚奈のセラピータイムに入る。

 お父さんもう疲れたよ……今日ぐらい煌輝が甘えてくれても良いんじゃないかと思うのだが、煌輝は相変わらず俺を嫌っている。

 リノにスパルタ指導を始めてから余計に悪化した。リノと遊べる時間を減らされている上、リノがボロボロにされてるからな。煌輝の目線で見ると俺は悪い奴でしかないのだろう。俺が国外に出る時はフィサリスも国外に出る……母さんも俺が奪ってるな。

 息子に懐かれないどころか嫌われている……悲しいな。悲しい事ばっかだな。

 そう思っていた俺に肩車されていた柚奈が、偶然にも小さな手を俺の頭に乗せ、撫でてくれた……天使か。

 煌輝は……いつか俺を理解してくれるだろうか…………俺自身、屑な自覚はあるから大人になっても嫌われてるかもな。俺の様な男になるな……と言わなくてもならないか…………日坂……いや、グラジオラスみたいな男が良いな。変に汚れを知る必要は無い。

 真っ直ぐな正義感を持って……故に俺と対立するかもな。その時は父として立ち塞がろう。

 結衣香は懐いたな。今も俺の膝の上でご機嫌だ。結衣香ももう5歳……リノに出会った時と同じ年だ。結衣香は戦闘の訓練がしたいらしいから、そろそろだな……お前の目標は遥か高みだぞ。ドラゴン相手に啖呵切って喧嘩売るからな、諦めの悪さも俺同等だ。その血を両方継いだお前も……諦めは悪いのかもしれない。

 

「――結衣香。戦闘訓練は穂乃香に指導して貰え」

「……お母さんに?」

「ああ、お前の母さんはこの国最強の女だ。結衣香が本気で母さんを超えたいなら、あいつに指導して貰うのが一番良い」

「……わかった」


 超えるべき壁を本人に示して貰った方が、分かりやすいだろう。

 俺の血を継いでる為やや魔法寄りではあるが、結衣香も穂乃香と同じバランス型の魔法戦士型だ。剣を使うなら俺が教えるが……まあ、拳だろうな。同じ拳で挑んだ上で、穂乃香を超えて見せるのだろう……俺も穂乃香と戦う時は拳で語り合ってるからな、俺の血が流れてるんだから間違えない。

 

 

 

 

 

 娘セラピーを受けた夜。子供達を寝かしつけて、水奈、穂乃香、フィサリスのご褒美タイムに入る。ここからは大人の時間だ。

 まずは水奈。治療を重ねた事で既に少し眠そうだからな。

 水奈の希望は優しく甘く、ラブラブしたいとの事だ。

 手始めに唇を合わせ、時間を掛けて唾液を交換し合う。その間互いに弄り合いつつ服を脱がせていく。互いにが高まって来たところで、今度はお互いのデリケートな部分を舐め合う。しばらく続けて飲んでも飲んでも溢れて来るようになった頃、体勢を変えてお互い抱き合って重なり合う。始めは優しくゆっくりと、徐々にスピードと刺激を増して行き、ラストは求められるがまま、求めるがまま激しく打ち鳴らした。

 果てた水奈に軽めのキスをして、穂乃香へと引き継ぐ。水奈の疲れ具合からしてそう長くは起きてられず、でも穂乃香もしたいとの事なので仕方ない。

 穂乃香が水奈の相手をしている間、俺はフィサリスの相手をする。俺と水奈の交じり合いを見て居たフィサリスは軽く出来上がっていた。

 フィサリスの希望は奉仕したいとの事だ。

 胸に挟まれ、口に加えられる。俺はフィサリスの頭を優しく撫でる。包み込まれる様な感触と、激しく動くざらついた舌の感覚に、やがて耐え切れず限界を迎えてしまう。フィサリスは中まで吸い取ると、俺に口内を見せては何度も咀嚼し、全て飲み込んでしまった。次に俺を押し倒すと、上に跨った。奉仕というだけあって、自ら動く様だ。最初はフィサリスのペースに委ねていたが、しばらくしてから俺からも少し動かす。ずっと主導権を握られているのも癪だからな。そこからは俺とフィサリスの主導権の奪い合い、フィサリスは俺を気持ち良くしようとし、俺はフィサリスを気持ち良くしようとする。結果互いに何度も果て、フィサリスが体力尽きて眠る頃、隣で同じく疲れ尽きた水奈が眠っていた。

 ここからは穂乃香のターンだ。穂乃香からの指定は無い、こいつの望みは子供が欲しいだからだ。そこからは獣の様な交ざり合い、互いの汗や体液でドロドロに溶け合うかの如くだった。

 流石に全身ベタベタのまま寝る訳にもいかないので、穂乃香と共にシャワーを浴びに行き、風呂場で2戦した後部屋へと戻った。

 すぐには寝る気分にならなかったので、穂乃香とワインを飲む事にした。

 

「「乾杯」」

「氷君もタフだね」

「お前に付き合わされまくった結果だな」


 前なら行為後は体力が持たず、寝てたんだがなぁ……今は酒を飲む余裕がある。

 穂乃香に改造されたとしか言いようがない。

 

「んふふ~氷君が私色に染まってる。私色、私色~」

「それは随分昔からの話だと思うぞ」


 俺はガキの頃から穂乃香に染まり、嵌っていた。

 俺は穂乃香が俺に似たものだと思っていたが、実は俺が穂乃香に似たのかもしれん。

 今となっては、どちらもそう変わらないか。

 

「…………結局、お前らを戦場に立たせた上で、怪我まで負わせちまったな……」

「なぁに? 今日の事?」

「俺はお前らを戦場に立たせたくなかったから……お前達に寂しい思いをさせてまで、半年間戦い続けたんだ…………けれどそれがこのざまだ。俺が理由にお前らを傷つけた…………何の為にお前を刺したのか、分かりゃしねぇな…………」

「ん~あれね……確かに痛かったけど、氷君の愛を感じたから幸せだった」

「…………お前は相変わらず重いなぁ」

「えへへ~、氷君もだよ」


 重いか、重いな、俺もお前も。

 

「……氷君。きっとね、今日の傷は受けていた筈の一部なんだよ」

「………………」

「私のクラスを対象とした集団転移……本来氷君は転移の対象外だったんだと思う。氷君がもし転移されてなかったら、私達はトラップに掛かった時点で死んでた……仮に生き残っても、クーデターに参加させられてラミウムを含む王族を処刑していた。フィサリス達は牢の中のままで、リノちゃんは生霊のまま命を落とした。私達はリコリスの偽情報を、真実なんだと思い込まされたままブルーゼムの近隣諸国と戦争して、たくさんの人を殺して……そして唐突に魔族と人間の大戦争が始まるの。私達は勇者として前線に駆り出される。たくさんの魔族……もしかしたら今はこの国で暮らしてる人と殺し合ったのかもしれない。たくさんの魔族を殺して、たくさんの味方が傷ついて、もちろん私や水奈も傷ついて、それでも導かれる様に私達は魔王に挑んで……勝っても負けても私の身体は、魔王に乗っ取られてたんだと思う――――そうならなかったのって、氷君のおかげなんだよ?」

「………………っ」

「私達が今幸せに暮らせてるのは、氷君のおかげなの。氷君が1人でぜーんぶ背負ってくれたから……言ってもきっと氷君は背負っちゃうけど、でも言わないと全然理解してくれないから言うね? 誰も氷君を責めてない、氷君が悪いなんて思ってない。今日受けた傷なんて、本来在るべき傷のほんの一部なんだから」

「…………っ…………あぁ……くっそ…………お前に泣かされるのは2度目だな……っ」

「氷君は意地っ張りだからね。でもホントは泣き虫。そんな所も好き、大好きっ」


 情けねぇな……もういい大人だってぇのに……また穂乃香の胸で泣いてんのか俺は……

 

「……穂乃香は温かいな……っ……」

「そう? 全部水奈と氷君に貰ったものだよ……」


 違う……これは穂乃香自身が人間に絶望する前にあった、如月穂乃香の本来の温かさだ。

 

「……お腹の中も氷君に貰ったもので温かい」

「……子供作る為にって栓したからだろ……それは物理だ」

「幸せな温かさ……」


 まったく……勿体無いからって零さない為に、2戦後からずっと中に入れていた張形のせいで、雰囲気は壊れてしまった。

 まあ、でも、俺も情けない姿を長く見せずに済むし……なんというか穂乃香らしい。

 

「……そろそろ寝るか」

「うん! 私氷君の右隣~」


 ベッドの真ん中に横になり、右腕に穂乃香、左腕にフィサリス、上に水奈を被せる。

 4人で寝る時の定位置だ。穂乃香は義手の方でも問題ないらしく、むしろ生身では無い分俺が細心の注意を払うから、その大事にされてる感が良いらしい。

 生身の腕でも大事にするに決まってんだろ。

 天井を見上げて、重くなってきた瞼をそのままに目を閉じる。

 

「……穂乃香……愛してる」

「私も。愛してるよ……氷君」

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