表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
32/346

如月穂乃香

 穂乃香を俺の部屋に連れてきた。

 

「どうしたの氷君? 今日は何も無かったよ?」



 如月 穂乃香

 憤怒度 40


 

 俺の下へ来ると、下がるのは相変わらず。

 

「なあ穂乃香――お前なんか、表情硬くないか(・・・・・・・)?」

「――……そんな事ないよ。氷君の気のせいだよ」

「そうか、なら良いんだが」



 如月 穂乃香

 憤怒度 0

 

 

 これは俺と穂乃香が中学時代にしていた掛け合いだ。

 穂乃香は幼い頃から同性に嫌われやすかった。

 幼稚園でのあだ名は『お人形さん』

 見た目が当時から可愛い事もあったが、

 穂乃香は昔、今以上に感情表現が乏しかった。

 愛想が悪く、笑わず、怒らず、泣きもしない。

 実は良く見れば細かく変わっているのだが、それに気付かない者からは気味悪がられていた。

 そして穂乃香は、そんな現状を諦めていた。

 嫌な事を嫌と言わず、諦めて従っていた穂乃香を見ていられなくて、俺は無理矢理特攻していった。

 まあ、当時から喧嘩は弱かったから、負けてる事がほとんどだったけどな。

 穂乃香にしてみれば最初は意味分からなかったようだ。

 親同士が仲が良く、家が近い。

 それだけの存在であるにも拘らず、自分の為にボロボロになっているのだから。

 俺と水奈、月島兄妹は穂乃香を放っては置かなかった。

 世話焼きというかお節介というか。

 水奈に至っては昔から天真爛漫だったから、穂乃香の手を取っては色んな所へ連れ出していた。

 穂乃香はそんな俺らと一緒に居る事で、少しずつ笑う事が増えていった。


 小学生になると穂乃香に対し、澄ましてる、調子乗ってると言う女子が増えた。

 それも同級生より多かったのは上級生だ。

 でも穂乃香は小学生の時点で他人に興味を無くしており、俺と水奈以外どうでも良かったからな。

 これっぽちも気にしていなかった。それが余計に腹立たせた。

 小学生は感情に割と素直だ。穂乃香を呼び出し暴力を振るった者がいた。

 そして穂乃香は――暴力振るった上級生を叩き潰した。

 あいつ喧嘩強いんだよ……俺目的に将棋部に入りはしたが、あいつスポーツ万能なの。

 小学生の内は男子とも体格差なく戦える……でも中学生からは難しいかもしれない。

 そうだ、護身術を習おう!

 って倒す方向にシフトチェンジしたのが丁度その頃。

 邪魔なら全部倒せばいいじゃない。の思考に至った穂乃香を、俺と関わる事が増えた日坂と一緒にひやひやしながら見ていた。

 もちろん止められる限りは止めたんだよ? 

 でも俺もずっと穂乃香を見てられるわけじゃないしさ?

 で、中学になると穂乃香も少しは落ち着いたわけ。

 でも同性に嫌われるのは相変わらずで、小学生の時とは違い陰湿な虐めを受け始めたの。

 だけど陰湿なのとなると俺も気付けなくて、その上心強いから穂乃香もあまり気にしてなかったの。

 そんな穂乃香を見て、俺が言ってた事がさっきの言葉。

 

『なあ穂乃香。お前なんか、表情硬くないか?』


 否定された後は毎回表情が和らぐから、気のせいかと思ってたんだけど、

 穂乃香は微かに苛立ってる事を見抜かれて、『良く見てくれてるんだ』って喜んでたらしい。

 穂乃香の俺大好きは中学生にして既に健在。

 んで、虐めの標的が穂乃香の傍に居て、中学生になっても変わらず天真爛漫であった水奈に変わってから、

 穂乃香がブチ切れて、上級生に土下座させるなんてこともあって『如月穂乃香を怒らせてはならない』は現在、高校にまで響き渡ってたりする。

 神奈が悲鳴を上げるのも納得である。

 因みに土下座させられた俺の同級生は、『日坂に見放される』という称号を得ました。

 まさに踏んだり蹴ったり。ざまあ。

 さて、何となく分かって貰えたと思うが、

 穂乃香の弱点は月島兄妹、俺と水奈だ。

 俺らが害されるのを嫌い、穂乃香自身が害するなど持ってのほかだ。

 故に穂乃香が怪我して水奈がいっぱいいっぱいになった時は、穂乃香も弱っていた。

 俺に向けられる敵意を気にしないのは難しいだろう。

 穂乃香の怒りが一番溜まるのは報告会の時だ。とするならば――

 

「なあ、穂乃香。今後も夕食前にこうして会えないか?」

「私は良いけど、どうして?」


 そう理由なんだよな~……穂乃香が怒ってるからとは言えないし。

 うーむ、ここはストレートに行くか。

 

「俺がそうしたいからだ……ダメか?」

「――! ううん。全然いいよ」

(つまり……氷君は私と一緒に居たいって事!? きゃー! やったー!)


 内心大騒ぎである。

 うん。言って俺も少し恥ずかしかったから、あまり言わないで。

 怒りを忘れ、喜びで溢れた穂乃香と共に夕食へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ