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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
アフターストーリー ~10年後まで~
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精霊教

 建国に当たって建造物も増えた。

 まず我が家は城になった……城暮らしだぞ、転移直後に住まわせて貰ってたのとは違って、自分のだぞ……マジで王になったんだなと実感する。

 使用人も増えて、1人1人に部屋を与えている。第2次募集時は、俺の指導では無いと聞いて殺到しやがった。俺に仕えたいのに、俺の指導は受けたくないとは如何に。

 冒険者ギルドも設立された、人間族領側と魔人族領側どちら共だ。

 折り合いを付けさせるのに時間が掛かったが、人間は人間側の冒険者ギルドを、魔族は魔族側の冒険者ギルドを使い、国からの依頼はどちら共に、公平に出す事でどうにか納得して貰った。蟠りはそう簡単に消せる物ではなさそうだな。

 自警団本部も作った。こちらは国内で3番目に大きな建物だ。実質日坂の城みたいなものである。

 1番目は当然王宮。では2番目は何かと言うと――精霊大聖堂である。

 聖堂では無く大聖堂……そう、来ちゃったんだよ……司教様。

 事の発端は俺の像に崇拝する謎宗教をどうにかしたくて、精霊教を国教として定めた事。

 ラミウムが献身的な信仰を捧げてるし、俺もフィアには感謝しきれないからな。

 フィアに話しを聞いて、キューとマリンの協力の下、精霊の泉と成り得る環境を作り上げた。

 まあ、環境が整っただけで、実際に精霊たちが住んでくれるかは別の話だったのだが、思ったより精霊たちが集まってくれた。というのも精霊に好まれやすいラミウム、水奈に加え、産まれた時に祝福を受けたビオラちゃん、産まれる前から期待視されている水奈のお腹の中の子に、精霊たちが寄って来たそうだ。

 因みに俺は好かれやすい訳では無いらしい……良いし別に。俺にはフィアが居るから、俺のパートナーはフィアだけだから。

 精霊の泉から少し離れた所に、精霊教の聖堂を作ろうと思って、精霊たちの記憶から知恵を貰い精霊王の像を作って、かなりの大きさの聖堂にしたんだよ。

 精霊たちはそれで喜んでくれたんだけど、ラミウム曰く正式な精霊教聖堂になるには精霊教本部に申請して司祭に来て貰わないといけないらしく、ラミウムと一緒に本部を訪ねたら……8種の精霊と契約しているラミウム、大精霊と契約している俺、大精霊2種と契約してる妹の話と、大きめに作った聖堂の事で大絶賛されて……司祭だけじゃ無くて司教までも派遣されてきた。聖堂についても高評価で、此処に配属された事を誇りに思うとまで言われちゃった……

 言えない、謎宗教を増やさない為の抗いで作ったなんて……

 

 

 

『氷河はホント、罰当たりだよね~』


 現在、精霊大聖堂に訪れている。国王は精霊教の信徒で、お祈りにも行ってるんやでーアピールである。実際はただ訪れてるだけだがな。


「信仰心が無いわけじゃ無いぞ。ただ俺が信仰を捧げるのは精霊王では無くフィアと言うだけだ」

『私に信仰を捧げられても困るんだけど……それって氷河を信仰してる人達と変わらなくない?』


 そうか? そうだろうか……受け取り方次第ではそうなるか。

 

「うちの家紋は月に炎、国紋は月に太陽なのに……なんであの宗教は月に雪の結晶なんだろうか……」

『家紋に私を採用する氷河が言えた事じゃないと思うよ?』


 我が王家の守り神だぞ、入れるだろう。

 因みに国紋の太陽は日坂家の家紋で、神奈に渡した刀の鍔もその形にしている。

 水奈の盾にはうちの家紋が描かれている。水奈に攻撃する事、即ち俺に対する攻撃とみなすの意である。

 

「しかし……精霊教のトップ陣も凄いな……もれなく全員大精霊を伴侶にしてるのか……精霊の繁栄に貢献はしてるだろうけど……精霊魔法の適正遺伝子を世に残せてないって理解してるんだろうか……」

『適正は遺伝が多いけど、稀に突然変異で発生もするから……それに元々精霊魔法師って普通の魔法師より少ないし』


 その少ない原因が大精霊の、男性は種馬に、女性は苗床になっているからじゃないだろうか。

 大精霊との性行為は通常の何倍もの快感が得られる……代わりに人同士では満足出来なくなってしまう。結果的に一度でも大精霊としてしまえば、もう人と交わる気は起きなくなる。一種の中毒みたいな物だ。

 

「そう考えると、精霊教のトップ陣はみんな情欲に溺れてる様に思えるな。聖職者なのに」

『聖教者の教えでは、人間との行為は情欲だが、精霊との行為は神聖なものである……らしいよ』

「……それが誉れと言うなら、そうなんだろ……きっと」

『氷河は追体験で精霊との行為とか、私と性行為してみたいとか思う?』

「俺は今の関係のままで良いと思ってるからな……フィアに性行為を強いる気は無い。ただ、追体験で他の大精霊に入れたり入れられたりの経験をするぐらいなら、俺はフィアを選ぶ。フィア以外の精霊となんて考えられないな」

『…………ばか……』


 自分で話を振っておいて、真っ赤になって顔を背けるフィアが可愛過ぎる。

 追体験で他人の性行為に干渉する事は極力避けている。野郎にされている感覚なんて味わいたくないし、知りもしない女性とする気も無い。知り合いの女性は気まず過ぎるからもっと無しだ。俺には穂乃香、水奈、フィサリスがいる。不満がある訳が無い。

 それに不貞を働けば俺と記憶を共有するフィアにバレる。フィアに見放されるような事はしたくない。

 精霊との契約は、精霊に認められなければ成立しない。結んだ後の関係はパートナー……つまり対等である。

 契約者が精霊魔法を悪事に使ったり、契約者自体が悪に堕ちると、精霊は契約者を見放し、契約を破棄して去ってしまう。

 故に精霊魔法使いに悪い人は居ないと言われており、精霊教が各国で信仰されている理由でもある。

 精霊魔法は適性も必要だが、人柄も関係してくる……故に精霊魔法師は少ない。

 

「フィアから見てどう思う? 俺割と悪い事してるような気もするんだけど……」

『氷河は私だから許されてる所が多々あるね』


 あ、やっぱりあるんですね~……

 フィアが俺の顔の横に飛んできて、俺の頬に手を添えた。


『でも、氷河はいつだって幸せの為に頑張ってる。それは自分の為でもあるけど、周りのみんな、大切な人の為でもある。ぶっきらぼうで口は悪いけど、相手の事を思う優しい心が有る……だから私は胸を張って氷河のパートナーであり続ける、氷河が間違った道を選びそうになったら引っ張たいてでも連れ戻すんだから』

「――……人間サイズ化してたら迷わず抱きしめてたな……ありがとう、フィア」


 俺のパートナー様は、世界一最高だ。


『――……氷河も大精霊みたいな所あるけどね~。穂乃香も水奈もフィサリスも、もう普通の人じゃ満足できないと思うよ? 穂乃香のテクニックを持ってしても水奈と2人で、やっぱり氷河のじゃないと……って言ってたんだから』


 ……そりゃ、他の奴に譲る気無いし、俺以外を知る必要も無いから良いんだけど……

 ……そういう面で大精霊扱いされるのは、反応に困る。

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