表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
アフターストーリー ~10年後まで~
285/346

爵位

 使用人達の育成を始めてしばらくした頃、神奈が妊娠した。

 神奈は水奈と同じく、ラミウムとフィサリスの出産時から子供を欲していたが、俺が水奈に戦争が終わるまで待ってくれと言った話を聞いて自重していた。

 まあ、あれは暗に神奈にも言っていた。神奈の出産は俺が担当する、これは前々から伝えているからな。

 神奈は骨格的な問題で出産時のリスクが大きい。母子共に命に関わる場合もある……他の助産師には任せられない。

 俺の都合で待たせる事になったからな。安定期に入った時に盛大に妊娠祝いをやった。出産も無事に終われば出産祝いも多めに出そう。出産はこいつが一番大変だろうからな。

 神奈の妊娠から3ヶ月後、水奈が妊娠した。

 水奈も妊娠までには少し時間掛かったが、1年掛かったフィサリスに比べれば短い。

 穂乃香は時期ピンポイントで俺を監禁してほぼ一発。ラミウムは二十歳の誕生日を迎え、解禁した際に運良く恵まれた感じだった。相変わらずの幸運だな。

 神奈の出産には日坂が、水奈の出産には穂乃香が立ち会う事になった。

 神奈は恥ずかしい所を見られてでも傍に居て欲しいらしく、


『それに…………もしかしたら最期になるかもしれませんし――いたっ!』


 と縁起でも無い事を抜かした為げんこつを入れた。担当医師は俺だぞ、死なせる訳ないだろう。

 水奈の立ち合いに穂乃香が入るのは……うん……ここはラブラブだから。

 もう互いの恥ずかしい所なんて今更だろう。他人や俺以外の異性には見せられないような事も結構してるしな。押しに弱い水奈と自重しない穂乃香の化学反応は洒落にならない。

 難を逃れようとフィサリスが俺の下に来るのはいつもの事。そして俺とフィサリスのお楽しみが始まるのもいつもの事。

 フィサリスは俺以外の奴に従わされるのは嫌らしいからな。昔の名残で従ってラミウムぐらいだそうだ。まあ、ラミウムとの関係は主従と言うより、姉妹だが。

 水奈の妊娠から半年後、神奈の出産予定日が近づいている。

 ともなれば当然俺は助産師期間に向けて、恒例の仕事全処理に入る。

 ブライトタウンの人口増加は、前回の戦争勝利から留まる事無く、現在3万人を超えた。

 2ヶ月前に建国を果たし、少人数ながらも王国となった。

 国王は……俺だ!

 他国の国境ギリギリにまで領地を増やした。元々魔族と人間が接触を嫌って近寄らなかった無法地帯だからな。荒れた土地だが、更生は出来る。

 水源の確保は以前の温泉の様に俺が地脈を見て掘り当て、管理をマーメイドのマリンに頼んだ。二つ返事だった。

 植物の増殖にはアルラウネのキューが手伝ってくれている。本人も過ごしやすい環境を作りたいそうだ。

 国領地の広さは俺の千里眼の半径に収まるぐらいの広さだ。国内のどこに居ても国中を見渡せるようにした。大国ブルーゼムの四分の一程度の広さだな。

 建国に当たって状勢も色々変わった。

 まずロータスを筆頭とする騎士団の設立、ラミウムの育てた内政官達を各地に配置。

 各地に配置と言っても国境付近は未だ未開発の為、開発済みの王都付近を任せてみている。

 魔法師団のスカウトはボチボチ、外交官は未だ育てず俺やラミウムが行っている。

 相手の思考が読める俺やラミウムが断然外交は強い。相手方も国王自らだったり、大国の王女だったりでビビる事が多い。そうならない為と相手方のビックネームが出てくればなお良しだ、何を考えての話なのか丸分かりだからな。

 次に日坂を筆頭とする治安維持部隊を自警団に改め、権限をほぼ全て日坂に委託した。

 騎士には向かないが正義感のあるグラジオラスが自警団の副官に、神奈は日坂の補佐官になった。

 日坂とグラジオラスは正義感が似通っているからか、ウマが合う。俺から振り回されて互いに大変だなって愚痴りあっている。おい、愚痴友になってんじゃねぇ。

 たまにここに神奈が加わる。全て俺に知られる事前提で話している為、隠れての愚痴という訳では無い。だが、俺はその場に居ないため、俺からの反論が無いのを良い事に言いたい放題である。別に良いけどねっ! 全部知ってるし。

 アマリリスには参謀という役職を与えた。頭の回転だけは良いから、指揮を任せれん事も無い……が、博打要素が強い。星原だからな。副官としてピアニーを付けた。本命は暗殺部隊。頑張れピアニー。お前の祖国、未だに敵対表明してるけど。

 アイリスは変わらず院長。サポートにミラと守護兵ユリがいる。ユリがアマリリスの枷となり、俺がユリの枷となっている。問題児はこうやって抑えている。

 月島家は王族となった。穂乃香は王妃、水奈が王女、リノも王女、結衣香も王女、煌輝は王子である。フィサリスは側近兼側室で俺の腹心扱いだ。水奈も側室だが俺の妹である為立場は王女となる。

 ほたるはリノの専属騎士に命じた。

 

『弥生ほたる、お前にこの剣を授ける』

『これって……氷河先ぱ…………国王陛下の』

『そうだ、俺が使っていたミスリルの剣だ。お前はこれから俺の剣となり、リノを守り抜け』

『~~~! はっ!』


 剣を渡したら凄く喜んでいた。俺は新たにミスリルの刀を持つつもりだったから、一本使わなくなる。

 煌輝が将来的に剣術を使うなら、その時渡すのも有りかとも考えたが、俺の第一の魔剣術の弟子であり、俺の魔剣術の始まりでもある、ほたるに譲る事にした。

 ロータスには槍を壊した代わりとしてオリハルコンの槍を渡した。

 日坂にオリハルコンの剣、神奈にオリハルコンの刀、グラジオラスにはアダマントの斧槍を自警団設立時に渡した。

 グラジオラスだけアダマントなのは……まあ、忠臣としてよく働いてくれてるからな……別に愚痴られた腹いせでは無い。無いったら無い。

 後は建国時に穂乃香にはミスリルのガントレットとグリーブ、水奈にはアダマントの盾を渡した。

 水奈の盾は堅くした。これは必須事項であった。異論は認めない。

 フィサリスは既にミスリルの杖を既に渡していた為今回は無し。ラミウムにはミスリルの弓を渡した。

 アマリリスには黒メッキのオリハルコンの大鎌を渡し、アイリスには――

 

『……何コレ?』

『地中に埋まっていた古代竜王の牙から作った短剣だ。量的に大きな武器は作れなかった』

『……孤児院の院長が持つような代物で無い事は、しっかりと伝わったよ……』


 ――古代竜王の短剣を渡した。同じ物を使用人筆頭のセバスチャンにも渡している。

 爺さんは使用人だから帯刀は出来ない。懐に短剣を隠し持って有事の際に使うぐらいだ。

 他は実力に欠ける為渡していない。ピアニーは実力は申し分ないが、未だ忠誠心に欠ける為渡していない。祖国問題が片付いてないからな。

 可能なら騎士団にもう1人ぐらい実力者が欲しい所だな。ロータスの負担を減らせる副団長が欲しい……

 そこそこに強い奴は居るが、才能が突出して光る者や、ほたる並みに折れぬ心を持った者が居ない。

 ニンファーは折れない心の持ち主だが、あいつは戦闘員じゃ無い。

 現状、一番可能性を秘めてるのはリノだ。成人する頃には最高幹部に名を連ねるだろう。

 最高幹部、及び幹部には軒並み爵位を与えている。

 日坂は大公。ロータス、グラジオラスは公爵。アマリリスは侯爵。セバスチャン、ほたる、アイリスは伯爵。ピアニー、ニンファーは子爵。ミラと料理長の伊藤真由美は男爵だ。

 ラミウムは他国の王女で公爵夫人という扱いになる。神奈は大公夫人である。

 フィサリスは候爵を与えたが、俺の側室であるため待遇で言えば公爵待遇だ。

 まあ、何となく分かって貰えただろう。結構適当に与えた。

 王国として他国に見せる為の見栄でしかない。ミラと料理長は子爵にしようと思ったが、爵位自体を断ろうとしたので男爵で納得して貰った。爵位を断る臣下とは如何に。

 大公の日坂は外交に出て貰う可能性がある為、徹底的に礼儀作法を叩き込んだ。これは王族である水奈とリノも同様だ。

 穂乃香は俺の指導をスポンジの様に吸収し、教える側になっていた。ぎこちなさが少しあるフィサリスより様になっている。ほんとなんでも出来るんだなコイツ。

 後は今後領主になる内政官、騎士や兵士達の指揮官など、働きや活躍に応じて伯爵以下の爵位を与える事にする。爵位が欲しければ俺に優秀である事を示せ。

 自警団には爵位持ちが増えそうだな……あそこ優秀だから。勇者達も貢献度や忠誠心次第では爵位を与える。騎士団員は騎士爵、使用人幹部は準男爵、魔法師団員は少数精鋭の為もれなく男爵を与える。活躍次第で昇進もさせてやる。

 今はまだ決定では無いが、貢献者が増えて伯爵が増えた場合、最高幹部のほたるとアイリスは侯爵に繰り上げる。最高幹部は国の中枢だからな。

 元々礼儀作法の得意では無い戦闘民族みたいな集まりだったからな。外交する奴以外には貴族たれ! なんて言うつもりは無い。爵位は与えたが基本今まで通りで良いと伝えてある。なんちゃって貴族だ。じゃないとグラジオラスまで爵位を渋るからな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ