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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
アフターストーリー ~10年後まで~
271/346

指揮官狩り

 力を持つ者が、力を持たぬ者を守る。

 決して義務とまでは言えない。が、必然的な流れでもあるだろう。

 力を持つ者とはそれだけで責任が付いて回る。力があるのに戦わないのはそれだけでも罪として扱われる。

 実際に処罰される訳では無い。だが、そいつが戦場に立っていれば、被害はもっと少なく済んだ、奴はどうして実力を保持しながら戦わないのだと、不満と共に良い顔をされなくなるだろう。

 圧倒的兵力数で、こちらは少ないからと、引退した者や、成人を迎えたばかりの者達も防衛戦に参加している。

 ともなれば、特機戦力と言える我が家が参戦しない訳には行くまい。

 そう……力がある故に戦場に立たせたんだよ……妻を、妹を、娘すらも――

 ……気がおかしくなりそうだ。

 

 

 

 

 

「――お前が指揮官だな?」

「な――っ!」「どこから!?」「隊長っ!」

「『隔離結晶』」


 俺と指揮官以外の兵士を全て結界の外へとはじき出す。

 用が有るのは指揮官だけだ。他には興味すらない。

 ……こいつは有能そうだな。

 錬金術で指揮官を拘束し、首に剣を添える。

 

「――選べ。俺の配下になるか、此処で死ぬか」

「配下……だと……?」

「ああ、お前だってこんな所で死にたくは無いだろう? お前の国はレッドリアと同盟を結んでいたというだけだ。他国の戦争に巻き込まれ、妻子いる身で、戦死はしたくないだろう?」

「なぜそれを――」

「――選べ。無駄話は少なく収めたいんだ、早くしろ」

「………………配下になった後……此処に居る兵士たちはどうなる……殺すのか?」

「興味無いな。こちらも予定が詰まっている。お前の部下に宗教信者は居ないし、うちの奴らには犠牲は最小限にする様伝えてある……死ぬことは無いだろう」

「……………………分かった配下になろう」

「賢い選択だ」


 指揮官と奴隷契約を交わす。

 自己保身を選んだが、最後まで部下の心配もしていた……部下全滅予定だったら配下にはならなかっただろうな……こういう奴は嫌いじゃない。

 

「次だ……『サークル』『テレポート』」


 次は……従いそうに無いな。

 

「――お前が指揮官だな『隔離結晶』」

「なっ! ……貴様が怪人か」

「選べ。俺の配下になるか、此処で死ぬか」

「配下だと!? なる訳――」「――そうか、『ダーククラッシャー』」

「………………」

「何ぼーっとしている。次だ『サークル』『テレポート』」


 次は……戦闘力も高いのか、確保しておきたいな。

 

「『隔離結晶』――お前が指揮官だな」

「……お前が噂に聞く怪人か……『トルネード』!」

「『グレイシャー』」

「『フレイムトルネード』!」

「『メイルストローム』」

「『サンダークラッシャー』!」

「『ダインスレイブ』」


 指揮官の剣を根元から斬り飛ばした。

 完封された指揮官は膝から崩れ落ちた。自信家だったみたいだな。

 あれだけ魔法が使え、魔剣術も使えるなら優秀な兵士だろう。

 

「う、嘘だ…………嫌だ……死にたくない……」

「――選べ。俺の配下になるか、此処で死ぬか」

「あ……あぁ………………配下に……なる……なります……殺さないで下さい…………」


 ……嘘は言ってないみたいだな。奴隷契約を結んだ。

 コイツは実力はあるみたいだが、メンタル面が弱いみたいだな。

 俺直々に鍛えてやろう。


「次だ『サークル』『テレポート』」


 次は……あまり指揮力の高くない奴だな。

 

「『結晶隔離』――お前が指揮官だな」

「ひっ! か、怪人!」

「――選べ。俺の配下になるか、此処で死ぬか」

「は、配下になる! なります!」


 ……こいつ――

 

「――俺の配下になって……情報を流すのか」

「――っ!? ななな何を……そんな事は決して致しません!」

「そうか……」


 強か……蛮勇……いや、無謀だな。

 

「『ダインスレイブ』」

「な……ん、で……」

「……俺はお前の様な奴が一番嫌いだ」

「ちょっと待ってくれ……そいつは今、従うって――」

「――俺はスキルで相手の心が読める。相手の記憶も読める……嘘、偽りが俺に通用すると思うな……それに此処は戦場だ。お前らは、俺に生かされたに過ぎない。生きるチャンスを与え、不意にされたから殺した……何かおかしいか?」

「……いや、何も」


 容赦なく殺し合う戦場で、普通なら殺されている所、生きるチャンスを与えてるんだ。

 それだけでも十分だろう。

 

「……嘘は……言って、ません……!」

「ああ、分かってる。次だ『サークル』『テレポート』」


 次は……外れか……粗暴不良が目立つな。

 

「『隔離結晶』――お前が指揮官だな」

「んだテメェ!」


 口が悪いな……錬金術で拘束して置くか。

 

「ぐっ……テメェ……何しやがる!?」

「――選べ。俺の配下になるか、此処で死ぬか」

「あぁん!? 後ろに付いてんのはテメェに従った指揮官ってわけかよ! ネタは上がってんだ! 死者は全然出てねぇってなぁっ! 本当に殺せんのかこの腰抜け!」

「『アブソリュートゼロ』」

「――――――」

「氷像になった気分はどうだ? 聞こえてないだろうけどな……」


 ここにはもう用が無いな……次だ。

 

 

 

「――儂は国に忠義を捧げた身……たとえ死のうとも、貴公には下らぬ」

「……そうか、見上げた忠誠心だ」

「はぁっ……っ!」「…………あんたの主は幸せ者だな」


 指揮官はこの爺さんで最後だな……これで実質、敵部隊は機能が止まった。

 指揮官は8人ほど確保出来た。十分だな。

 後は元から指揮官の存在しないゲリラ兵と……大将格か。

 ――……うん? おいおい、マジか。

 

 

 

 

 

「魔人族領パイシーズ王国、『英雄』グラジオラスだ」

「人間族領ホワイトール帝国、『騎士団長』ミルアグナ……話しには聞いていたが……ラミウム王女、貴女がそちらにいらっしゃると言う事は即ち、ブルーゼムはそちら側に付いたと言う事でよろしいのでしょうか?」

「…………それは」「――良いらしいぞ、ラミウム」「――なんせ俺が来たからなぁ」

「氷河様……マグオート!?」


 やりやがったあの親バカ。

 娘が戦争に巻き込まれてるって知って、マグオートを援軍に出しやがった。

 もう、負けようも無かったんだが、完全にブルーゼムがこっちに付いた事になったな。

 

「まさか小僧と共闘する事になるとは思わんよなぁ。はっはっはっ!」

「約束通り強くなっておいたぞ、サシで勝負するか?」

「くっくっくっ、怪人と一戦するのもまた一興!」

「貴方達が戦ってどうするのですか!」

「ふははは! その通りよなぁ……小僧との勝負よりも先に――久しぶりよなぁ、ミルアグナ」

「マグオート……! この戦闘狂まで出張って来たともなれば……すぐに終わらせる!」


 おう、迷わず俺の所に突っ込んで来るか。まあ、この場のヘッドは俺だからな。

 間違っては……穂乃香……

 

「――!」「氷君に触れるなッ!」


 向かって来た敵に転移してきた穂乃香が蹴りを入れ、吹き飛ばした。

 別に俺が相手しても良かったのに……お前、俺の事大好き過ぎだろ。

 

「くっ……っ!」「――キングとクイーン取るにはまだ早いだろ……ジャックと遊ぼうぜ?」

「このっ!」「――では、私も混ざりますかね」

「ロータス……!」


 敵にグラジオラスがハルバードを振るい、ロータスが突きを入れる。

 何アレ集団リンチ。

 ……こんなに戦力が密集してても仕方ないな。此処はグラジオラス、ロータス、……一応アイリスを残して置けば大丈夫か。

 

「マグオート、あんたはラミウムから離れないよう命が下った上で、強い奴と戦いたいんだろ? 南にレッドリアの英雄が居る。ラミウムと……俺の弟子1人ラミウムの護衛に付けるから行って来ていいぞ。神奈、GO」

「私ですか!?」


 穂乃香でも良いけど、その場合、君俺と2人よ?

 

「貰っていいのか?」

「良い。俺はあんたと違って戦闘狂じゃない」

「はっはっはっ! だが、サシはするぞ? 終わった後にでもなぁ」


 終わった後は駄目だ。俺は預けた結衣香と煌輝を迎えに行って、抱き締める予定なんだから。

 おっさんとの勝負を優先なんてしてられない。

 マグオート、ラミウム、神奈の3人が南に向かって行った。

 さて……

 

「行くか、穂乃香」

「うん! えへへ~、デート~」

「こんな血生臭いデートは嫌だろ」

「私は良いよ? 氷君と一緒なら」

「……そうかよ」


 時期に日坂が大将格の心を折り尽すだろう。

 だから俺と穂乃香は別の所へと向かった。

 3万人の兵……確かに多いがそれだけ動かすには金が掛かる。

 それは武器費であり食費である。そう、つまり長期戦を見越した場合の食材があるのだ。

 兵糧攻め。だが燃やして勿体無い事はしない。空間魔法使いが2人居るのだ。空間収納に入るだけ貰って行く。3万人分の食材は、1万人で行う炊き出しの材料として貰った。

 どんなに巧妙な場所に隠していたって、俺の前では無力である。隠した人は知ってるんだから。千里眼に透視もあるし。

 賠償金はこれで勘弁してやろう。

 レッドリア……次は、地図から消すからな。

A日坂、2リノ、3ほたる、4水奈、5神奈、6アイリス、7フィア、8ラミウム、9ロータス、10フィサリス、Jグラジオラス、Q穂乃香、K氷河、JOKERアマリリス。

トランプだとこうなりますね。

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