表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
アフターストーリー ~10年後まで~
264/346

町の名

 最近の村の発展速度がヤバい。

 と言うのも、魔族側、人間側共に接触する国が増えたからだ。

 今まで割とタブー扱いされていた為、うちの村に訪れるのは移住目的か、商売人だけだった。

 しかし、友好的な国が増えた事により、人間と魔族の共存に興味を持った『観光客』が増えたのだ。

 観光客が増えれば当然宿泊施設が必要になり、飲食店等々も必要となって来る。

 村入り口には関所も出来たし、治安取り締まりの部隊も日坂と冒険者たちを中心に作り上げた。

 まあ、観光客増加の一番の原因は、リノの召喚獣達だけどな。

 人に懐く幻獣や、人と共に暮らす獣人はそりゃ珍しいだろう。

 買いたいと言う馬鹿が多かった。もちろん全てお断り。

 富豪の相手はラミウムにして貰った。またドレスを着てもらってすまない。お世話になっております。

 発展速度が著しいと言う事は、経済力の上りも著しいと言う事であり、幹部で話し合った結果、名称を村から町へと変える事にした。

 町名も付ける事になった。案を募った際は、

 

 『エデンです!』

 『それはお前の心境だろ』

 『アイスリバー!』

 『大丈夫だ、思いは伝わった……でも町の名前な』

 『行き場の無い人の受け入れ先なので……アビス?』

 『此処が深淵だと言いたいのか?』

 『間違えました、シェルターですね』

 『避難所じゃねぇか』

 『トップ2人から取ってサンムーンシティとかどうかな?』

 『悪くは無いが……町の事を表せる方が良いな』

 『太陽と月のある明るい町でブライトタウンってどう?』

 『明るい町か……採用』

 

 水奈の『ブライトタウン』を採用した。首を傾げながら尋ねる水奈が可愛過ぎた。

 前々から町みたいな物ではあったが、俺が頑なに村である事に拘っていた為今となった。

 町って……なんか一体感ないじゃん。あと、町長って呼ばれるのも……村長の方が良い。

 町になるに当たって、計画していた学生寮、ローブの家の解体。個人個人の家へと移った。

 友好国からはぶっちゃけ一つの国として扱われているが、大々的に国と名乗る気は無い。

 と言うのも、国と称するためには冒険者ギルドや商業ギルドなどの、世界共通組織との話し合いも付けなければならない。

 何がめんどくさいって世界共通と言いつつ、その世界は人間族領だけ、魔人族領だけの話だからだ。

 俺らの町は現状どちらの領にも属しておらず、国となる場合どちら共にも属す……つまり、人間側のギルドと魔族側のギルドの仲介を行い、互いの利益取り分の折り合いを付けて貰わないといけない訳だ。

 果てしなくめんどくさい為現状は国とは名乗らない。武闘派少数民族である。

 国籍は持っていた者は以前の物の為、度々ブルーゼムの使者がうちの姫君を返せとやって来る。

 そしてその度に姫君自身に『帰りなさい』と追い返されている。

 使者があまりにも追い返されたからか、ラミウムの弟、シラン王子が直々に派遣されてきた。

 流石に王子相手に追い返す訳にもいかないので、うちの町で一番大きな家……即ち俺の家で話し合いが行われる事になった。

 そりゃ町長の家だからちょっと豪華目にしてあるのよ。

 ラミウムと王子が不仲と言う程では無いが、仲良くは無いのでラミウムがフィサリスを話し合いに呼んだ。

 フィサリスは成長していた王子を見て可愛がる可愛がる……結果嫉妬したリノが参戦。

 フィサリスをママと呼ぶ女児に王子は驚いていたが、隠し子かと聞いた返答が義理の娘でホッと溜め息を吐いていた。その後リノが抱えている男の子は実子と聞き固まっていた。

 ラミウムも娘が居るという追撃に、情報処理の追いつかなくなった王子はそのまま帰って行った。

 後日ローズ王妃来襲。ラミウムとお茶しながら雑談や近況報告をし合った後、ビオラを可愛がって『またね』と言って帰って行った。

 連れ戻しに来たんじゃ無くて、完全にお茶しに来ただけだったよあの王妃。孫に会いに来たって言うのが正しいのか?

 ただ『国王が連れ戻すためにこの町に行きたがって困ってる』という情報を残し、『たまには顔を見せてあげてね』と言い残して行った。

 帰国はちゃんと促して行く……侮れないなあの王妃。

 そんな事もあって各所からの訪問も増えている。

 

 

 

 

 

「――最近水奈ちゃんの元気が無い?」

「そうなんです! 対応は明るくしてくれるんですけど、俯いてる姿をよく見かけまして……引っ越しをした後からなんです。きっと一緒に住んでた神奈ちゃんや王女様達と離れて寂しくなったんじゃないかなって……私も今家に1人でそうですし」


 あー……まあ、確かに私も孤児院で一緒に暮らしてた子達が、それぞれ自分の家を持つってなった時は少し寂しかったもんなぁ……

 すぐ会えると分かっては居ても、住んでいた人が居なくなるって寂しさは感じるけど……でも引っ越してそこそこ日が経つんじゃない?

 

「そこで水奈ちゃんを元気付けに女子会を開こうと思うんですけど、奏先輩も一緒に来れませんか!?」

「私も?」

「ハイ! 奏先輩が来てくれたら水奈ちゃん喜んでくれると思うんです!」


 元気付けに女子会って……でもなんか弥生らしいと言うか。

 発想はちょっと斜め上だけど、思いやりの気持ちをしっかりと持ってる。

 行きたい所だけど……

 

「――行っておいでよアイリスちゃん。孤児院の方は私が何とかしておくからぁ」

「ミラちゃん……でも」

「大丈夫。場合によっちゃユリに手伝わせるからぁ。たまにはアイリスちゃんも休まないと」


 ユリさんに任せるのは、それはそれで不安なんだけど……

 

「……うん、分かった。じゃあお願いね」

「はいはぁい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ