戦うスキル
俺と水奈が戻った事で愚痴り会は終わり、通常通り報告会が行われた。
目の赤くなった水奈を見て、男子は俺が泣かしたんだと余計に敵意を向けて来た。
そして上がーる上がる穂乃香の不快度指数。
これは不味い。
俺のせいで男女対立が起きかけてるのもそうだが、
穂乃香のストレスがマッハで溜まっていく。
穂乃香は今までクラスメイトに興味が無かったから、男子が俺に向ける視線はただの嫉妬だと思っていた。
ただ、今回それだけでは無い事を知ってしまった。
今後は穂乃香にもフォローを入れて行かないとな。
報告会が終わった。
これから夕食だが、その前の方が良いだろう。
俺は穂乃香を部屋へ呼び出す。
男子からの視線が鬱陶しいが気にしたら負けだ。
「氷君、どうしたの?」
如月 穂乃香
憤怒度 55
あれ? 俺の部屋に来た瞬間に40下がったよ?
やだ、この子ってば意外とちょろい?
「肩に力が入ってたからな……俺らが居なくなってから何があったのかは、想像できなくない。穂乃香にも不快な思いさせて悪かったな」
「ううん。氷君は悪くない。気遣ってくれてありがとね」
(あ~氷君はやっぱり優しな~……だって言うのに。氷君の事知りもしないで好き勝手に言って。あの有象無象)
穂乃香ちゃんってば辛辣。
「ごめんね……水奈がいっぱいいっぱいだったのは、私が怪我したからなの。私は大丈夫だったんだけど、水奈が顔が真っ青になちゃって……そのせいで氷君にまで迷惑かけちゃったね……」
「お前は悪くねぇよ。穂乃香がいるから安心して水奈を送り出せるんだ。いつもありがとな……ほんとは俺も行けたら良かったんだけどな」
でもそうなるとレベルの上りが遅くなるのか……悩ましい。
俺がこいつらについて行くとこいつらの今は安全だが、未来が不安になる。
俺がこいつらと別れてレベリングする事で未来に備えられるが、今が不安になる。
それで俺はコイツらの今より未来を選んだわけだ。
ゆっくりとレベルアップしてる時間は無い。
俺の鑑定は過去と今が見えるが、未来は見えない。
ただ、過去と今の情報から予測して備えるだけだ。
「私は氷君が戦うスキルじゃ無くて、良かったと思ってるよ?」
あれ? ヒーローじゃないのん?
「だって氷君は出来ると分かった事、全部一人でやっちゃうでしょ? もし戦うスキル持ってたら私たち置いて一人で魔王倒しに行きかねないもん。普段はめんどくさがりなのに、氷君て水奈や私の事になると動かずにいられなくなっちゃうんだから」
……そうだな。穂乃香の言う通りだ。
俺はどうやら大人しくしていられる性格じゃないらしい。
「だから私は氷君が戦闘スキルじゃ無くて安心した。今度は……私が守るからね」
穂乃香が良い子過ぎてヤバい。
そして穂乃香にとっての俺がヒロインポジション過ぎてヤバい。
でも悪いな穂乃香。俺はお前の想像通り、動かずにはいられないんだ。
(その為にはあの有象無象邪魔だな~……今はまだ良いけど、氷君に害をを及ぼす様なら……燃やす)
それは、止めなさい。
如月 穂乃香
憤怒度 10
穂乃香は俺と話す事でだいぶ落ち着いたようだ。
ただコイツの場合は、下がりやすい分上がりやすくもある。
今後も気に掛けて行こう。
そうして俺は穂乃香と一緒に夕食へ向かった。
ポケットwi-fiが愉快な事になってて投稿が出来なかった。
そして近日速度制限が掛かってしまうかもしれない。
何だとっ!? どうして3GBも使っているんだ!




