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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
アフターストーリー ~10年後まで~
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パジャマ

 最近大忙しの村長だ。

 孤児院の子供達から、『村長、最近遊んでくれない』と言われるが、自分の子供の相手すらろくに出来てない状態だからな。我慢してくれ。

 管轄を増やすことでどうにか回しているが、人が増えるから人手が足りない状態だ。

 不思議だろう? だが事実だ。

 人が増えるには土地を広げねばならん、土地を広げるには人が必要だ。

 せめて纏まって来てくれないかなぁ……一月に一回とか……

 だが、来る側には来る側の理由があって、一月も待てないって場合もあるしな……

 ……審査を緩くして、スパイ系統の奴だけ始末していくか……?

 治安悪化に繋がりそうだが、人が増えると多少は仕方ない部分があるからなぁ……

 そうなると治安維持部隊が必要になる……また人手か……

 

「あーあー」

「結衣香、パパはもう大変だ。あと5人ぐらい自分が欲しいぐらいだ」

「あう」


 珍しく入村希望者が来なかった今日。

 ようやく時間が取れた為、使い道にやや迷って、結衣香と共に過ごしている。

 本当はやるべき案件がまだ残ってるけど、そんなものは後だ。

 俺は今、結衣香の相手をすると決めたんだ。あとの事は未来の俺がやる!

 頑張れ未来の俺……つまり俺。

 

「あと5人いれば割り振りを六等分にできて……全部仕事に回したら次の仕事に取り掛かるだけだな……1人は結衣香の相手……」


 あれ、水奈の相手、穂乃香の相手、フィサリスの相手、リノの相手……もう仕事用しか残ってないぞ?

 違うな、家族用、孤児院用、受け入れ用、事業用、指導用、トラブル用、の計6つか?

 果てしなく意味の無い仮定だったな。

 しかも水奈、穂乃香、フィサリスを6人で取り合う予想までつく。碌な事にならないな俺が6人いても。

 穂乃香は喜びそうだけど。

 

「千里眼で見守ってるとは言え、近くに居なきゃ面倒見ていないのと一緒だよな……いつも一緒に居てやれなくてごめんな」

「うーうー」


 俺の頬に小さな手を当てる、うちの子マジ天使。

 穂乃香が作った猫の着ぐるみパジャマの相乗効果でマジ可愛い。

 穂乃香の裁縫もこういう面では良いんだけどなぁ……いかんせん夜目的に作られる物が多い。

 今も神奈と一緒に『全身猫セット布面積90%減』を水奈に着せてるし。

 ちょっと直接見に行きたい所だけど、悪乗りした神奈に、水奈の反逆で穂乃香と一緒に『全身熊セット布面積90%減』を着せてる所だから見に行けなくなったな。

 こりゃしばらくしない内に『全身犬セット布面積90%減』を穂乃香が自ら着るだろうが……そうなると穂乃香の暴走が止まるか心配だな……

 神奈は穂乃香の守備範囲内だからなぁ……だがそこ超えられると厄介なんだ。

 俺が神奈に穂乃香を取られたのか、日坂が穂乃香に神奈を取られたのか、よく分からなくなる。俺と日坂は苦笑いするしか無くなるんだよ。

 だからって神奈があんな格好してる穂乃香の部屋に、俺が突撃する訳にもいかないしな……マジでヤバそうになったら、俺が水奈の部屋に移動した上で穂乃香だけでも召喚するしかないな。

 基本は放置、外部のトラブルで離れられなかったと主張する。

 

「パパー」

「お、リノ」


 フィサリス作の可愛いフリルのワンピースを着たリノが現れた。

 リノは8才になっても相変わらず甘えん坊のままだ。

 フィサリスの作る服はセンスが良いと言うか……穂乃香に比べて普通な物が多い。

 穂乃香はセンスが悪い訳じゃ無いが、使い所を間違っている。

 水奈に穴あきスク水、フィサリスにヒモマイクロビキニ、自分用に透明度95%シースルービキニを作って来た時は、穂乃香の部屋以外での着用を禁じた。

 あれはどれも水着ですらないだろ。何も隠れてないよ。

 いつぞやの身体を洗ってやるの約束で、フィサリスと穂乃香が二人で風呂に突撃してきた時は着てたな……まあ、その時は……うん。

 なんだかんだあの二人仲良いんだって。

 

「ゆいか」

「あー!」


 ソファーに座る俺の膝上でハイハイする結衣香に触れつつ、俺に抱き着く。

 どちらかでは無くどちらにも触れて行くリノのスタイル……欲張りだねぇ。

 でもアレだな……こうして我が子に囲まれてるとセラピー効果というか……癒されるな……パパ仕事頑張ったかいがあるよ。

 リビングは平和です。穂乃香の部屋はカオスだけど。

 あっちは穂乃香が双頭を取り出さない限り放置で良いよ。俺も立ち入れないし。

 

「まーあ!」

「うん? ママは今18歳少女の若々しさを発揮してる所だから、離乳食ならパパが用意するよ」

「リノも手伝う」


 そう、最近リノちゃんお手伝いしてくれる事が増えたんです。

 やっぱり妹が出来たっていうのが大きいのかな。

 パパはそうなって行く方が断然良いと思うな……鞭振り回してるよりは。

 でも新しい鞭欲しくて徐々に上達して来てるんだよね……パパは複雑です。

 リノと二人で結衣香の離乳食を作る。結衣香は床をハイハイ中。

 大丈夫、千里眼で危ない所に行かないか、アマリリスが近づいていないかは、ちゃんと見てる。

 結衣香はもうそろそろ壁に手を付いて、両足で立ちそうではある。

 あとちょっとなんだよな。

 

 

 

「ゆいか、あーん」

「あーう」


 作った離乳食をリノが結衣香に食べさせている。

 リノと水奈はすぐこれをしたがるのだが、出来ればスプーンの使い方とかも覚えさせるため、自分で食べさせたい所である。

 というかぶっちゃけ言うと俺だって結衣香に食べさせたい。

 まあ、甘えん坊だったリノがお姉ちゃんやってる姿って、見てて和むから良いんだけどね。

 

『時間の流れって早く感じちゃうんだよね』

「精霊視点ってそんなもんなのか?」

『そうだよ。氷河だって大人になったと言うか、お父さんらしくなったよ?』


 20歳でお父さんらしくなったと言われても……まあ、お父さんな訳だけど。

 老けた的な意味では無いと祈る……最近の疲れ具合はアレだけど。

 

「――あれ? ご主人様、今家に居るのこれだけ?」

「お疲れ。んや、水奈、穂乃香、神奈の3人も居るが、現在穂乃香の部屋タイムだ」

「え、こんな時間から? 美鈴ちゃんも一緒に?」

「ああ、きっかけは『結衣香のパジャマ可愛いね』からの『水奈の分もあるよ』に繋がって今に至る。近寄らぬが吉だな」


 『全身兎セット布面積90%減』の餌食になるぞ。

 

「……大丈夫なのそれ」

「あの部屋の防音設備は完璧だから大丈夫だろ」

「いや、そっちじゃなくて」


 現在は……あー……布がまるで無かったかのように脱ぎ捨てられてるけど、双頭さんは出張ってない。つまりセーフだ、俺の関与できる範囲じゃ無い。

 良い所で止められたって穂乃香に拗ねられても困るしな。

 

「まあ、今日の夜にでも穂乃香へのお仕置きは確定だけどな」

「それって穂乃香ちゃんにとってのご褒美でしょ~? ずるいなぁ……今のうちに私も甘えちゃおうっと!」


 フィサリスがソファーの後ろから、俺の頭の上に顎を乗せようにして体重を掛けて来る。

 だからそうすると首裏に御山が当たるんだと何度言えば。

 

「ママ、結衣香のご飯、パパとリノで作ったんだよ」

「え、ホントに? 凄いじゃんリノ~」


 フィサリスにも結構働いて貰ってるから、リノの相手ってほたるばっかりだったもんな。

 こうして親子してるとこ見るのもまた和むな。

 

「ママ、結衣香とお揃いの服欲しい」

「お揃いって着ぐるみパジャマ? 良いよ、じゃあ結衣香が黒猫だからリノのは白猫にしよっか。ほたるちゃん卒倒すると思うよ」

「うん!」


 リノによって倒されるであろうほたるに合掌。

 まあ、どうせ幸せそうな顔して倒れるんだろけど。

 食べ終わった結衣香の口元をリノが拭いて上げている。

 千里眼や追体験でも見れるけど、やっぱり生でこうやって見るからこそ癒される物があるな。

 ……さて、そろそろ穂乃香召喚の準備に取り掛かるか。

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