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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
アフターストーリー ~10年後まで~
238/346

初めて

 日が傾き始めた頃、遊び疲れてリノが眠ってしまった為お開きとなった。

 帰った後、アイリスが最近出来ていなかった投剣術の相手をして欲しい、との事だったので、場所を移して相手をする事にした。

 孤児院の院長を任せて以来になるが、アイリスは教えた分だけ呑み込むので師として教えがいがあった。

 そんなアイリスが本気で勝負をして欲しいとの事だったので、俺も義手を付けて戦う事にした。投剣術による周りの被害も考えて場所は今日行った離れ小島。

 

 

 アイリス

 Lv 30

 HP 155/155

 MP 310/310

 

 STR (50)=75      【0~630】

 DEF (10)=15  (+15)【0~630】 〔30〕

 AGL (160)=240 (+15)【0~630】 〔255〕

 DEX (100)=150     【0~630】

 MIND (10)=15  (+5)【0~630】 〔20〕

 INT (80)=120      【0~630】

 LUK (10)=15  (+5)【0~630】 〔20〕

 

 固有スキル『ステータス操作』

 通常スキル『剣術Lv1』『投剣術Lv4』『回復術Lv2』『錬金術Lv3』『空間魔法Lv2』『重力魔法Lv3』『軽業Lv3』『潜水Lv2』『料理Lv3』『裁縫Lv2』『掃除Lv3』『礼儀作法Lv4』

 

 

 装備は俺が上げたベージュのローブ、茶のブーツと幸運の指輪のみ。

 なら俺もそれに合わせるし、扱うスキルも投剣術、錬金術、空間魔法、重力魔法、軽業に限定する。MP自動回復などのパッシブスキルはどうしようもないが、極力向こうと同じ条件の上で……固有スキルは全開で戦わせて貰う。

 固有スキル無しだと本気とは言えないからな。向こうも一本勝負用に基本ベースのステータス調整を行っているが、リアルタイムで変動させて来るだろう。最速600を叩きだす事も可能だからな。

 

「院長……準備はいいか?」

「うん……いいよ」

「行くぞ――」






「――はぁ~……やっぱり駄目かぁ……強いなぁ月島君は」

「レベル30で80の俺相手に、これだけ戦えれば十分だろ」


 小島の至る所に投げナイフが刺さっている。途中俺が調子乗ってナイフで出来た龍を作り上げたせいだな。 

 

「……月島君、今日はありがとうね。潜水の指導もそうだけど、本気で戦ってくれて……それにわざわざ2人っきりにしてくれて」

「……話があるんだろ?」


 院長が本気の勝負を持ちかけたのはその為だ。

 水平線に沈む夕日が院長を赤く照らしている。

 

「――月島君、私は月島氷河君が好きです。私を貴方の一番にして貰えませんか?」

「……俺の一番は如月穂乃香だ。これは譲ってやれない……悪いな」

「――……そっか……うん……ありがとう」


 院長はそう言って微笑んだ。


「振られちゃったなぁ……誰かをこんなに好きになるなんて初めてだったのに」

「……分かってて、穂乃香を引き合いに出したんだろ?」

「うん。『貰って下さい』って言い方したら、優しい月島君は貰ってくれるかもしれない、けど……私は欲張りだから、水奈ちゃんやフィサリスさんみたいに、一番じゃ無くても愛して貰えれば、とはなれない……私は一番が良いし、独り占めしたいもの」

「……欲張りでは無いだろ。普通な感情だ。それに欲張りでいえば、俺の方が欲張りだ」

「そうだね。美少女を3人も……月島君は欲張り過ぎだよ」


 フィサリスを少女と呼んでいいのかは微妙な所であるが。

 

「でもスッキリしたかな……ようやくケジメを付けれた……あ、私の恋は終わっても、今までに溜まった恩返しはまだ終わってないから、今後もよろしくね?」

「んなもん気にしなくていいのに……律儀な奴」

「律儀なのは月島君でしょ。約束は『人間族領に連れて帰る』だったのに、わざわざ私の為になんもない土地に家まで作って……孤児院まで作って貰って」

「孤児院は……本来俺が背負うべき業だ。それを肩代わりさせてしまっている……今後も院長をずっと続けて貰えるなら、それだけで十分恩は返されてる」

「これは私がしたくてさせて貰ってる事だから、恩返しにはならないよ……それに何かと手伝って貰ってるし」

「本来するべき事なんだから当然だろ? 困った事があったら言え、俺の千里眼の範囲に入ってる内は、俺が何とかしてやる」

「――……もう……諦めてすぐの子に、どうしてそんな甘い言葉を掛けるかな……この女タラシ」


 前にラミウムにも天然タラシと言われたな……否定したいところだが、現状を鑑みると出来ないのが悲しい所だ。フィアに怒られてばかりだしな。

 

「……弥生にはどう答えるの?」

「ほたるか? ……俺があいつに望まれてる事は、またちょっと特殊だからなぁ……」

「特殊?」

「…………『鬼畜だけど優しい兄』だそうだ」


 俺の妹は水奈だけだと、何度言えば……


「あははは、あの子らしいね。それは答えて上げてもいいんじゃない? ――お兄ちゃんっ」

「…………勘弁してくれ」

「あはは、今の私の見た目なら、不自然でもないと思うけど?」

「……俺はスキルで中身が見えてるからな……肉体はアイリスでも、院長は院長なんだよ」

「…………そっか……うん、私としても……奴隷にはなっちゃったけど、心持ちはやっぱり月島君と対等でありたいからさ……友達としてよろしくね!」


 友達……か……

 

「あれ、何気に友達っていう友達は初めてかもしれない……」

「え!? 日坂君は?」

「腐れ縁」


 待てよ……友達……友達……はて、友達……俺ぼっち?

 輪には加わりはしたけど、友達って言うよりクラスメイトだな……幼少期も穂乃香と遊んでた記憶しかないわ。

 

「俺、友達居なかったわ……交友関係が極端すぎる……」

「えーっと……じゃあ、私が月島君の初めての友達だねっ」


 初めての……友達……!

 

「院長……ありがとう……!」

「あはは……私がお礼されちゃったよ……」


 でも友達って何したらいいんだ? とりあえず呼び名は名前で呼ぶべきなのか?

 美空? 奏? 下で呼ぶのは馴れ馴れし過ぎるか?

 

「――…………そんな友達に、私からのお願い……私さっき、好きだった人に振られちゃってさ……今にも泣きそうなんだ……胸、貸してくれないかな……?」

「ああ……いいよ」

「……ありがとう……やっぱり、優しいなぁ……っ…………っ………………」


 夕日は沈んだが、夕焼けが辺りを赤く照らし、空には月が昇っていた。






「水奈、水奈、お兄ちゃんついに友達が出来たぞ」

「え? お兄ちゃんに友達!? 誰!?」

「美空奏だ」

「む」

「奏先輩っ!? ……それって、まずはお友達からって事……?」

「むむ」

「そうだな。親友に至る為には、まずお友達になる必要があるよな」

「むむむ」

「親友に至る予定なの!? 統也さんはっ!?」

「腐れ縁」


 俺あいつ嫌いだし。日坂を統也とは呼んでやらん。

 

「むー……! 氷君! 私も氷君と友達になるっ!」

「……なんでだ」


 お前は俺の恋人で居ろよ。

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