『ライバル』
『穂乃香……これだけは俺も譲る事が出来ねぇ……』
『氷君……私だって譲る気は無いよ……』
『水奈の!』
『一番は!』
『『俺(私)だっ!』』
「――って事があったんだけど美鈴、私どうしたら良いと思う?」
「ごめん、ちょっとどこから突っ込んだらいいのか分からない……」
水奈から受けた相談に頭を抱えてしまう……
相談? 相談なのこれ。惚気なの?
まず、お兄さんは水奈の実兄だよね? そして穂乃香は性別女だよね?
そもそもがおかしくない?
この三人の関係性は未だに私には理解できない……水奈ってどういう立ち位置なの……
「つまり、水奈は2人から愛されてるって事なんじゃないの?」
「それは……そうなんだけど……」
その肯定も性的な意味でなら、おかしいんだけどね。
「――でも、お兄ちゃんの一番は穂乃香で、穂乃香の一番はお兄ちゃんなの。私は2人の一番にはどうやっても成れないんだよ……」
「……2人にとって水奈は二番目なのにって事?」
「穂乃香はたぶんそうだと思うけど、お兄ちゃんはお師匠様とか、やたら仲の良いフィアちゃんとか要るから、二番目かもどうか怪しい……」
あのスケコマシ、一回殴られろ。
あ、いや、左目と右腕無くしてるし……う~ん……小指踏まれるぐらいかな。
「…………水奈はどう思ってるの? お兄さんと穂乃香どっちが好き?」
質問しておいて自分でおかしな質問だなぁと思うけど、この際スルー。
気にしてたら話が進まない。
「……………………お兄ちゃん……かな……」
あのシスコンにこのブラコンである。
「……でも私の事半年も放っておいて……その間、寂しい時に一緒に居てくれたのは穂乃香だし……」
あの日から半年間毎日一緒に寝てたみたいだもんね。
朝は毎度の様に穂乃香がつやつやしてたのって、やっぱそういう事なのかな……
やーいお兄さん、穂乃香に水奈寝取られてやんの。いや、水奈が穂乃香寝取ったのかな……? いや、どっちにしてもおかしい。
「私は別にそっちの気は無かったから、お兄ちゃんが一番だったんだけど……お兄ちゃんにとって私は何番目なのか分からないし、私にたーくさん隠し事してる……穂乃香は全然隠さずオープンだし、私を二番目に好きで居てくれてると思う……それに穂乃香ってカッコいいし、そっちの気も悪くないのかなって思えてきた……」
いや、確かに穂乃香はカッコいいよ? クラスの平凡男子共よりよっぽどカッコいいよ?
でも、水奈、落ち着こうよ。普通に戻っておいで? 因みにお兄さんに向かうのも普通とは違うと思うよ?
「……私どうしたら良いんだと思う……?」
「…………水奈、順番なんて気にしなければいいんじゃない? 水奈はお兄さんも穂乃香も大好きで、お兄さんも穂乃香も水奈を大好きなんでしょ? なら好きは好きだよ、順番なんて関係ない」
「……好きは、好き……」
「そうそう。それでも気になるなら水奈が2人の一番を、どーんと総取りしちゃえばいいよ」
「……あの二人からは無理かな……」
「…………そうだね、ごめん……」
あの二人の結びつき具合は何なんだ本当にまったくもう!
「でもありがとう美鈴、何となく答えが出た気がする……」
「そう……良かった」
千里眼でこれを見ているであろうお兄さん! 私にシュークリーム作ってくれてもいいですよ! 水奈を悩ませるんじゃない!
「じゃあ、美鈴。穂乃香は美鈴も好きだから、私と美鈴もライバルだね。お兄ちゃんと穂乃香、お師匠様にリノちゃんとほたるちゃん……フィアちゃんと奏先輩はまだ分からないから……私のライバルは少なくても6人かな?」
――――――――――え?
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