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鑑定は死にスキル?  作者: 白湯
メインストーリー
228/346

修羅

 RPGゲームなんかでの魔王城って、入り組んだ迷路みたいな設計になっている事が多いが、本物は随分とシンプルな作りだな。

 ブルーゼムの城とそう変わりない。まあ、迷路になってたら住みにくそうだしな。

 ラスボスか……旅していく中で仲間を集めて挑むのが王道だろうに、死んだわけでも無く仲間を減らして挑むのは俺ぐらいだろうな。

 これだから単独行動好きなんて評価をされるのかもしれない。

 輪に加わるのは苦手じゃ無い、輪から抜けるのが得意なだけ。

 アホな事して先生に怒られたくなかったから、シレっと居なくなって参加せず安全地帯に避難するのが上手かっただけだ。

 先生……高校……懐かしいな。もう転移して来て7ヶ月経ったのか。

 てことは元の世界だったら、卒業間近って事か……

 安全地帯に避難するのが上手かった俺が、危険地帯に乗り込んでる訳だからな。

 そりゃ星原に変わったって言われる訳だ。あいつは死んでも変わらなかったけどな。

 昔を思い出したら将棋やりたくなって来たな……これ終わったら帰って穂乃香に一局頼むか。

 そうだな……それがいい……その為にはまず、終わらせないとな。

 

「約束通り来てやったぜ、魔王」


 玉座に座る魔人……大きさは一般人と変わりない。

 魔人特有の青白い肌、年齢を重ね白くなった髪……なんか全体的に白いな。

 老いには逆らえず黒マントから見え隠れする肌は皺だらけだが、背中は曲がらず、筋肉の衰えも無い。80を迎える爺さんが元気なもんだ。


「久しいな、勇者よ」

「久しくはねぇよ。お前はデーモン越しに見てただろうけど、俺は初めてだ」

「そうか、そうであったな――ところで、魔法使いの女はどうした? まさか逃げられたのか?」

「……置いて来たんだよ。お前程度、俺一人で十分だ」


 魔王は一度目を見開くと、大笑いを始めた。

 

「吾輩相手に1人で挑む者など、貴様が初めてだ! これは愉快愉快!」

「……似合わねぇ喋り方すんなよ、地島 昌一郎。奴隷強化の固有スキルを持った先代の勇者様よう?」


 魔王はピタリと大笑いを止め、目を細めて俺を見た。

 

「ほぅ……お前の鑑定(極)とやらは初めて見たが、随分と面白い能力のようだな」

「アンタが大暴れしてくれたおかげで、俺の腐れ縁が多大なる被害を被ったんだからな。問答無用で牢にぶち込まれるって意味分からないだろ。次世代に迷惑を掛けるんじゃねぇ」


 奴隷廃止令が出て無ければ、もう少しスムーズに話は進んでいたはずだ。

 少なくとも指名手配にされる事は無かった……と思う。

 

「ふん、人間の事情など興味無いな……ところでお前、名は何という」

「……月島 氷河だ」

「そうか、月島氷河。まずは私の奴隷達を全て倒し、ここまで来たことを褒めてやろう。では無くば、私に触れる事すらなく死んでいただろうからな」

「……部下が死んだって言うのに随分と余裕だな」

「所詮私のステータス合わせでしかない。無いなら無いでも構わんさ」


 まあ、こいつの目的が目的だからな……

 

「問おう勇者、月島氷河よ。なぜ元の世界に帰れないと知った上で、なお私に挑む?」

「てめぇが戦争なんてくだらねぇ真似しようとしてるからだ。争うのは勝手だがそこに俺の大切を巻き込むんじゃねぇ。お前が魔王と言う看板を掲げる限り、あいつらに勇者という責任がのしかかる。それを消し去る為なら――俺は修羅にでもなる」

「……くくく、その理由が為に一万の兵を殺したのだから侮れんな……良いだろう。その青き理想を抱きながら――朽ち果てるがいい」



 月島 氷河

 Lv 69

 HP 350/350

 MP 700/700

 

 STR 72 (+70) (+75)〔217〕

 DEF 103 (+70) (+25)〔198〕

 AGL 176 (+107)(+20)〔303〕

 DEX 208 (+127)(+15)〔350〕

 MIND 281(+154)(+95)〔530〕

 INT 314 (+146)(+15)〔475〕

 LUK 45 (+42) (+5)〔92〕

 


 地島 昌一郎

 Lv 120

 HP 907/907

 MP 907/907

 

 STR 568 (+30)〔598〕 

 DEF 280 (+20) 〔300〕

 AGL 450 

 DEX 173

 MIND 733 

 INT 855

 LUK 69  

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